“ま”王の嫁探し
「陛下、また随分長い独り言ですね」
大仰な玉座の手すりでブリッジをしている青年の横に控えている男は努めて冷静に口を開く、……若干口元が釣りあがってヒクヒクしているが。
「そして玉座の隣で俺に突っ込んでいるのが内務大臣」
陛下と呼ばれた青年がそのふざけた姿勢そのままに、淡々と語る。その視線の先に人なんてもちろん居ない。
「あの、全部声に出てるんですが……」
「年齢不詳・本名不詳・外見不詳・むしろ全身モザイクなナイス変態の名を欲しいままにするナイス■■■■だ!!(キュピーン)」
「そもそもダレに話しかけてんですか!!それに私は■■■■■■■■■という名前で■■才です!!……てっ何勝手に人の名前と歳を伏字にしてるんですか!!」
「内大臣空気読めよ~今いいとこなんだから~~……一つ目の答えは世の中(天蓋)にかな?これが小説だったらどっかで自己紹介しないと俺がどんなキャラなのかわかってもらえないだろ?二つ目はキニシタラマケwww」
今さっき書類の束を抱えて自分の傍らにやってきた男、すなわち内大臣に視線だけを向けて悪戯っぽく口をとがらせる。その仕草は実年齢よりもやや幼く見えることだろうが本人は気にしない。むしろわかってない。
「訳が解りませんがいいでしょう、陛下のフリーダムは今に始まったことではありませんしね」
「ウム、ヨキニハカラヘww」
……内大臣も慣れているようだ。突っ込みもそこそこ、たまに人の言葉を発しているのか判らない王に話を切り出した。
「……はぁ、ところで国内第四期国政決算の結果を報告をいたします。まずこちらの資料に御眼通しを」
そう言って玉座の上でブリッジしている王、すなわち田嶋諒に書類を渡す。諒も片手で器用に受け取ると軽やかに玉座に座りなおした。表情も今までのふざけた様子は消え、整った端正な顔になっている。
「ふ~ん。国民不満度も軒並み安定。GDPも順調に伸びてるし、治安も今のところ悪くはないね、南“ま”国の都市部を除いては……」
「致しかた有りません、貿易の要所ではありますし、なにより、流れてくる旅人や荒くれ者も多いと聞きます。今後取り締まりの強化を?」
諒は忌々しげに首を振る。
「いや、そんなことしてもしょうがないよ。縛りすぎても人が逃げてくだけだし、こちらから呼びかけてだめなら、痛い目見てもらいましょ、しばらくは経済特区としての整備でいい。新しい産業でも確立できれば一番いいけど、それこそ長い目で見なきゃだめだから案だけ考えとこう。それよりも東“ま”国のインフラ整備のが先だ、あそこはまだ貧困層が多い上に過疎化が進みかねない。産業開発も忘れずに。外交については現状維持の方向で」
「かしこまりました」
最初とは打って変わって的確な指示を出す諒に内大臣はそれにしたがった。
その他いくつかのやり取りの後
「ってなわけでこの議題終了~。そんなことよりもさ~、もっと大事なことがあると思うのだよオレサマテキニ~ィ」
今までの真面目くさった表情から一転、またなにか思いついたようだ。背もたれに寄りかかり大臣をいたずらっぽく上目遣いに見上げる。はっきりいってうざったいが、大臣は気にしない。
「と、申されますと?」
少し意地悪く内大臣が聞き返す。
「うん。俺もこの四年間色々がんばってきたよね……」
「はい」
さらにしつこく内大臣が相槌を入れる。
「今や周辺諸国四つを併合して大国作った王な訳だ、オレは」
「その通りです」
大仰に頷く内大臣。
「でもその前にまだ十八のお年頃な男の子なわけで」
「ええ」
いい加減その態度をやめていつも通りにスルーの姿勢を決めないか?
「そろそろ俺もさっき世の中に対する自己紹介で言ってたみたいに変わってみたいかな~、とか思うわけだ」
たまに突拍子もないことを口走って周りを困らせたりするこの“ま”王なのだが今回もまた存分に困らせたいらしい。だがそこで返ってきた答えは王の予想を完膚なきまでに上回るものだった。
「かしこまりました。すぐに準備をいたします陛下!!」
「(・3・)アルェ~?」
「陛下はお后様をお迎えになられたいと仰るのでしょう?」
「え?」
”ま”王はとうとう、内大臣に心のどこかにあった隙を大いに突かれたようだ。
「陛下ももう御年十八になられて私もそろそろ陛下にはお世継ぎのことも見据えていただきたく考えていた所、早速候補を集めて、お后選びを執り行いまましょう!!すでに下準備は出来ております故、一週間もあれば后候補が集まることでしょう!!」
内大臣は魔王でも討ち取った勇者が武勇譚を話すように、局所的に具体的過ぎる話題を“ま”王の前で宣言した。
「・・・・・・?あれ!?ちょっと!!」
「それでは私も準備を進めますのでこれにて失礼いたします。」
そう言い残し内大臣は足早に去っていった。
今起こった現象に精神レベルで対処しきれていない青年を残して。
「一週間は無茶じゃね?JK←(常識的に考えての略)」
”ま”王はきょとんとした呟きが玉座の間にむなしく響いた。
……そして。
4月第2週
「……で?どうしてこうなったし?」
大広間の奥にある吹き抜けの階段の上の大きな扉を少し開き、そこから大広間を覗き見る諒。その先には多くの人間(?)それもほとんどが女性が集められ、賑わいを作っていた。
「中央と東西南北“ま”国、全ての自治体から一人ずつ選出された、選りすぐりの美女がここに488名です」
諒の背後に控える内大臣がしれっと報告する。
「へ~……488。そんなに自治体があったんだこの国。まあ知ってたけどさ。本当に集めちゃったよこいつ。で、選抜の基準は?そもそもオレがお嫁さんが欲しいなんていつ言ったよ?」
「その基準や選抜方法などは自治体の長や行政機関に一任しました。一人選んで送るようにと。富豪や大物商人の娘、自治体の有力者の娘などが多数ですが、中には民主的な方法で選ばれた者や、なぜかわかりませんがまったくの平民から選ばれたものもおりますね」
諒の問いの後半は全く無視である。
「…………ふ、ふ~ん。まあどうでもいいけど……」
この集団を目の当たりにした瞬間から憔悴した様子の諒、500人あまりの女性が自分のために集まるという事実に、何か言い知れぬ違和感を覚えているのか、はたまた、内大臣の暴走に踊らされてみた結果に愕然としているのか。それとは別にしてもこのありとあらゆる香水の臭いがないまぜになったこの空間は諒にとって苦痛極まりない空間のようだ。
「うっぷ……これはたまんないよ」
諒は懐から顔をすっぽりと覆えるほどの黒い革で出来たガスマスクを取り出し自分の顔にかぶせた。眼の部分にあるガラスで出来た覗き窓からは彼の表情は全く覗えない。
その異様な風体は見るものを一瞬で圧倒する迫力を醸し出していた。
「じゃ、逝ってきます!!(コー……ホー)」
「お后候補に顔も見せないつもりですかあなたは……」
「なんと言われてもかまわない(コー……ホー)、でも、譲れない物が男にはあるんだ(コー……ホー)!それにこの方が魔王って感じがしない?」
「長続きしない見栄を張るのはいかがなものかと、いくらなんでも怪しすぎます!」
「イイカラマカセトケッテ(コー……ホー)。アヤシイ“ま”オウバンジャイデスヨ!(キリ!!)」
そして勢いよく目の前の大きな扉を開け放ち、颯爽とここに集まるお后候補の前にその姿を現したのであった。
『キャ~~~~~~~!!…………?』
最初は割れんばかりの嬌声、しかしことの異様さに徐々にその声はやみ、怪訝そうな沈黙だけがこの場を支配した。
目の前にいるのは、新年や国内のあらゆる行事に参加する時に見る、端正な顔立ちの若き王ではなく、黒衣に身を包み、黒いマント、黒い兜、極めつけに物々しいガスマスクをつけた何処からどう見てもラスボス感満点の征服者といった人物だった。
その人物は悠然とBGMに流れる重苦しいマーチと共に二階部分の良く見える所に設置されたマイクスタンドまで歩み寄った。ちなみにその先に付いてるのはマイクではなく魔法の施されたメガホン型の拡声器なのだが。
そして眼下の民を睥睨し、少し間を置いた後その口を開いた。底冷えするような、威厳たっぷりのバリトンボイスで。
『あー、あーマイクテスト……(コー……ホー)フフフフフ……様々な試練を乗り越えよくぞここまでたどりついたものだ(コー……ホー)。だが我が前に姿を見せたからにはそれなりの覚悟が出来ているのであろうな(コー……ホー)我が供物となる覚悟が……さあ、そなた達の実力を、存分に見せてもらうぞ、この……』
…………きまずい沈黙。 “ま”王は拡声器を調整しはじめた。
気を取り直してもう一回。
『ゴメンゴメン(コー……ホー)。ちょっとマイクの調子がおかしかったみたい。変な声が出たからちょっと遊んでしまった(コー……ホー)』
ここまで前後の声が違うと『ダレだ?この別人?』っと誰もが思ってしまうほど今度の声は透きとおった男性の声になった。
『こんな姿で申し訳ない(コー……ホー)。でも今は故あってこのマスクを取る訳にはいかないんだ』
ここじゃ息したくないんですね?わかります。
『ボクは中央“ま”国国王、田嶋諒、諸君。今日はボクの后選びに集まってもらったこと、深く感謝すると共に、この催しを価値のある物にしたいと願うばかりだ。さっきはおふざけとはいえ、言ったことの本質は間違ってはいない。結婚とはその人の人生を左右しかねないことだから。まして、王の后と言うのはとても重い役割だと思う。生贄と一緒だ。だから、ここに集まった488人ひとりひとりを吟味し最良の伴侶となる者を見つけたいと思う(コー……ホー)』
諒は改めて息を整え。
『ではさっそく、スケジュールを説明しよう。
午前九時から正午まで面接前半
正午から午後一時半まで昼食
午後一時半から午後三時半まで面接後半
結果発表は午後五時の予定だ。
次に面接の手順だけど、面接は一回に付き八人ずつ行う。手前40人は控え室に集まり、面接の準備をすること。先に渡しておいた整理券があると思うけど、ボクが番号をテレパシーで呼ぶから、近くの係員に従って控え室に来て欲しい。面接時間は一組につき4分、その時間内で自分をアピールしてくれ。諸注意だけど、待っている間は城の中の立ち入り禁止区域以外の場所だったら見学が可能だけど、城の外へは行かないでもらいたい、呼び出しが聞こえなかったら困るからね。それと出来れば控え室や楽屋にあるアンケート用紙の内容に応えてほしいな。
何名が選ばれるかはボクとの相性しだいだからどうとも言えないけど、できればあまり硬くならずに面接を受けてほしい』
ふざけることなくあいさつと必要事項を一気に述べた後一礼し、きびすを返すと扉の奥に消えていった。
話が終わる頃にはここに集まる女性が抱いていた王に対する違和感はマスク以外すっかり無くなり皆歓声と共に諒を送り出してくれたのだった。そして間もなく係員の指示があり皆それぞれの行動をはじめるにであった。
扉の向こう……
「ブハ――――っ!!あ~死ぬかと思った。この瘴気はマスクも通用しないのか。途中から絶好調無呼吸お喋りだったっつーの!!」
ホントに息止めてたよ、こいつ。
「ゼェゼェ……ふぅ。それじゃ面接を始めるとしますかね……」
どうにか呼吸を整えた諒は気を取り直して面接の準備を……
「怪しい呼吸音が聞こえなくなったと思ったら、息を止めていらしたのですね陛下」
する前に何のつもりなのか、やたら朗らかな顔の内大臣が諒に声を掛ける。そこはかとなくしてやったりという風な表情にも見えなくも無い。
「ハァ?突っ込むとこそこ?てか何そのドヤ顔、笑うツボどこ?マジでウザキモイんだけど」
諒の正直な感想にも怯むことなく内大臣はドヤ顔だった。
「こんなマスクまでしておいてやってることはいつもとさして変わらない陛下の様子がいじらしいわ微笑ましいわで……さすがに国民に嘘はつけませんね♪」
「うっさいよ!でもどんな格好だってオレ、最早ぶれナシ!国民の支持は変わらないノダヨ~」
「はいはいおみそれしました、ではそろそろ仕度をお願いします陛下」
おふざけに走り出しそうな諒を軽くスルーして諒の手前を歩き出す。
諒も気に留めてもいないようだ、「わかった」と言って内大臣に続いた。
「それで、それぞれの部屋は?」
「八つ全て整っております。一~三号室は人魔平民
四号室は獣人・亜人
五~七号室は貴族・地方有力者
八号室は女性以外の者となっております」
「分類に間違いは無い?」
「間違いありません」
「てか女性以外って……」
「我が国の法律では婚姻は必ずしも男女でなければならない。という訳ではありませんからね。……大丈夫です、無性別や両性の者もそれに含まれますから」
「何が大丈夫だよ!もう気休めじゃないよそれ!!」
「頑張って下さいね!(ニッコリ)」
「ナンテコッタイ!!」
「頑張って下さいね!(ニッコリ)」
「もういいよ……。ちくしょう!人事だと思って。」
「お選びになるのは陛下ですからね」
「……ハァ、ハイハイ……チクショウ!」
ため息一つ吐いた後、諒は指をパチンッと鳴らす。
次の瞬間、諒の足元に複雑な光の円形魔法陣が突如として現れ、まばゆい光が諒を飲み込んだ。
次の瞬間そこにあったのは
八人の“ま”王の姿だった
『さて……はじめようか(キリ!!)』×8
……なんか夢に出そうな光景だった。
この世界で人型をした種族は多数存在する。その中でも最もポピュラーな種族が、人・魔族だ。
人族。いわゆる人間。手先が器用で社会性が高く集団意識が強い。特殊な能力や強い魔力を持つ者が希で、比較的短命の為、異種族に対する適応性は比較的高いが同族意識が強い為、異種族婚は珍しい。この世界においての人族の割合はおおよそ三割と多い。遺伝が薄いため異種と結ばれると魔族や亜人が生まれる場合が多い。
魔族。見た目は人族とほぼ変わらない。魔力が強く、魔法・魔術に長け、知能・社会性も人族並みに高い。人族の寿命が長くとも80年そこそこであるのに比べ、魔族の寿命は平均160年以上と長い。そのためなのかその性格はおしなべマイペースでおおらかな部分があり、異種族婚についても個人レベルのこだわりしか持たない。世界人口の割合においてはおおよそ三割程度。(魔族が人族を取り込むことがあるものの、人族は世代交代がはやいため拮抗している状態)
その他にも数多くの種族が有史以前から確認されているが、各種族がどういった過程で現在の容に至ったのか確かめる術などもほとんど残されてはいないし、たとえあったとしても少なくとも一般的な知識にはない。
そしてこの世界における国家は、統治している者(一般的には王制を布いている)と種族の人口の割合により二つの種類に分けられる。
それが人界国家と魔界国家。略して人国と魔国である。
人国とは人族が治める、もしくは人口の大半が人族の国のことを指す。対する魔国とはそれ以外の国で、その判断はその国の国を統治している者に委ねられる。
田嶋諒の治めるこの“ま”国も名前から解るとおり魔国であり、諒自身も魔族(魔族としても反則規模の魔力をもつ突然変異的なナニカ)なのだ。
ちなみにこの国名は諒が思いつきでいい加減に決めたものだったりする。
それはさておき、国民の半数近くは魔族と人間だが、様々な種族が少数民族はもちろん、移民なども国内に多く住んでいる。
戸籍により管理され、登録さえすれば規制などは特に無く、所得税と住民税を少し支払えば生活の保障もしてもらえるため、人国で迫害されがちの獣人や亜人にはこの国は非常に住みやすい土地なのだ。そしてその政策を執る諒は国民から絶大な支持を得ているのである。
インフラの整備や治水技術、農耕技術の開発も国費を使って活性化させている。その成果なのか人口も順調に増加している。
それだけに・・・。
この諒のお見合い騒ぎは現在、混迷の極地にある。←(種族的に)
「ありがとうございました陛下。夢のような時間を過ごさせていただきまして、光栄の極みにございます。わたくしは一生この幸せな時間を忘れることは無いでしょう」
「こちらこそ、楽しいひと時だったよ。それでは時間まで待っていてほしい」
「はい、それでは失礼いたします」
今しがた面接を終えた、決してきらびやかではないが、気品あふれる立ち振る舞いの単眼の婦人が退室した。
「次の人どうぞ。」
今しがた26人目の面接を終えた諒の分身の一人。
しかしこの諒、表向きはまともに面接はしているが。その脳内では様々な情報が錯綜している。
…………『オレ会議』によって。
オレ会議とは、諒の分身同士がテレパシーによって情報交換や情報の並列化を脳内で図る時に行われる自問自答である、しかし諒の分身は自分の人格を持った他人を作るようなものなので場合によっては会議の形をとる必要があるのだそうだ。面倒くさい時や急いでいる時はその限りではなくデータを統合するのみの作業だったりする。
「ソレについての突っ込みは受け付けない!!たとえ世界の意思であっても☆」
だそうだ……。
ナレーターとの会話を成立させてる痛い子(諒)のオレ会議の様子
一号「みんな、いい人見つけた?」
二号「そもそもどんな人を選べばいいのかわかんない」
三号「どうすればいいんだよ、これ」
四号「いろんな人が居て楽しいよ」
五号「ねえどんな気分?NDK?NDK?」
六号「……え?よんだ?」
七号「ZZZZZZZZZ…………」
八号「ブツブツ……ガ……ガ……ガガ……」
一号「ウザ五号と寝てる七号とコワレタ八号は置いとこう」
二四六「賛成!!」五号「ちょっおまっww」
三号「五・七・八号はもう考えるのやめてるよ」
一号「実は……オレもそろそろ良心の呵責に耐えられなくなってきたんだけど……もう考えるのやめて良い?投げ出して良い?めちゃくちゃ辛い……」
二号「いやいやまてまて!!……確かに貧困層の人たちの切実さはたまらないのはわかる!でも同情してもいいことなんてないよ!適当に決めても相手が幸せにはなれない。嫁ぎ先がこのオレだぞ!?」
三号「そっちは色々修羅場だね」
四号「こっちは結構楽しそうで苦にならなそうな娘が多いけどね……。色々とゴメン」
一号「へぇ……」
二号「そっちは獣人や亜人だったね」
三号「うん、癒し系とか癒され系が多いとか?」
六号「どんなケモノッ娘がいるの?」
五号「wktkwwww」
四号「たとえば無邪気なぬこっ娘!!何も考えなくて良さそうで楽!」
六号「ほう?ぬこですと?」
五号「うはwwまじでwwww?」
四号「結構かわいいよ、子供だけど」
六号「ロリコンかお前!? ローリーコンなのか?!」
四号「うるさいな」
五号「画像UPヨロ、動画ならなおヨシ!!」
四号「こんなの」
一号「猫人族?伝説にしか聞かない種族だよ!……でもまだ子供じゃん」
四号「自称十六歳だって、かなりあやしいけど」
二号「愛でてれば良さそうだね」
三号「なにこの萌えキャラ」
五号「ケモミミロリっ娘キターーー!!」
六号「高得点、保留でいいんじゃない?……オレはロリコンじゃないよ?」
一号「保留てお前! 嫁にするには無理ないか?」
四号「他にも『なってみようかな~』ってノリの鳥人族とか、ひたすらマイペースの虫人族とか見ててホッとする」
八号「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
二「なんだよ八号!」三「ついに壊れた?」一「ほっとけよ」五「ガチムチ兄貴が出てきたとか?」一・二・三・四・六『うぇ~~~~』
四号「次は牛さんだ!!」
一号「え?牛?」
五号「Dtpn?」
六号「共通語でOK。で?そんなに……大きいんですか?」
四号「いや、ミノタウロス族の女の子。でも……とっても……おっきいです」
二号「みせてみせて」
四号「はいよ」
六号「■■■■……牛頭人身ねぇ」五号『その発言は一部検閲されました』
三号「大きい身体にお淑やかな仕草。これがギャップ萌えってやつ?」
二号「うん、鼻の頭がまだピンク色でかわいいね」
一号「おまえら嫁探す気あるの?確かにどうしようもなくて現実逃避したいのはわかるけどさ(汗)」
六号「いいじゃん、美牛さん保留で・・・オレは動物嗜好者じゃないよ」
五号「ケモっ娘最高!!」
七号「ムニャムニャ……オレがガン■ムだ!!……ムニャムニャ」
八号「イイネ(ビシっ)」三号「あ、再起動した?」
八号「kじゃおfじおじゃfじゃいおっじゃfj( д )゜゜<ポーン」
二号「あ、また壊れた」
五号「ゲテモノ専乙ww」
一号「この■■■■■■共め」
二号「ところで一号はどう思ってんだよ」
一号「う~んそもそも嫁探しってピンと来ないし、こんなことで決まるお嫁さんなんて嘘だ」
二号「オレも良くわかんない、でもせっかく来てくれたんだから考えるだけ考えていいんじゃない?ま、答えなんて出せる訳ないだろうけど」
三号「オレもわかんない。でも人材には興味ある、とりあえず詳しい話を聞いてみようよ、なんか新しいことでも思いつくかもよ」
五号「そんなことより詳細キボンヌwww」
三号「お前ちょっとダマレ、で?手応えは?」
四号「喋ってくんない……、身分証明書によると十六歳、東“ま”国出身だって」
二号「喋れないのかな?」
一号「呪いの類や身体障害には見えないよ?」
四号「筆談してもらおう、え~と、ふむふむ、緊張しすぎて今は喋ることが難しいみたい」
三号「なにそれかわいい」
二号「ドンダケ~?」
一号「面接になってる?だいじょぶ?」
五号「MJSK?」
六号「共通語でOK」
八号「こっちも負けてないZE!!」
二「を?」一「今度こそ復活?」四「なんだと?」五「なにそれ怖い」
六号「どんな人?」
八号「すごく綺麗な人だよ。これでどうだ!」
七号以外の全員「おお~~~」
一号「確かに美人だね」
二号「なんか『お姉様』って表現が良く似合う感じ」
三号「上品でいて包容力がありそうだ」
四号「ん?なんだこの違和感。なんかおかしい……」
五号「ハイ!フラグフラグww」
六号「いやなこと言うしこいつ・・・」
八号「とてもじゃないけど男にゃ見えないよね☆」
1~四『アチャ~~~~!!』
六「やっぱりね」五「(^^)9mプギャー」
七号「むにゃむにゃ・・・『親方!空からおn…………(r』すやすや」
一号「ダメだコリゃ」
こんなにグダグダで嫁など見つかるのかはなはだ疑問だが、結局、終始こんな感じで面接は終ってしまうのである・・・。
午後五時
朝同様500人近くの女性が集まる大広間。
だが朝の時と違いその空気は若干熱気を帯び、ざわめきだっていた。
ここに居る女性たちのお喋りの話題は様々ではあるが、一様に今日の面接のことでもちきりである。隣にいるものと、もしくは周りにいるものなどと、今日の面接内容や自分の自信のほど、面接のあいてである諒の反応を比べ合い。自信に満ちた者、自信を喪失している者、なんとも感情の伺えない者とその様子も様々である。
だがそこに……
「静粛に!」
二階大扉の前に立つ内大臣の声が響き渡った。その途端暇喧騒は止み、ここに集まった女性は用意された席におもいおもいに着席する。
「これよりま王陛下より后候補の結果が申し渡される。傾注するように。」
その言葉と共に大扉が開き、その向こうから皆が、今日一度はその姿を見たであろうこの国の王である諒が姿を現す。皆その様子を固唾を呑んで見守っていた。いよいよここに集まった500名余りの女性の人生を左右しかねない発表が行われようとしているのである。ちなみに着けていても無駄なマスクはしていない。
「みんなおまたせ。そして今日は一日お疲れ様。
みんなのおかげで今日は有意義な時間を過ごさせてもらう事が出来た、改めてここにお礼を言いたい。
確かに一人ひとりの時間はほんの僅かなものだったけど、その人が何を考え、何を感じ、どんな魅力を持っているのか。それを語り合うことが如何に大切なことか。
これは国を支える王としてとても貴重で新鮮なものだ。それだけにボクは、この国が、この国に住まう国民が真に尊いものだと実感している。さて今回の后選びだけど…………」
誰もが諒を見つめる。ここに集まった女性も(女性じゃないモノも)、衛兵も、そして内大臣までも。
「ボクはあえて、ここでは誰も選ばないことにした!
ここでここに居る誰かをボクの生贄にすることはできないんだ。
そして今のボクには選ぶ資格すらないということもわかった。
それじゃあ今日はこの王宮に泊まってもらって、明日出発として欲しい。
みんなおつかれさま!!」