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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
第五章 呪われた少女編

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第267話 家族というもの

 朝早くに目覚め、朝食を取り、そして直ぐに資料の情報を共有していく事となった。

 まず竜郎から話し始め、次に愛衣と昨夜二人で話し合っていた事をカルディナ達を含めた全員に聞かせていった。

 ちなみに現在の守りは、解魔法の精霊魔法を鳥型の人形に降ろして警戒してもらっている。

 空も何故か飛べるので便利なのだが、やはり戦闘能力や応用力などの点から見てもカルディナには遠く及ばない。

 けれどこの山は竜郎達にとっては、比較的弱い魔物しかいない上に、昨夜殺しまくったせいで本当に雑魚と小妖精くらいしかいないので、これでも良いと判断した。


 そうして竜郎と愛衣の話が終われば、今度はリアの番である。

 表情や腫れて赤くなった目からしても、中々ヘビーな内容だったようだが、それでも気丈に振る舞って口を開いた。



「えっとですね。まず現状、私は町を歩いても問題ないみたいです。

 私を探していた人間たちの殆どは、《万象解識眼》について知らされず、保護していた女の子が何者かに攫われたと言っていた様なんです。

 そして……その、《万象解識眼》について知っていた、または知っている可能性が高い人物は……その、全員こ、殺されてしまったので、現在行方不明の指名手配犯であるモーリッツ以外と私を助けたアーレンフリート。

 後は元……ですが、私の家族だった人……くらいでしょうか」



 最後の言葉で竜郎と愛衣は、その家族や親類縁者すら誰もいない。という、その事実は予想通り書かれていなかった事に複雑な気持ちを抱いた。


 だが最後に言う事にしていたので、今は黙ってリアの話を聞いていく。

 彼女が現在どこまで知っているのかも、ちゃんと知っておきたかったからだ。


 それからリアが知り得た情報を纏めると。

 その資料によればモーリッツは、リアがいなくなっても一年はリューシテンの商会ギルドの長の椅子にしがみついていた。

 だがリアの能力に頼るだけで商人としての技術を磨くこともなく、元から持っていた商才も平凡そのもの。

 そんな人間が無理に稼ごうとした結果、違法な物品の売買が加速し、それに比例するように治安も悪化してしまった。

 けれどそんな事をすれば隠すのも難しくなる。そして、それにはさすがに商会ギルド側も不味いと判断したのか強制的にギルド長どころか、商会ギルド自体から追放した。

 だがリアさえいれば何とでもなると思ったモーリッツは、それまでに稼いだ金を使って探させた。

 けれどその捜索も度が過ぎていき、それから二年の間。

 証拠が残らない様に何重にも人を介して疑わしいものを攫っては拷問し、殺害していった──のではないかと、発見された死体の状態から推察された。


 けれどその最後は、何故か唯一自ら手を下して四人の命を奪ったらしく、その件で死刑判決が言い渡されたらしい。

 だが、死刑執行日に忽然と姿を消して行方不明。

 判決は四人を殺した罪によるものだが、九十人近い殺人事件の関与を疑われていた人物の逃亡に一時、町は混乱したらしい。

 しかし逃亡から三十三年ほど経った今も見つかることはなく、指名手配されたまま人々の記憶から薄れてしまった。

 噂としては隣国の国境付近で見かけたという情報もあるが、本当かどうか判別がつかないとの事。


 残っていた財産も、所持金に至るまで全て国に没収されているので、もう人を雇ってリアを探すこともできない。

 そして今は自分が追われる身で、そんな余裕もない。



「ただ、自分と似たような輩に私の能力を話して探させるといった行動もとれなくもないでしょう。

 ですが、そんな事をしたら情報を渡した相手がモーリッツを切り捨てるのは目に見えています。

 それに独占する事に何より執着していた男ですので、不用意に《万象解識眼》について触れ回ることもないと思っています」



 なので現在、リアを探している人物は一人もいないらしい。──そう、一人も。


 リアの死体を見つけた世話係の女性。

 彼女は死んでしまった事を咎められるだろうと恐れを抱き、リアの死体を麻袋に入れて逃亡。

 そして森の中に遺棄して事件の発覚を遅らせようとしたが、リアを捨ててから二日後にモーリッツの手の者によって捕獲。

 そこでリアが死んだと聞かされ、言われた場所に死体を探しに行くも、あったのは外側から切られた麻袋のみだった。

 そこで死体を確認するまでは納得できないと、まだ生きているかもしれないと、さらに大々的に捜索を拡大していったという。

 そしてその彼女は、厳しい拷問の上殺されてしまった。


 そうしてその手は他にリアの世話をしてくれていた人たちにまで及んでいき、少し見かけたことがあるくらいの見張り番から、研究者に至るまで全て捕らえて拷問し、殺してしまったらしい。

 だがその全てに他者を挟み、巧妙に犯行を行った為、それらの事件の首謀者としては公式の記録には残されていない。

 そのせいでリアの能力を詳しく知っている人物は、ほとんどいなくなったと言える。



「今現在のモーリッツは何の権力も無ければ、お金もないただの逃亡者です。

 戦闘能力も覚えている限り一般人か、それ以下で、特に珍しいスキル持ちでもありません。

 そんな男がどうやってそこまで巧妙に事件を隠す事が出来、牢から逃げられたのかは不思議ではありますが、そこまでこの男に警戒する必要は無くなったと判断します」

「確かに……な。それにリアには俺達の誰かが近くにいれば、多少強いのが出てきても対処できるはずだ。

 とりあえず警戒はするが、血眼になる必要までは無いと思って行動しようか」



 その竜郎の言葉に、リアは小さく頷いた。

 そうしてリアの話にも一段落着いた所で、竜郎は愛衣にそろそろ言うべきかと目配せした。

 それに愛衣も小さく頷いて肯定してくれたので、竜郎は思い切って口火を切った。



「リア。実は、そこに書かれていない情報がこっちに入っていてな。

 それを話したいと思っているんだが、いいか?」

「……その表情からして、私にとってあまり面白い情報ではない様ですね」

「ハッキリ言って、覚悟して聞いてほしい。

 少なくともいい気分ではいられない」

「解りました。ですが水を一杯飲んでもいいですか。

 話しつかれて喉が渇いちゃいました」

「勿論」



 リアは机に置いてあった自分のコップを手に取って、心を鎮めるようにゆっくりと冷たい水を嚥下していく。

 そうして喉を通って胃に冷たい感覚が広がった所で、リアは意を決して竜郎に聞かせてもらう事にした。



「では、お願いします」

「実はな──」



 そこで竜郎はリアの両親や、リアがいなくなってから生まれた弟と妹。

 その他、多くの親類縁者全てが殺されてしまったことを告げた。

 そしてリアの家族の殺害が、前述に述べた唯一自分で手を下し、証拠を残すことになった四人の殺人事件となったのだとも添えておく。

 その間。リアはずっと能面のような顔で、こちらからは感情が一切読み取れなかった。



「──そう、ですか」



 ただそれだけ口にして、リアは虚空を見つめたまま暫くボーっとしていた。

 竜郎達はジッとしながら、何かリアが反応するまで沈黙を守り続けた。

 それからどれほど経っただろうか、時間にしたら五分もなかったはずだ。

 けれど数十分は、そこにいたような錯覚を覚えるほど重たい空気の中。



「何で私だったんでしょうね。正直こんな特別な能力なんて、いらなかったのに──」



 ようやくリアは、ポツリポツリと話し始めた。

 

 リアは両親や見たこともない弟妹、親戚が殺されたと聞いても、自分の世話をしてくれていた女性たちや、無関係な人たちが死んだと聞かされた時の方が悲しかった事に内心驚いていたのだと言う。

 悲しいかと聞かれれば悲しい。恨んでいるかと聞かれれば別にと、本心から言える。

 けれど普通だったのなら、もっと普通の人生を送っていたのなら、自分は赤の他人だった人よりも、きっと悲しんだのだろうなと思う。

 そんな事だけでも、自分が普通ではないのだと言われているようにリアは感じてしまう。


 そして《万象解識眼》。

 これさえなければ、きっと自分はこんな、関係のない人たちまで、ほんの少し話しただけで、ほんの少し擦れ違っただけで、色んな人の人生を奪う事もなかったはずだ。

 まるで呪いだと思った。

 関わりあう人すべてを不幸にしていく呪いだと。

 そしてこれは一生消せない、誰にも解くことのできない呪いだと。



「でもさ。少なくとも、俺達はリアに出会えて幸せだと思っているよ」

「それはタツロウさん達も特殊だからですよ。

 それに、あらゆる事を跳ね除ける力も持っているから……」

「それなら私たちとずっといればいいじゃん」

「それでずっと守って貰うんですか? 死ぬまで? ずっと?」



 今のリアなら戦闘もできるし、一人で跳ね除けるだけの力はあると思っている。

 けれど竜郎たちほど相手にできる規模は大きくない。

 そういう意味では、国家単位で狙われ出したら逃げ切れないだろう。

 だからこそ、ずっと竜郎達に近くにいて貰わなければならない自分が、このスキルが疎ましく思う。

 もう面倒だからと言って切って捨てるような薄情な竜郎達ではないことくらい、この数ヶ月ずっと苦楽を共にしてきて解っている。

 けれどそれでも不安になってしまうのだ。



「ならさ。もう、うちの子になっちゃいなさい」

「は? ……えっと、それはどういう?」



 あまりにも場違いに思える、その竜郎の言葉に、リアは理解が及ばず怪訝な顔をした。

 しかし竜郎は、それが最適解だと言わんばかりに自分の中でも、その考えがどんどん纏まっていった。



「そのスキルが疎ましく思うのなら、俺達と一緒に俺達の世界で暮らせばいい」

「あっ。そっか。向こうならシステム自体のON、OFFができるしいいかも!」

「ああ。それにこっちの世界の人らと違ってステータスもないから、こっちみたいに対処が難しい人間もいないだろうしな。治安も、ここよりは悪くはないし。

 それに鍛冶師として働きたいなら、こっちと行き来すればいいだけだしな」

「でっ、ですが、タツロウさんたちの世界では、人間は人種しかいないのですよね?

 そんなところに行ったら目立つのでは……」



 それもいいかもしれないと思い始めたリアだったが、竜郎達に地球の話を聞いた限りではドワーフなんて存在は御伽噺の空想人間扱いらしい。

 世界が変わろうとも、異分子を忌避する存在は少なくないはずだ。

 だがそんな事は、竜郎も解っていた。



「だからリアは、こっちの世界にいる間に、俺の《呪幻視》を模倣したアイテムを造ればいい。

 どうせ地球人の魔力抵抗値は0なんだから、向こうでそれを見破れる人間もいないだろうし。

 生活費も呪魔法を使って、今回ダンジョンで手に入れた金銀を売り捌くだけでも困る事はないだろうさ」



 高校生が金銀を持って質屋に行ったところで怪しすぎるし、そもそも素直に換金してくれるとも思えない。

 なのでそこは呪魔法で色々誤魔化してしまえば、いけるだろうと竜郎は踏んでいた。

 容量の問題もあって竜郎の《無限アイテムフィールド》に、ほぼ全てが入れられているが、今回ダンジョンで手に入れた取得物の七分の一はリアの物と言っていい。

 なのでその範囲内で何かをするのに、竜郎達の力は及んではいないとも言える。



「そんで、どうせなら奈々ちゃんと一緒に小学校に行ってみるってのも、いいかもよ!

 友達も沢山できるし、スキルも何にもない、ただの子供として成長できるはずだしね」

「学校ですか。それは楽しそうです……。でも、いいんでしょうか、私だけ」



 自分が自由になった代償として多くの人命が散らされた。

 それなのに異世界に逃げて、それで幸せになろうとするのはいいのだろうかと、リアは考えずにはいられない。

 けれどそれに対し、竜郎は「そんなもんは知らん」と言い放った。



「結果だけでみれば、リアの行動が起こした事とも言えるかもしれない。

 だけど、それをリアが望んだわけでもなければ、そうしようと動いたわけでもない。

 それを心苦しく思うのは当たり前の感情なのかもしれないが、その為に一生を賭けてあがなうだけの人生を送るというのも変だと俺は思う。

 ぶっちゃけ、そうした所で死んだ人間は嬉しいとも悲しいとも思えないだろうしな」

「あはは……。ほんとうに、ぶっちゃけますね……」



 身も蓋もない竜郎の言い方に、リアは苦笑いを浮かべた。



「それに結果だけ見ればってだけで、究極的に悪いのはモー助でしょ。

 リアちゃんはただ自由に自分の人生を生きたいって、誰もが思う当たり前の事を望んだだけなんだし。

 だから結局はリアちゃんが、どうしたいのかで決めていいと思うよ」

「私がどうしたいか……」



 どうしたいのか。それならば答えは決まっている。

 誰に利用されることもなく、誰に狙われることなく、だれを傷つけることもなく、ただ平穏に暮らしたい。ただそれだけだ。

 けれどこの世界では、色んなスキルに溢れている。

 その中には、リアの《万象解識眼》を見抜く者もいるかもしれない。

 そんな何処でバレるとも知れない世界ではなく、スキルも何もない世界でならそれが叶うかもしれない。

 そして何より、そうする事で欲に駆られる人も、その被害を被る人もいなくなるという事でもある。

 最後のは自分にとって、都合のいい言い訳なのかもしれない。

 けれど気が付けば、リアの口から言葉がこぼれだしていた。



「…私は……私は行ってみたいです! 隠れて暮らす必要のない世界へ!!」

「ん。解った」



 リアの全力の言葉に竜郎は事もなげに頷いた。そして少し考えるような素振りをしてから、直ぐに口を開いた。



「となるとだ。簡単な設定があった方が、ご近所面もいいだろうな」

「はあ、そうなんですか?」

「ああ。という事で今日から、お兄ちゃんと呼びなさい」

「じゃあ、私はお姉ちゃんと呼んでね!」

「は?」



 何言ってんだこのカップルは。と本気で疑問の視線を送るリアだが、二人の中では設定がドンドン組み上がってきていた。



「いやー。昔から弟か妹が欲しかったんだよ。

 まず当面は波佐見家の長女として生を受けたことにして、部屋は魔法で地下室を造ればいいか」

「そして私が嫁入りすれば、私の妹にもなると。完璧だね!」

「まずはウチの両親に色々打ち明けなきゃいかんだろうが……。

 まあ、あの人たちなら大丈夫だろ」

「リアちゃん可愛いしね!」



 両親に呪魔法を使うのは気が引けるので、そこだけは正面突破する気でいる竜郎と愛衣。

 しかしあの両親たちなら話せば解ってくれるだろうという自信もあったので、そこはクリアしたものとした。



「ちょっと待ってください。妹って何ですか? 別にそんな設定なくたって──」

「いやいやいや。どうせ俺ん家にはカルディナ達も住む事になるだろうし、一緒に世界の事を教えていった方が手間もなくていいだろ。

 んで、よその子が頻繁に出入りするよりも、妹ってなっていた方がご近所さんも気にならないだろ」



 カルディナ達は竜郎の記憶を一部引き継いでいるので、言葉や物の名前など最低限の事は解る様だが、一般的なルールは覚束ない。

 例えば信号。赤は止まれ。この位は解っているようだが、何故止まるのかまでは今一理解していない。

 なのでその辺りをしっかりと覚えさせていく必要があるので、愛衣の家ではなく、一緒に教えられる竜郎の家の子に設定付けたのだ。



「ほら解ったら言ってみてくれ! お兄ちゃんだよ!」

「お姉ちゃんだよ!」



 竜郎と愛衣が今までのシリアスな空気を軽く吹き飛ばすほどの笑顔で、両手を広げてリアのお兄ちゃん、お姉ちゃんコールを待っていた。

 それに何だか色々考えていた自分が馬鹿みたいに思え、リアは薄らと笑ってしまう。



(ちょっと変な人達ですけど……。

 でも、この人たちの家族っていうのも面白そうですね)



 リアはそこでせっかくだから呼んでみようと口を開くが、生まれてこの方お兄ちゃんも、お姉ちゃんも言ったことが無い。

 そして何故か気恥ずかしさも覚えてしまい、口をパクパクと金魚の様に開け閉めするだけ。

 そんな姿を見かねた奈々が「しょうがない奴ですの」と口にしながら、生魔法で少しだけ酔っ払い状態に近いフワフワとした状態にしていった。

 すると緊張も良いアクセントになり、リアの気恥ずかしさも解けていき──。



「お、おにいちゃん」

「ぐはっ」

「お、おねえちゃん」

「ぶはっ」



 見目麗しいちびっ子に、顔を赤らめられながら言われるお兄ちゃん、お姉ちゃんコール。

 その破壊力はどんな魔法よりも凄まじく、竜郎と愛衣は二人で机に突っ伏して悶絶した。



「かっ、可愛いよー。たつろー!

 やっぱり、リアちゃんはウチの子にするーー!!」

「ダメだダメだ! リアは波佐見家の長女ですー! ウチの妹ですー!」

「なにおー!」

「……あの。そういう設定であって、本当に妹というわけでは…………って聞いてませんね」



 リアの目に入っている二人は取っ組み合いというじゃれ合いを初めてしまい、床に転がりながら暴れて、人の話なんて聞いちゃあいなかった。

 だがそんな二人にリアは心が温かくなるのを感じて、まだ硬さの残っていた表情も自然と笑顔になっている事に気が付いた。



「妹か……」



 何とも慣れない存在になったものだと、しみじみそう呟くと、隣にいた奈々はそれを耳ざとく拾っていた。



「妹……。ねえ、リア」

「なんですか? ナナ」

「おとーさまと、おかーさまの妹の事を、その子供が何と言うか知ってますの?」

「え? そりゃあ、おば──お姉ちゃんですね!」



 何を言わせようとしてきたのか察したリアは、無理やり軌道修正した。

 まさか十代の身空でおばさん呼ばわりは、あんまりだと思ったからだ。



「ふふふー。嘘は良くないですの、リアお・ば・さ・ま♪」

「おばっ──。ナナ!」

「おばさまが怒ったですのー」

「あっ。こらっ、逃げないでくださいっ」



 てててーっと逃げていく奈々を追いかけようとするも、竜──それも今や高位の中でも上級に位置する竜と化した奈々に追いつけるはずもなく……。

 リアは限られた空間内にも関わらず、あっさりとまかれてしまった。



「もうっ」



 少し離れた所で、未だにリアをおちょくってくる奈々。

 今もなお、どっちの妹だなんだとくすぐり合いをして、じゃれ合っている竜郎と愛衣。

 そしてそれを、ほんわかした目で見守るカルディナ、ジャンヌ、アテナ。



(これが家族ってモノなんですかね)



 そうしてリアは奈々に見えない様に床に俯いて深く笑みを頬に浮かべ、再び奈々を追いかけ始めるのであった。



「ナナーーーー!」

「こっちですのーーーー」

これにて第五章の終了です。ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

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