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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
第五章 呪われた少女編

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第226話 不思議な お得空間

 一応警戒はしつつも、本当に何もしないでいい時間がぽっかり出来上がったのでリアは研究。

 他の面々は適度に休みつつ、自分のスキルを磨いたりしていた。


 突然こんな事態に巻き込まれて出鼻をくじかれた気分だったが、喜ぶべき点が見つかった。

 実はこの場所。何故かスキルレベルの上昇、取得が異様に早いのだ。


 おかげで竜郎は竜種でもないのに、元々覚えていた《魔力質上昇》はLv.4から5へ。《魔力回復速度上昇》はLv.3から6へ。

 《集中》 はLv.4から8へとニョキニョキあがった。

 そしてさらに新スキル《連弾 Lv.2》《魔法密度上昇 Lv.3》《魔法生成上昇 Lv.3》《多重思考 Lv.1》と四つものスキルを自力で会得した。

 これらは竜郎と相性が悪かったのか、他の場所で覚えようとしてもなかなか覚えてくれなかったものばかりだった。

 まず連弾はレベルの数だけ、直前に行った攻撃や魔法を瞬時に出せるスキル。

 魔法密度上昇は一つ一つの魔法の密度を上げることで、その威力を底上げするスキル。

 魔法生成上昇は、魔法の組み立てを早めてくれるスキル。

 最後の多重思考は、いっぺんに複数の事を考えられるようになるスキル。

 しかしこれは魔力消費が激しいスキルの様なので、常時発動は厳しそうだった。

 後は余談だが、宝物庫で取得した自動で守護してくれるスライム──愛衣命名、セコム君の操作訓練もしておいた。


 お次にカルディナは、《竜翼刃》をLv.5から7へ。

 《竜力回復速度上昇》をLv.7から8へ。

 そして《竜飛翔》を自力で《竜飛翔 Lv.10》まで上げた結果。《竜飛鳳舞》という称号を覚えた。

 ちなみにこの称号は《飛翔》または《竜飛翔》行使時に限り、竜力の消費大減。体力の消費大減。飛行制御能力が大増。

 さらに常時速力をプラス200。と飛行能力が大幅に上昇するものだった。

 後は《竜力質上昇 Lv.2》もついでに覚えた。


 ジャンヌは《竜角槍刃》をLv.7から9へ。《竜飛翔》をLv.4から7へ。《竜力回復速度上昇》をLv.7から8へ。

 そして新たに《竜尾閃 Lv.5》と、《魔法生成上昇 Lv.6》も覚えた。


 奈々は《浮遊》をLv.6から8へ。《竜吸精》をLv.6から8へ。《竜飛翔》をLv.5から8へ。《毒魔法》と《解毒魔法》を共にLv.6から8へ。

 《かみつく》をLv.6から9へ。《ひっかく》をLv.2から7へ。

 《急加速》をLv.2から4へ。《竜力回復速度上昇》をLv.5から8へと上げた。

 そして新たに《竜爪襲撃 Lv.6》、《竜尾閃 Lv.2》と《魔法密度上昇 Lv.5》も覚えた。


 リアは《鍛冶術》Lv.6から9まで自力で上げ、それ以上はこの空間でも無理そうなので(261)あったSPを(153)消費して一気に《鍛冶術 Lv.12》まで上げた。

 その結果《鍛冶を修めし者》という称号を覚え、効果は筋力と魔法力をプラス150。鍛冶スキルの制御能力上昇というものだった。

 さらに《集中 Lv.8》と鍛冶術のレベルが8以上で取得できるようになる《ステータス効果付与》というスキルも覚え、現在のレベルはLv.3まで上げることに成功した。

 ちなみにこれは元々目的を持っていない物ほど、高い効果を付けられる。

 具体的には、剣や槍などは攻撃する目的。盾や防具なら防ぐ目的などという観点から、これらは相当高レベルまで上げないと高い効果を付けるのは難しい。

 さらに武器なら筋力なら上げやすいが、魔法系統を上げるのは難しく。

 防具なら耐久力は上げやすく、魔法系統は上げにくい。

 杖なら魔法系統は上げやすいが、武術系統のステータスは上げにくいという制限がついていた。

 だがネックレスやイヤリングなどの装飾品になら、低いレベルでもそこそこの効果を付与できるらしい。


 アテナは《竜力路》Lv.6から9。《乾坤一擲》Lv.3から5。

 《竜力回復速度上昇》Lv.5から8へ。《鎌術》をLv.3から8へ。

 そして《竜装》はLv.6から10まで自力で上げて、称号:譎詭変幻けっきへんげんを覚えた。

 それにより竜装を部分的に属性変化させたり、ある程度好きな形に変化させられるようになった。

 また新たに《竜尾閃 Lv.3》も覚えた。


 そして最後に一番変化の多かった愛衣はと言えば、以下の様に変わった。



 --------------------------------

 名前:アイ・ヤシキ

 クラス:武王

 レベル:52


 気力:7736

 魔力:135

 竜力:910


 筋力:2452

 耐久力:2400

 速力:2203

 魔法力:135

 魔法抵抗力:135+100

 魔法制御力:135


 ◆取得スキル◆

 《武神》《一発多貫 Lv.3》《砲刃矢石》

 《体術 Lv.12》《棒術 Lv.10》《投擲 Lv.10》

 《槍術 Lv.12》《剣術 Lv.12》《盾術 Lv.10》

 《鞭術 Lv.9》《斧術 Lv.9》《弓術 Lv.9》

 《扇術 Lv.9》《槌術 Lv.9》《かみつく Lv.9》

 《鎌術 Lv.9》《竜尾閃 Lv.9》《気力回復速度上昇 Lv.8》

 《身体強化 Lv.10》《集中 Lv.2》《空中飛び Lv.5》

 《遠見 Lv.6》《受け流し Lv.4》《危機感知 Lv.4》

 《軌道修正 Lv.2》《溜め突き Lv.3》《居合斬り Lv.3》

 《反射 Lv.2》《硬質突破 Lv.2》《急加速 Lv.2》

 《重量増加 Lv.2》《全言語理解》

 ◆システムスキル◆

 《アイテムボックス+7》


 残存スキルポイント:201

 ◆称号◆

 《体を修めし者》《棒を修めし者》《投を修めし者》

 《槍を修めし者》《剣を修めし者》《盾を修めし者》

 《剛なる者》《打ち破る者》《響きあう存在+1》

 《竜殺し》《竜を喰らう者》《すごーい!》

 --------------------------------



「沢山変わったんだよ!」

「だなあ。まずはクラスが武将から武王へ……。

 将軍から王様にクラスアップしたと思えばいいのか」



 愛衣が《鎌術》を覚えた瞬間。クラスが武将から武王にクラスチェンジし、《砲刃矢石》というスキルを覚えたのだ。



「大出世ですの!

 確かこの《砲刃矢石》というスキルは、装備している武器の種類が多いほど、ステータスが強化されるというものでしたっけ?」

「うん。そーだよー」

「後は槍術の派生スキル《溜め突き》。剣術の《居合斬り》。

 扇術の《反射》に槌術の《硬質突破》、獣術の《急加速》、斧術の《重量増加》……一人でこれ全部とか。もう訳が解らない次元ですね」

「んで、残ったのは、鞭術の《錯視》と鎌術の《隠密迷彩》か」

「その二つは、特に覚えるのが難しーらしいんすよね。

 あたしも鎌術の《隠密迷彩》覚えようとしてるんすけど、中々覚えられないっす」

「ねー。大体訓練方法も良く解んないんだよ」



 《錯視》は相手に錯覚を見せて鞭の軌道をずらして見せるスキルで、訓練法は真実を見極める目を養う事。

 《隠密迷彩》は鎌を透明にして見せないようにするスキルで、訓練法は自然と一体化する事。

 と。何処かフワッとした説明で、具体的な方法も何だか要領を得ない物ばかりだった。



「まあそれでもだ。

 謎の空間内補正が入った事を考慮に入れても、平気で上限突破を無視して12レベルまでいっちゃうとか。

 ほんとに《武神》ってスキルの効果は凄まじいな」

「へへーん。それに竜の技も適用されたんだよね」



 リアが愛衣の鞭をもっと気力の許容量を上げるために改造し、その際に竜の素材を使った。

 そしてその鞭に愛衣は気力ではなく竜力を込めて放つと、以前魔竜戦でみた《竜尾閃》が放てるようになったのだ。

 そしてそれを尻尾が使えるジャンヌ、奈々、竜装展開時のアテナの三人が真似た結果。三者とも使えるようになったのだ。


 そうして愛衣も含め、他の面々もスキル習得率があがる空間の恩恵に預かり強化される事四日間。

 ようやく、竜郎達のいる空間に次の階層へと進むポイントが現れた。

 そしてそれと同時にスキルの習得率も前と同じに戻ってしまったので、竜郎達は長居は無用だとばかりにそこへと飛び込んでいった。



 飛び込んだ先に見えたのは、以前と同じ巨大ないかだの上だった。

 景色も同じで、相変わらずゴミ一つ無いどこまでも続く美しい水平線。

 そして変わらず、水の流れが無いのに勝手に進む筏。

 違いを探せと言う方が難しい。



「……何にも変わって無くない? 手抜きかな」

「あー…。まあ、フォーマットが残ってるなら使い回したいよな」

「階層はリセットされちゃったんすかね」

「そうなったら、さすがに面倒ですの」

「…………いえ、どうやらここは二十四層目扱いでいいみたいですよ」



 そう言いながらリアが《成体化》状態のジャンヌのお腹の下あたりの筏の床を指差し、皆の視線がそこへむくと「二十四層ですよー」と小さく書かれていた。



「何時の間に、こんな小技を仕込んだんですの…」

「ん~。それじゃあレベル7からレベル8になると、最大何層まで潜んないといけないの?」

「確かレベル7の時は、二十二階層から二十九階層だったすよね?」

「ああ。……ちょっと待ってくれよ~。

 えーと、レベル8のダンジョンはー………………あった。

 二十六階層から三十四階層の間でボス部屋の扉が見つかるらしい。

 だから一番運が悪くて三十四階層だな」



 竜郎が《無限アイテムフィールド》から出したダンジョンの本から得た情報を、そのまま伝えた。



「あと二層で圏内には入る訳ね。そんじゃま、頑張りましょうかね」

「ああ、その前にタツロウさん。これを返しときますね」

「おっ。前よりスリムになってるな」



 リアにまた杖を貸していたのだが、今回はナットの様にくっついていた四角い箱が取り払われて、鉛筆キャップのような物が嵌められていた。



「まだ試作品なので既存の物にかぶせただけですが、もう少しで一つの形が出来そうです。

 そうしたら新しい杖を丸さら一本造ってみますね」

「ああ。楽しみにしてるな」



 竜郎はリアの研究の為に、手に入れたありとあらゆる素材を提供している。

 だがあえてどんなものができるのかは一切聞かず、どんな素材で何ができるのかと、クリスマスプレゼントを貰う子供の様に楽しみにしているのだ。

 そんな子供の様な気持ちを隣で感じた愛衣は、可愛いなあと竜郎の頭をなでなでした。

 ──と、そんな時だった。

 愛衣の遠見の目に、黒い霧のような物が見えた。



「ねー、たつろー。あそこに出てる、霧みたいのは何かな?」

「え? どれだ?」

「ずーと真っ直ぐいったとこ」

「ん~?」



 愛衣の遠見スキルのレベルが以前よりも上がったことで、遮蔽物のない開けた場所なら竜郎とカルディナの探査範囲よりも先を見通せるようになっていた。

 そのため竜郎はカルディナと共に水中探査と周辺探査の魔力を巨大球型から、小球から直線に伸びる棒型に探査範囲を切り替え、より遠くまで調べられるようにした。



「見つけた。──これは霧なんかじゃないな……」

「それじゃあ、なんなんですの?」

「小さな……って言っても十センチはありそうだが、それくらいの小型魔物の集合体だ」

「げえっ。あれ全部魔物なの!?」



 もしそれが本当なら愛衣の目の前に見えているそれは、千や二千をはるかに超えていることになる。



「しかもそれ全部が、そこそこ強い」

「そこそこって、どれくらいっすか?」

「まだ遠いのと魔法抵抗力が強いみたいだから詳しい事は解らないが、反応からしてアレ全部が50レベルを超えてそうだ」

「50オーバーの魔物が大量にですか。さすがに危なそうですね」

「魔法抵抗力が高いって言ってたけど、たつろーでも手を抜けないレベル?」

「少なくとも、手を抜いた一撃で仕留めるのは難しいだろうな。

 ここは大範囲の高火力魔法で殲滅するのが安全か」



 しかし、それらを殲滅しただけでこの層が終りだとは限らない。

 そしてダンジョンレベルが上がったせいで、敵の格も上がっているようだ。

 なので出来るだけ省エネでいきたいという気持ちもあった。

 けれど誰かが傷つくよりはマシかと、竜郎はカルディナ達と混合魔法の準備に取り掛かろうとした。

 だがそれに愛衣が待ったをかけてきた。



「ちょっと私にもやらせてもらっていい?

 それで数を減らせれば、魔法の範囲も小さくできるでしょ」

「いいけど、どんな事をするつもりなんだ?」

「ふふん。こんな感じの事をしようかなあってね」



 愛衣は竜郎に心象伝達で頭の中のイメージを伝えていく。



「これは愛衣補正での誇張無し?」

「愛衣ちゃん補正は一切含まれていない─────と思う!」

「自信はないんかいっ!

 うーん。でも確かにこれができれば、こっちも抑え気味でいけるしな。

 やってみてくれ」

「あいよー!」



 そうして愛衣は竜郎に後ろから背中を触って貰った状態で、体術スキルの竜の気獣を呼び寄せると右手に白い気力を、左手に黒い気力を溜め込んでいく。

 すると愛衣の右の拳と左の拳の気力が白竜と黒竜の頭部の形を取り始め、そのあまりのエネルギー量に周辺の空間が歪み始めた。



「片手だけで凄まじい力ですね。

 普通の人ならその十分の一も捻出できないでしょうに」

「ふふ。使った端からドンドン回復してるから、まだまだいけそうだけどね。

 それにまだまだ付け足すよー!」



 愛衣は両肘を引いて、本来は槍術のみのスキル《溜め突き》を発動させて溜めていく。

 すると溜めている間、白と黒の竜の頭にさらにエネルギーが蓄積されていく。

 そして水の流れのままに筏は進んでいき、やがて小型の魔物の大軍で構成された黒い霧が肉眼でも見えてきた。



「それじゃあ、いくよーーー!」

「よっしゃあ。いったれー!」

「八敷流奥義! ロケットドラゴンぱーーーーんちっ!!」



 愛衣は《一発多貫 Lv.3》を発動させながら、まず右の拳を魔物の大軍に向けて振りぬいた。

 すると右拳に宿った白竜の頭部が四つ、その方角へと真っ直ぐ飛んで行った。

 そして続いて左拳の黒竜にも《一発多貫 Lv.3》を発動させながら振りぬけば、黒い竜の頭部が四つ飛んで行った。

 そしてその八頭の竜の気力が霧の中に突っ込んでいくと、食い破る様にその空間に存在した魔物を消し飛ばし穴をあけていく。



「まだまだあ!」



 本来は投擲でのスキル《軌道修正 Lv.2》を発動して、八頭の竜の気力の軌道を変えて八方向に散らしていき、さらに霧の中に穴を増やしていく。

 そして霧の中から八頭の竜の気力が抜け出しそうになったところで、さらに二回目の軌道修正を発動させて、より多くの魔物を消し飛ばしていった。

 そうして魔物の数を減らした結果、目に見えて小型魔物の集合体で出来た霧が薄くなっていた。



「よし。愛衣のおかげで大分減ってくれた。

 残りも一気に片付けるぞ!」

「おー!」「ピィイ!」「ヒヒン!」「ですの!」「はい!」「やるっす~!」



 そうして竜郎たちは筏が進むままに、魔物の霧へと突撃していくのであった。

次回、第227話は5月3日(水)更新です。

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