紳士的な友人
「んじゃあ、とりあえず
テーマからきめてこ。」
悟くんの合図。
今は、委員長副委員長会議で
その中でのリーダーが悟くん。
副が、水野司くん。
「やっぱさぁ、経費削減がいいよなぁ。」
そう提案したのは、司くんだった。
「オバケ屋敷は!?」
「却下。」
「なんでだよぉ、司ぁ」
「絵の具と、ダンボールと・・・
どこが削減されてんだよ。
先輩が言ってただろ?かなり時間と金がかかるって。」
「そうだけど・・」
「んじゃあ、喫茶店は?」
「え?」
ポロッと私がもらした言葉に、司くんは目を丸くした。
元々、怖い顔をしている彼は、
驚いただけでも、かなりの迫力(笑
「え、あ・・・ごめん。」
「いや、ありさ。
ちゃんと話して?」
「あ、うん・・・
だから、喫茶店とかだったら
お茶とちょっとしたお菓子ですむでしょ?
セットで150円とかだったら、
お客さんも払いやすい金額だし、
お茶とお菓子だったら、クラスに配られる
お金の10分の1も使わずにすむと思う。」
「・・・うーん」
「あ、あくまで一案なんだけど・・・」
今までにないくらいの、沈黙が広がる。
一瞬にして変な汗をかく。
そんな沈黙をやぶってくれたのは
悟くんだった。
「うん、いいんじゃない?」
「え?」
「司もそう思ったんでしょ?」
「うん。
さとっさんが賛成なら、俺は迷いなく賛成。」
「んじゃあ、喫茶店ってことでいこうか。」
ホッとしたような、なんというか・・・(笑
「んじゃあ、俺の組はメイドやりたい。」
「なんで?」
「俺ね、麻里ちゃんのメイド姿みたいのw」
「変態かっ」
麻里ちゃんっていうのは、
この学年で1、2を争うほどの美女。
「はい、本田くんは不純の動機により
事を進めようとしたので、却下でーす。」
「なんでだよ!」
「麻里ちゃんのメイドが見たいなら、
プライベートでどうぞ。」
「で、できるなら・・・」
「そこで赤くなるなよ。」
「変態変態!
この、ボウズ!」
「ボウズは関係ないだろっ」
本田くんと、歩美ちゃんが言い合う。
歩美ちゃんが、実は本田君を好きだっていうのは
まあ、当の本人以外は知ってることなんだけど・・・
「まあまあ、歩美ちゃん。
そんな本田を責めないでやって。」
「む~・・・同じ部活だからって
いっつも悟くん、本田くん庇って・・
悟くん、本田くんが好きなんじゃないの?」
歩美ちゃんは、ちょっと意地悪い顔で言う。
「や、矢野・・・
俺はなんて返事をすれば・・・」
「普通に困るな!」
「まあ、本田のクラスでのメイドは保留として・・・」
「あとは?」
「ホストとかは?」
「ホスト?」
「ほら、ありさちゃんのクラスでさっ」
「私のクラスで?」
「だって、イケメンが3人もいるじゃんっ」
「司くんのクラスは・・・
司くんと、義ちゃんだけだから・・・
イケメンは、1人でも多いほうがいいと思うし・・・」
「ま、待って!
それって俺も含まれてる?」
悟くんは、キョトン顔で言う。
「もちろん。
領くんと、悟くんと、龍くん。
この三銃士で決まりよ。」
「いや・・・俺たち3人はホストに向いてないと
思うんだけど・・・」
「いーの、いーの。
座ってるだけでいいんだから。」
むちゃくちゃなことを並べる歩美ちゃん。
「あ、でもありさちゃんはメイド着てほしい!」
「なんで?」
「だって、絶対可愛いもん。
人気ナンバーワンだよ、絶対!」
「いやいやいや・・・」
「ありさちゃんのメイドは反対。」
「何でよー悟くん。」
「何でも。
これ以上モテたら困るもん。
ね、司。」
「だな。
競争率高くなっても困るし。」
「はっはーん、なるほどね。」
「なにがなるほどね、よっ
私、よくわかんないんだけど・・・」
競争率って?
人気って?
モテるって?
誰のことを言ってるの?
私の頭の中は?でいっぱいだった。
「ま、ありさは気にしなくていいんだよ。」
紳士的に、微笑む司。
その笑顔に、今何人の女子が倒れたことか・・・
紳士的に、何事もスマートにこなしてしまう彼は
水野司くん。