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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
第八編 廃鉱の男

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544/634

第542話 竜王種創造実験1

--------------------------------

 名前:ランスロット

 クラス:-

 レベル:1


 気力:550

 魔力:550


 筋力:510

 耐久力:510

 速力:505

 魔法力:512

 魔法抵抗力:512

 魔法制御力:507

 ◆取得スキル◆

 《背後二存》《存在深化》《超直観》

 《超高速飛翔 Lv.1》《光魔法 Lv.1》

 《水魔法 Lv.1》

 ◆システムスキル◆

 《アイテムボックス+4》《マップ機能+4》

 残存スキルポイント:3

 ◆称号◆

 《半神格者》

 --------------------------------



 これがランスロットの初期ステータス。


 《背後二存》。これは自分の影から湧き出す光と水の分身体を創りだすスキル。

 こちらの分身はランスロット自身の光魔法や水魔法に+3レベルした状態の魔法が行使できる。

 さらにこの分身たちとなら竜郎がカルディナ達とやるような混合魔法が可能となる。

 また2体ともランスロットが強くなればなるほど俊敏に、硬く、力強くなっていく性質を持つ。

 ただカルディナ達の分霊のようなものなので、壊されてしまうと1体当たり自身の4分の1の魔力と気力が消失してしまうので注意が必要。レアリティは20。


 《存在深化》は莫大なエネルギーを常時消費する代わりに、自身の能力を全て上昇させるというもの。

 あの大人の姿は、このスキルの発動によってなされていたらしい。レアリティは20。


 《超直観》はその名の通り超が付くほど冴えわたる直観能力。

 棒術の派生スキルでもある《危機感知》に近いが、こちらの方が幅が広い。

 敵からの不意打ちに気が付けるのはもちろん、相手の弱点の看破、無意識下でのスキルの最適な使い方などなど恩恵は《危機感知》より大きいようだ。

 ただ察知する事は出来ても、自分の能力以上の事は出来ないので過信は禁物。レアリティは14。



「《背後二存》での分身との連携が上手くできるようになれば、色々なことが出来るようになりそうだな」

「1人で3人分の動きが出来そうだしね。でも《存在深化》は使いどころを見極めないと直ぐにガス欠になっちゃいそうだから気を付けないと」

「それにそれを使うと体が大きくなるようですし、定期的に使って本来の自分の動きと大きくなった時の動きをしっかりと認識しておく必要はあるでしょうね」

「それは確かに重要そうであるな、アーサー兄上」



 小さな妖精ランスロットは、アーサーの言葉に深く頷きながら今後のトレーニングメニューについて何やら二人で相談をし始めていた。

 アーサーも弟が出来て嬉しいのか、積極的にランスロットの世話を焼いてくれていた。


 フローラも弟が出来て嬉しそうだが、こちらはやたらと子ども扱いして構ってくるので、ランスロットは少し苦手意識が出来てしまったように思う。

 たいしてウリエルはアーサーともども尊敬する姉弟という位置づけに収まったようだ。

 また彩人&彩花は、ちびっ子仲間として仲良くやれそうな雰囲気だが、こちらは2人とも(実質1人だが)のんびりタイプなので、せっかちな気質を持っているランスロットにはもどかしく見える時もある様だ。


 そんな眷属たちの輪が出来あがってきている中で、竜郎はいそいそと次の準備を始めだした。



「次は何をするつもりなんだ? その素材の並びに見覚えがあるのだが」

「ああ、これか?」



 イシュタルの言葉に竜郎が振り向きながら最後の素材を置き終る。

 それは竜王種のヴィータが生まれた時と全く同じ、毒竜の素材とニーリナの心臓という構成だった。



「イシュタルが言うには、竜王種って基本的に生み出せないんだろう?

 でもこれで生み出せたって事は、同じことをすればまた同じ竜王種が生み出せるのかなって思ってな」

「ふむ。私の考えで言えば、恐らく同じ方法でヴィント種の2体目は無理だと思うぞ。

 だがどうなるかは解らないから、やってみる価値はあるとは思うが」

「随分はっきりと否定するんだな」

「まあな。ばあ様が一体どういう調整を竜王種にしたかは知らないが、まるで世界が調整しているかのように直系以外は種が変異する。

 おそらくこれにもそれが適用されるだろう」

「ちなみに変異した種はどんな感じなんだ?」

「竜王種ほど強くはないし、成長で自動的に神格者になることもない。

 けれど基本的な属性や能力はだいたい同じで、6親等くらいまでは、そこいらの竜種と比べればかなり強い部類に入る」

「ならもし変異種が生まれても十分ここでやってけそうだな」

「それは問題ないだろうな。だが何が出て来るかは解らないぞ?

 もしかしたら全く別の何かになるかもしれないんだから」

「まあ、なんにしたってやってみれば解る事だよ。早くやってみよーよ!」



 ここで机上の空論ばかり話しているよりも、目の前の素材を使って実証した方が早い。

 愛衣の言葉に「だな」と返し、竜郎はカルディナ達と共にヴィータが生まれた時と全く同じになるように再現していく。

 そうして生まれたのは──。



「キュー?」

「キュッキュー!」

「あれ、ヴィータちゃんとそっくりなエメラルドグリーンの赤ちゃん竜だけど、また竜王種になっちゃった?」

「いや、タツロウ。顎の下を見てくれ」

「ああ、解った」



 自分と似た種が生まれたことに反応を示し、パタパタとヴィータがやってくるが、それをむんずとキャッチして抱きかかえながら、竜郎は新たに産まれた幼竜の顎の下をのぞいてみた。

 するとヴィータには顎の下にYに似た模様があるのに対して、こちらにはそれが無かった。



「やはりそうなったか。そいつはヴィント種の傍系に見られる亜種だ。

 人間で言うと竜王種の親戚くらいに思ってくれればいい」

「でもなんかヴィータに似てなかなか強くなりそうっすよ」

「それはそうだ。竜王種の右腕として活躍できるくらいの能力はあるからな。

 ちなみにその子もヴィータと同じ雄で、成長すればシステムもインストールされるだろう」

「へぇー。ヴィータと違って大人しいから女の子だと思ってたんだが、男の子だったか」

「間違えちゃかわいそーだぞ! たつろー」

「いや、だからなんで愛衣は解るんだよ……」



 竜郎からしたらパッと見てトカゲの雌雄を見分けろと言われているのに近い。

 そんな芸当ができる様な術は、解魔法を使うくらいしか持ち合わせていないのだ。



「まあ、それはいいとして、これで同じ素材での創造では竜王種の原種は1体しか生み出せないと言う事が解りましたね。

 私の目で観た限りでも全くヴィータ君の時と同じだったのに、結果が違うと言うのは興味深いです」

「そうよね。エーゲリアに聞いたことがあるけれど、解らないって言っていたし。私も気になるわ~」



 研究者肌のリアとレーラの2人は、その奇怪な現象に首を傾げながら、それぞれ頭を働かせていた。

 レーラはただ未知が知りたいと言う知的欲求に従って、リアは何か新しい製作物に繋がらないかという創作意欲に従って。


 そんな2人はさておき、それならば竜郎は第2案の創造に移っていく事にする。

 すなわち、同じ素材でだめなら変えてみればいいじゃない作戦だ。


 今度用意したのはダンジョンのボス竜──蒼太の元となった竜の素材一式(竜脳、竜魔石、竜骨、竜鱗、竜牙、竜爪、竜眼、竜肉)に毒竜の心臓、ニーリナの心臓という構成。

 これならヴィント種は無理でも、他の竜王種が生み出せるのではないかと思っての構成だ。



「そうそう簡単に竜王種が生み出せるとは思えないがなぁ」

「それはやってみないと解らないだろ、イシュタル」



 イシュタルの見解はまず無理だろう。ヴィント種だけでも運が良かったのだ、というスタンス。

 だが竜郎は6種もいるならもう何種かいけるんじゃないの? というスタンスだ。


 はてどうなるかと言った所で再びカルディナ達と竜族創造。

 そうして生まれたのは──。



「………………グルルゥ」

「うおっ、今度は成体の竜か? ちなみに、この子は?」

「竜王種ではないな。確か…………そう、ランチアと呼ばれる種族に近いと思う。

 私の知っているランチア種はもっと濃いオレンジ色の鱗で、もっと大きかったがな」



 その竜は全長5メートル程。全体的にキラキラと輝く薄いオレンジ色の鱗に覆われており、背中に翼ではなく腕に皮膜が付いているタイプ。

 頭にはウサギの耳のような角が2本生えていて、丸っこい顔にクリッとした目が特徴な可愛らしい竜だった。


 イシュタル曰く、ランチアと呼ばれる種は総じて解魔法系統が得意で、戦闘よりも索敵に向いているらしい。

 ──と。そんな説明を聞いていたら突如その竜が光を放ち始めたかと思えば、あっという間に人間の姿へと変化した。

 その姿にイシュタルが第一声を放つ。



「ふむ。まだ人化があまいみたいだな」



 その評価に少女は無言で頭を下げた。

 というのも、その少女。真面目な顔つきの身長150センチ程の少女で、学校にいたら学級委員長などをやっていそうな雰囲気をしているのだが、イシュタルが言うようにまだ人化が甘く、手足が竜のフォルムそのままで、首筋にも薄オレンジ色の鱗が残っていたのだ。

 また肩まで伸びた髪と同じ色のオレンジの瞳も良く見れば、人間よりも爬虫類よりの瞳孔が縦に細長い状態だった。



「なにぶん初めての物で……。後でコツなどを教えて頂けたら嬉しいです」

「ああ、解った」



 竜郎などはワザとかと思っていたのだが、どうやらまだ慣れていないだけだったようだ。

 恰好は何故か公立高校によくあるセーラー服を着ており、完全に人化できれば日本で女子高生として通じそうだ。



「主様。これより全力でお支えいたします」

「ああ、ありがとう。これからよろしくな。……でだ。さっそく聞きたい事があるんだがいいだろうか」

「ええ、なんなりと」

「えーと……なんでセーラー服なんだ?」

「似合いませんか?」

「いや、そう言う事じゃなくてだな。そもそもアーサーの時の白軍服からして、俺達の世界寄りの恰好な気がするんだが、君たちの服はどういう基準で決まっているんだ?」



 別に最初に着ていたものだからと言って脱げないわけでもない、ただの服だ。

 裸で出てこられても困るのでありがたいのだが、ふと疑問に思ったのだ。

 それに対して最初に答えてくれたのはウリエルだった。



「私たちの服は──私の場合はスキルによる眷属が服になっているのですが、基本的に主様が私たちに似合うだろうと思う形として服も創造されるのです」

「俺が姿を一度も見ていないのに、俺が似合うだろうと思う服になれるのか?」

「創造の時はご主人様と繋がってるからね♪ 思考とか常識とかが流れ込んでくるんだよ♪

 そこでご主人様がフローラちゃん達をみたら、こういうのが似合うと思ってくれるんだろうな~ってのをフローラちゃん達が望むんだよ♪」

「そうすると我々が生まれる際に、その服も一緒に創造されていると言うわけです、マスター」

「そう言う事になっているのか。ありがとう、ウリエル、フローラ、アーサー。

 ってことは、君も俺の思考からセーラー服を?」

「ええ、そうですね」



 初見で学級委員とかやってそうな子だな、と思った事を思い出す。

 なるほど、それならセーラー服が似合いそうと自分が思っても不思議ではない。



「えっとさ。それじゃあ、創造者が裸が一番似合う! って初見で思うような存在が生まれた場合は、もしかして、はだかんぼで出てきちゃうのかな?」

「恐らくそうなるでしょうね。例えば我々のような人間に近い姿なら服を着ているのが当たり前という考えですが、ヴィータなどは何も着ていなかったですよね?」

「あっ、そっか。初見の時にヴィータちゃんが服着てたら何で?──って思っちゃうしね。

 納得だよ~。ありがと、ウリエルちゃん!」

「お力になれたようで良かったですわ」



 そうして竜郎の抱いた小さな疑問が解消した所で、まだ実験の途中だがヴィント種の亜種の幼竜と、このランチア種?の竜の少女に名前を付けていくことにした。


 結果、今やヴィータの弟分とかした、この大人しい幼竜にはアヴィー(種のヴィ(・・)ント種だからね!)と。

 ランチア種?の少女竜にはミネルヴァ(頭が良さそうだから知恵を司る女神さまの名前を付けたよ!)と、それぞれに名を付けた。


 そうして名前も付けたので、さっそくステータスを持っているミネルヴァのものを見せて貰う事にしたのであった。

本来なら月、火曜日休みなのですが、キリが悪くなってしまったので一日ずらして明日も更新する予定です。

なので来週は火、水を休みにする予定です。

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