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プロローグ 転落

「――――またも魔女狩りのニュースです。昨夜、××川の河原で焼死体が発見されました。警察は遺留品などから魔女狩りと判断して調査を進めています」

青木芳喜は溜息をついた。

世に魔女や魔術師の存在が明るみに出て五十年の歳月が過ぎようとしているのに未だにその人々との共存を望まない人間がこういう事件を引き起こしている。

それに明るみに出る前から薄々は皆誰しもが気付いていた筈、否、確信していたのだ。

それなのに、こんな事件が起こるのは怒りの捌け口としか考えられない。

「行ってきます」

誰もいない家に向かって飲みかけの牛乳を飲み下してそういうと玄関を出た。



「芳喜ちゃーん、元気にしてまちたかー?」

河嶋代智が朝から抱きついてくる。

正直鬱陶しいと思うが身長で圧倒的に負けているので振り払うことすらかなわない。

代智とは中学からの付き合いからでいつも過剰に体に触れようとしてくる所だけは今も好きになれない。

そしてこの変人が今までの中で最も異常な行動に出たのは高校受験の時だ。

俺が定時制高校に行くという事を知って奴は県内トップの高校の入学をけって定時制のこの高校に入学したことだ。

ストーカーじみた奴だとは思うがそのお陰で今まで不良からの攻撃は受けたことがない。

「ちょっ、お前離せよ」

やっとのことで河嶋から解放されると河嶋が思い出したように言った。

「見慣れない黒いスーツの男が芳喜ちゃんのこと探してたけどもしかして借金の取り立て?」

「は?」

「だから、借金取りみたいな奴が芳喜ちゃんのこと探してんだって。あの顔は絶対堅気じゃないね、任侠だよ、に・ん・き・ょ・う」

全く覚えが無い。

借金なんて親の遺産があるからしたことがないし、腹いせに車を蹴った覚えもない。

「お前が青木芳喜で間違いないな?」

いつのまにか背後に立っていた男がそう言うといきなり腕を捻り上げられた。

痛さのあまりに声を上げてしまった。

「喚くな、付いてこい」

男は低い声で囁くと歩き出した、河嶋が気の毒そうに見つめるのを最後に見た様な気がする。


「血液検査、指紋照合、光彩識別全てにおいて青木芳喜と認定されました」

白衣を着た女が無機質にいう。

ここはどこだろうと考えてもアイマスクを着用していた、男が有無を言わさず着けるように命じたからなのだが此処がどこかなんて見当もつかない。

「ここはど………」

「私にその質問に対する返答する権限はありません」

即答。

「待たせて済まなかったね」

突然金属質の重厚なドアが勢いよく開けられたのに驚く。それ以上に驚いたのは勢い良くドアを開けたのが老人だったからだ。そして老人は捲し立てるように喋る。

「此処は△△市の病院にある地下施設で、我々は能力者協議会。君を連れてきた理由は君に呪いがかかっているからだ、そして君にはこれから能力者による犯罪を阻止して貰うべく死ぬ気で働いて貰う。これに対する拒否権は君にはない」

全て質問しようとしていた内容だ。

「何故質問の内容が解ったかは置いておくとしてこれをみてくれたまえ」

モニターには一人の男が映し出されている。

その男を囲むように黒い靄がかかっているように見える。

「見えるだろ?」

「は、はい」

「しかし、私には見えない。これが君にかかった呪いなのだよ」

老人はそういうと息を吸い込んで言った。

「君の呪いがどんなものか説明するのは難しい、習うより慣れろだ。簡単な事だ、今からちょっとこの男を殺してきてくれ」


稚拙な文章ですが読んで下さって本当にありがとう御座います。これからもより一層良い文章をかけるように努力します。

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