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お母さん
「んじゃあーなぁ」
「バイバーイッ」
途中でみんなと分かれる。
そして、ここからは領と2人。
いつもと同じ。
だけど、今日は違った
「あっ、ありさ!領くん!」
「えっお、お母さん!?」
「ただいまー♪
元気にしてた?2人ともっ」
茶色い髪のセミロング。
満面な笑でこちらに駆け寄ってきたのは
海外を転々とする、お母さんだった。
「どうしたの?
・・・まさか、喧嘩?」
「そのまさか!
喧嘩しちゃったのよぉ♪
だから、しばらくよろしくね。
そのあいだは、私が料理するから!」
その言葉に、隣にいる領が目を輝かせる。
うちのお母さんの料理は、プロかお前の腕前。
領もお母さんに胃袋を掴まれたうちの一人。
「私の料理じゃ不服かっ」
「ありさの料理もおいしいよ。」
「も、ってなによ、も、って!
どうせ、どう頑張ったってお母さんには勝てないもん。」
「はいはい。夫婦喧嘩はそれまで。
入籍してからにしてよね♡」
「絶対にそんなことにならないから!」
肩で息をしながら言葉をまくしたてる私に
領は声を押し殺しながら笑ってた