いとしきあの子
掲載日:2026/03/16
綺麗なあの子の足はなんだかイビツで、それがどうも気に食わないらしくだれにも見られたくないのだ
だけれどぼくは、あの足がずいぶんいとしく思われて、その足の指を親指でやさしく広げていった。
綺麗なあの子の指は内に曲がっていて、それがどうも気に食わないらしくだれにも見られたくないのだ
だけれどぼくは、あの指がずいぶんいとしく思われて、その指にぼくの指をからめていった。
綺麗なあの子の背中は出来物だらけで、それがどうも気に食わないらしくだれにも見られたくないのだ
だけれどぼくは、あの背中がずいぶんいとしく思われて、その星をひとつずつ丁寧に数えていった。
そうしてぼくは、あの子の一番やわらかいところに
うずまり、そのいとしさに沈んでいった。
こういう姿は、本当はだれにも見られたくないのだ
だからあの子に見せるのだ
だれにも見られたくない、いとしきあの子に




