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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
第一章 森からの脱出編

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第21話 異世界なんだ


 見張りを交代した愛衣は、竜郎から引き継ぎの時に聞いた称号を調べてみることにした。



 --------------------------------

 名前:アイ・ヤシキ

 クラス:体術家

 レベル:27


 気力:3780

 魔力:35


 筋力:735

 耐久力:717

 速力:485

 魔法力:32

 魔法抵抗力:32

 魔法制御力:32

 ◆取得スキル◆

 《武神》《体術 Lv.6》《棒術 Lv.1》

 《投擲 Lv.7》《槍術 Lv.1》《剣術 Lv.1》

 《気力回復速度上昇 Lv.5》《身体強化 Lv.9》

 ◆システムスキル◆

 《アイテムボックス》

 残存スキルポイント:28

 ◆称号◆

 《打ち破る者》《響きあう存在》

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「気力の数値がえらいことになっとる…」



(っと、そうじゃない、称号はーこれか…………………………)



しばらく、称号の説明を熟読し、またステータス画面に目を戻した。



(あれ? じゃあ《打ち破る者》がなかったら私の魔法力とかは2だったってことなの?

 とことん魔法から切り離していくスタイルなのね。まぁーうちにはたつろーがいるし、いいもんねー。

 あとは……《響きあう存在》の念話かー。いつでも、たつろーと連絡取れるなんてちょっと嬉しいかも)



 愛衣の口元がにへらっと曲がり二人で一緒に取った称号を眺めていると、バシャバシャと水の音が後ろの川から聞こえてきた。



(──なに?)



 塀から身を出さないように、うつ伏せになってのぞき穴からそちらを観察すると、四十センチほどの大きさの何かが魚を捕まえようと、川の中で暴れていた。



(川で生きてる生物なのかな? 森の方からきた様子もないし、見た目も水棲生物っぽいし)



 月明かりに照らされた、その外見を注意深く観察すると、それは──。



(ザリガニ? でもハサミのとこが針みたいになってるけど……)



 そう、まさに外見はザリガニであるのだが、であるなら本来ハサミが付いている場所には、針というよりもりに近い先端に返しが付いた突起物を備え、それを槍のように突いて魚を刺していた。

 やがて、両手の銛には計五匹の魚が刺さっていた。それでも、魚は逃げ出そうと暴れるが、抵抗(むな)しく陸に上がったザリガニモドキに、バリバリと餌へと変えられていった。

 そうして全ての魚を骨すら残さず食べ終わると、川に飛び込み、流れに逆らうように川上へと泳いでいってしまった。



「アレの名はザリバリね」



 やってやったぜ、とでも言いたげな顔で満足そうにして、愛衣はザリバリが行った方向を眺め続けた。

 


 それからは特に珍しいことも起きず、愛衣は残りの時間を有望なスキル探しに当てて過ごした。




 愛衣の見張りの時間が終り、今は竜郎が見張り番をしていた。

 健やかに眠る愛衣の姿に癒されながら、地球のものよりずっと大きな月を眺めていた。



(こうしてボーっとするのもたまにはいいなぁ。

 こっちに来てから起きてるときはずっと何かしらしてたから新鮮だ)



 そんな風に何をするでもなく自然の音を聞きながら過ごしていると、不意に月に何かの影が入り込んできた。

 初めは鳥かと思いなんとなく眺めると、その影はどんどん月に覆いかぶさるように入り込み、ついにその姿を月明かりにさらした。



 「────どら……ごん?」



 それはとても大きく、美しく煌めく銀鱗で全身を覆い、蜥蜴とかげのような顔に長い首、しなやかな筋肉を持つ体、鋭い爪の生えた手足、またその背中から伸びる巨大な翼をはためかせ、長い尾をしならせて空をゆっくりと飛んでいた。


 まるで、そのドラゴンのために空があると言わんばかりの存在感に、竜郎は目を離すことができなかった。

 ──すると、不意にドラゴンの顔がこちらを向いた。



「────っ」



 気絶しそうなほどの圧迫感が竜郎に迫ってきた。ただ見ているだけなのに、恐くてたまらなかった。なのに視線を逸らすことすらできない、体が動かないのだ。

 やがて、そんな竜郎に興味を無くしたのか、ふんっという風に顔を戻すと、ニヤリと笑ってそのまま虚空の彼方へと飛び去ってしまった。



 「──笑ってた? なんで……?」



 大方、見られただけで動けなくなった自分を馬鹿にしたのだろう、と結論付けると一気に体の緊張が解けた。

 そして同時にそよ風を冷たく感じて何かと思えば、全身に汗をかいていたことに今更気付く。



「うわー、冷や汗ってレベルじゃないだろ……」



 べたつく肌と異様な疲労感に苛まれながらも、あの美しい銀のドラゴンが竜郎の頭から離れなかった。

 確かに竜郎は恐かった。けれどそれと同じくらい感動もしていた。



(ドラゴンだったよな。映画やゲームでもない本物のっドラゴン!)



 大きな月を背景に、神々しい光を放ちながら悠然と飛翔する姿。地球に居たら一生目にすることのできないその風景を、竜郎は一生涯忘れることは無いだろう。



「異世界────なんだな」



 未だ収まらぬ胸の鼓動を心地よく思いながら、竜郎はそんな今更なことを口にして、笑った。



「────ん?」



 あの景色に浸っていた竜郎の耳に、微かだが「キィキィ」という甲高い音が聞こえてきた。それは次第に大きくなり、さらに翼をはためかせるような音まで聞こえてきた。それも大量にだ。



(いったいなんだっ)



 その存在を知るために探査魔法を、ドーム型から直線型に変えそちらに向けた。

 しかし一歩遅くその集団が一斉に木々を抜けて飛び出してきた。



「コウモリかっ」



 大きさが三十センチはありそうだが、それ以外はコウモリと言って差し支えない容姿をしていた。

 最初は竜郎達の頭上を飛び越え、川向こうの森林へと飛び去っていっていたのだが、途中から竜郎達を一体が見つけると一斉に上空から迫ってきた。



(そのまま行けばいいものをっ)



 喉の奥でそう叫ぶと、愛衣の手を握った。

 そして《響きあう存在》を発動させると、竜郎は小さめの赤い光球を百個、自身の周りに一瞬で生み出し、それらから一斉にレーザーを連続で何回も上空に放った。

 その圧倒的なまでの手数で瞬く間にコウモリたちに引導を渡していく。こちらに落ちてくるものは、さらに竜郎が手から太いレーザーを撃って焼き消していく。

 それが三十秒ほど続くと、元の空と月が戻ってきた。



(後は生き残りを探査魔法で探って、と)



 さっき役にたてられなかった探査魔法をドーム型に戻して、死にぞこなったコウモリたちを探していく。

 すると三匹ほどまだ息のある個体を見つけ、順に《レベルイーター》を使っていった。

 内訳は──。



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 レベル:4

 スキル:《飛翔 Lv.1》《かみつく Lv.2》《吸血 Lv.2》

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 レベル:8

 スキル:《飛翔 Lv.2》《かみつく Lv.4》《吸血 Lv.3》

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 レベル:5

 スキル:《飛翔 Lv.1》《かみつく Lv.3》《吸血 Lv.1》

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 ──となり、微量のレベルとSPを頂いてから止めをさしていった。

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