本日は8時32分発各駅停車をご利用いただき、誠にありがとうございます。 割り込み乗車は大変危険ですので、順番を守ってご乗車ください。事故防止にご協力をお願いいたします。
「子供はッッ……親の、所有物だ!!」
それが神崎さんの勝利の雄叫びだった。喉を裂くみたいな声で叫ばれたその言葉は、玉座(仮)に座っている俺の耳にははっきり届いたが、次の瞬間には民衆の歓声に飲み込まれて、意味ごと霧散した。いや、いまの発言、冷静に考えたら相当ヤバいんだけどな。少なくとも、この世界の歪んだ常識に照らし合わせても無茶だろ。
闘技場の床には転移者の死体にも、神崎さんと最後にぶつかり合い、両足をへし折られて敗北した吉田さんも、区別なくスキルレベルアップのエフェクトが出ていた。キラキラと祝福めいた光が、血と砂に塗れた身体を包み込んでいる。まるで努力が報われましたよ、とでも言いたげな演出だ。いいね、反吐が出るぜ。
折れた足を引きずることすらできず、地面に伏したままの吉田さんの上でも、容赦なく光は瞬いている。勝っても負けても、殺しても殺されても、等しく「成長」。便利で、公平で、結構なことだ。
民衆は盛り上がっている。さすが勇者だとか、今日のバトルは名勝負だったとか、好き勝手に叫んでいる。だが、その間にも、俺たちは確実に進んでいる。この世界が与えた“スキル”を、血と死体を砥石にして、ひたすら研ぎ澄ましているんだ。
「はい聖女、働いてください」
「いやっ、いや……!」
「えっ“女神様”がよんだ勇者たちを見殺しにするんですか~~~? こわ~~い! もしかして魔女~~??」
「なんでそんな酷いことを言うんですか!?」
貴様らが勝手に誘拐したから……だが……。好感度低いんだからこれくらいの扱い許されるだろ。
聖女がもたついてるせいで、接戦で負けた吉田さんは、死ぬこともない苦しみの中両足を折られて地面に伏していた。早く治してやれよ! 死体はもう痛くないけど生きてる吉田さんは痛いんだぞ! いつもは治療に当たってくれる神崎さんはダッシュでこっちに向かってきていて、彼はうつ伏せのまま砂を噛み、息を吸うたびに肩が小さく跳ねる。
「スティーブ……スティーブ……」
泣き声は、怒号と罵声の洪水の中で妙に幼く聞こえた。スティーブとは、吉田さんのテディベアの名前らしい。戦う理由が命じゃない、帰還でもない、世界を救うでもない。たったひとつ、布と綿の塊を取り戻すためだけに、彼はここへ立っている。
吉田さんの顔をよく見ると、彼は青い目をしていた。血と砂でぐちゃぐちゃに汚れた顔の中で、その色だけがやけに澄んでいる。イギリスと日本のハーフだと本人が言っていた。イギリス育ちにとっての“自分のテディベア”ってのは、凄いものなんだなあと思う。吉田さんだけなのかもしれないが、イギリスルーツの知り合いが彼しかいないので分からない。
彼はこれまで何度も勝ちかけている。いいところまで行って、何度も負けている。
勝者のすぐ隣に立つところまでは行けるのに、最後の一撃が届かない。腕力じゃない。覚悟でもない。たぶん運がない。あるいは、この世界の神が、彼の願いをどうでもいいものだと笑っている。
折れた足が不自然な角度で投げ出されているのに、吉田さんは足を見ない。痛みを見ない。視線はずっと、俺のいる方角に向いていた。
スティーブを運ぶために、吉田さんは何度も人を斬り、何度も斬られ、何度も死んだ。蘇生されて、また闘技場へ戻ってきた。そのくせ勝てない。だから今も、砂の上で泣きながら「スティーブ」と呼んでいる。
生き物じゃないからいいだろ、順番譲っとけと言われて「差別かああ!? ほぼ生きてんだよ俺のスティーブはよお!! 俺の友達なんだよ生まれた時からよおおお!」と大暴れしていたので、いつか彼が勝つ日をこの玉座(仮)に座って待っている。熱意があるからね、きっと勝てるよ。
神崎さんは、ほとんど転げるように俺の方へ駆け寄ってきた。
さっきまで勝者として立っていたはずの足取りはひどく覚束なく、興奮と焦燥が限界まで煮詰まった人間のそれだった。
「俺の個人資産だ!! 子供は!! 俺の!!! 資産だろ!!」
唾を飛ばしながら、叫ぶ。理屈を叩きつけるような口調なのに、言葉の順番も意味もぐちゃぐちゃで、もはや誰かを説得しているようには見えない。俺に向けているはずの視線も、途中から宙を彷徨い始めていた。
「俺は勝った!! なあ、勝ったろ!! だから早く!! 俺のものを!! 俺の……俺の個人資産を、持ってきてくれ!!」
それは要求というより、懇願だった。あらゆる悪行と暴力の果てで、自分が何を言っているのかを直視しないために、全力で自分自身を騙そうとする叫びだった。ここまで来たんだ、正しかったはずだ、無駄じゃなかったはずだと、何度も何度も言葉を重ねることで、足元の崩落を必死に覆い隠している。
俺はいつもどおり、わざと軽い響きの言葉を選んだ。
「把握~~」
間の抜けた返事だった。空気を読まない、責任を持たない、いつもの調子。その方がいい。真面目な声で応えたら、背負うものが多すぎる。目を閉じ、スキルを起動する。いつもより長い沈黙の後、小さなベッドが現れた。
簡易的だが清潔に保たれた医療用のベッド。転落防止のための低い柵が両脇にあり、角はすべて丸められている。
薄いシーツは何度も洗われたのだろう、柔らかく、ところどころ繊維が痩せている。枕元には点滴スタンドを固定できる金具と、子供の小さな手でも押せるよう設計されたナースコール。それはいまやどこにも届かないまま、コードだけがベッドの下に垂れている。
ベッドサイドには、体温や脈拍を記録するための簡易モニターが取り付けられていた痕跡が残っている。
その上で、子供が丸まるように眠っていた。
神崎さんは、腰が抜けたように崩れ落ち、四つん這いになりながらベッドへ縋りついた。
砂に手をつき、必死に身体を引き寄せ、何度も呼吸を乱しながら、ようやく立ち上がる。震える指で、恐る恐る、ベッドの中身を覗き込む。
「……てっちゃん……」
その声は、これまで一度も聞いたことのないほど、柔らかかった。
闘技場での怒号とも、理屈を並べ立てる論調とも違う、ただの親の声だった。小さな胸の上下を確かめるように見つめ、布団の端を直し、起こさないようにそっと指先で髪に触れる。
「よいこだねえ……」
言葉と同時に、神崎さんの顔が歪んだ。堪えきれなかった涙が、ぽろぽろと落ちる。勝者の顔でも、勇者の顔でもなかった。会いたくて仕方のなかった家族に、ようやく会えた迷子のような顔だった。
……人のためになる仕事って本当にいいなあ。そう思わないか、聖女。何休んでるんだ全員起こして女神にエナジードレインしてろ。奉仕の精神が足りなく無いんですか? 聖女として恥ずかしいと思います。
俺が聖女の働きにマイナス評価を入れているあいだに、ベッドの上で布団が動いた。
「なぁにい……」
眠りの底から引き上げられるみたいに、幼子がむずがる声を上げて目を覚ます。状況をまるで理解できていない顔で、ぱちぱちと瞬きを繰り返し、白い天井でもなく、見慣れた病室でもない光景をぼんやりと見回した。
神崎さんは袖で乱暴に涙を拭い、無理やり口角を持ち上げて笑顔を作る。次の瞬間、子供の視線が定まり、目の前にいる男が誰なのかを理解したのだろう、顔がぱっと明るくなる。
「ぱぱ! 今日、おみまいの日だったの!」
弾む声に、神崎さんは一瞬だけ言葉に詰まり、それから首を振る。
「ちがうよ。ぱぱね、てっちゃんのこと、迎えにきたんだよ」
「たいいん?」
「うん。ぱぱね、お医者さんになったからね。てっちゃんの、痛い痛い、ちゃんと治してあげられるようになったからね」
「ほんとお!?」
「ああ、ほんとだよ。うん、うん。おそとでね、いっぱい走れるように……ね、できるから、ねえ」
未来の話を、今ここにある確かなものみたいに重ねていく。その途中で、子供が不思議そうに首を傾げた。
「なんでぱぱ、泣いてるの?」
その一言で、神崎さんの喉が詰まる。息を吸って、吐いて、それでも溢れてしまうものを止められず、彼はただ正直に答えた。
「てっちゃんに会えて……嬉しかったから」
その言葉に、子供は納得したように小さく笑い、神崎さんの首に抱きついて頬擦りをした。その温度を確かめるみたいに、神崎さんは一瞬だけ目を閉じてから、震える息を整え、そっと我が子の背中に手を当てる。
次の瞬間、彼のスキル【治療】が発動した。誰よりも前線で戦い、誰よりも死に、誰よりも蘇され、そのたびに磨き上げてきた力だ。白く、やわらかな光が、湯気みたいに立ち上って、子供の背中から胸へと静かに通り抜けていく。痛みを引き剥がすでも、異物を叩き出すでもない、優しい光。
これもう聖女超えてないか? もうちょい頑張れば死者蘇生できそう。いや、蘇生しても女神のエナジードレインできないから、神崎さんのなんらかが失われる可能性があるか……。そんな危険なことは頼めない。神崎さんの尊い命はこの世界の女神よりも大切だから。
子供の、色白というには白すぎた頬に、ゆっくりと血の色が戻っていくのが分かる。呼吸が深くなり、指先の力が少しだけ強くなる。
「ぱぱ、おなかへった」
その一言で、神崎さんの顔がまた崩れたが、今度はちゃんと笑っていた。
「うん、うん。ぱぱとごはん、たべにいこっか」
「だっこ!」
「うん、おいで」
彼はためらいなく子供を抱き上げる。その動作は驚くほど自然で、ついさっきまで「子供は親の個人資産!」と狂った理論で叫んでいた男だということを忘れそうだ。
我が子を抱えたまま、神崎さんは俺の方を見て、深く頭を下げた。俺はそれに対して、よかったね、の意味を全部まとめて、ひらひらと手を振る。プリンを運ぶためだけの“運搬”が、こんなにも感動的な人間ドラマに繋がるなんてな……。
「神崎雷斗さんの願いは叶ったね。運搬対象は実子、鉄神くん、年齢五歳。十六歳での妊娠の結果、未熟児として出生。出産時に結婚を約束した恋人は死亡、その後神崎氏は実家の支援を受けつつシングルファーザーとして鉄神くんを養育。長期入院歴あり、医療依存度高、面会日を指折り数えて待つ生活────そういう背景を全部ひっくるめて、彼は“取り戻した”わけだ」
「……知らない情報が沢山出てきた」
「そうかい、彼と少し会話をしたら“理解”出来るだろう」
「それ本当にスキル由来ですか? 貴女のもともと持ってる能力な気がする」
「褒めるな褒めるな、私は調子に乗るよ」
「こわ」
俺がわりと素直に感動していた、そのすぐ横にだ。文字どおり、にゅるりと音もなく現れたのが、“理解”のスキルを持つ女性、エトさんだった。出現の仕方が毎回ホラー寄りなので、心臓に悪い。
エトさんは研究員で、本人の言い方を借りるなら「五年ぶりに下界に降りた」タイミングで、運悪くこの転移事故に巻き込まれたらしい。「脱走したんですか?」と聞いたけど、「失敬な、監視するほうだよ」と叱られた。脱走するとやばいタイプの生き物がいる研究所が生活圏内にあるの、後から知っても嫌な気持ちになるものだな……。
長身で、泣きぼくろが妙に色っぽくて、造形だけ見れば文句なしに美しい。大変に魅力的な人だ。
なのに不思議なことに、角度や表情次第で二十代にも四十代にも見える瞬間がある。若いわけでも老けているわけでもなく、“年齢という概念を横断している”感じがする、と言った方が近い。研究者然とした冷静さと、どこか人間離れした軽さが同居していて、油断すると取って食われそうな気がする。この場合の『食われそう』は残念なことに性的な意味ではない、精神力とか命とかが削れるという意味だ。
「私は神崎氏のように、己を騙しながら“これは正しい”と何重にも思い込む手間をかけずとも、最初から一貫して『弟は私の個人資産だ』と認識しているんだが」
「弟さん可哀想……」
なんかこわいこといってる……。
本来なら、そんな認識は成立しない。“生き物”を個人資産として指定しようとすると、思考は必ず“今”に引き戻される。現在生きている姿だけが資産として結像し、過去はただの思い出に、未来は想像に分解される。
だから神崎さんは、血反吐を吐くほど自分を追い込み、ほんの一瞬だけ認識を歪める必要があった。
普通の人間にとって、生き物は─────時間を含んだまま“物”にはならない。
「では仮定しよう。私が“五年前の弟”を具体的に想像しながら君に運搬を依頼した場合、五年前時点の弟が出現するのだろうか。次に“十年前の弟”を想像して依頼したら、弟は時間違いで増殖するのか。そして次に現在軸では未だ実存しない“十年後の弟”を強く想像して依頼すれば、未来の弟が現れるのか。時間は資産に含まれるのか、同一性はどこで担保されるのだろうか。それともそこは異世界の力とやらで曖昧に定義され無いものとして処理されるのか? 次の実験はこれで行こうと思う」
「弟さんほんと可哀想……」
「なに、これを繰り返せば君のスキルもモリモリ上がって、我々の悲願が叶う日も近くなるさ!」
そう言って、エトさんは笑った。あまりにも綺麗で、あまりにも軽やかで、理性と倫理を薄紙みたいに踏み抜いてくる笑顔だった。美しいが天使じゃない。断じて違う。あれは悪魔の類だ。合理性と好奇心と期待だけで出来上がった、血の通ってないタイプの研究者仕様の微笑み。
しかし、自分より遥かに頭が良く、この世界の構造を俺以上の速度で理解している人間が、転移者側に立ってくれているという事実を、どうしても手放せない。
アドバンテージだ。圧倒的な知性は戦力でもスキルでもなく、世界そのものを切り刻む刃になる。
可哀想だと思ったし口では何度もそう言った。エトさんの弟くんの人権が、いま軽やかに無視されている。
ごめん。本当にごめん。でも、なんだかんだ言いながら、そんな……ナチュラルに弟を“物”として扱える姉なんて、普通はいないって!
神崎さんだって、自分の認識を歪めるために血反吐を吐くくらいのストレスを抱えて、やっと「子供は個人資産だ」と一時的に自分を騙し切ることに成功したんだぞ!? 口ではなんだかんだ言いながら、結局『姉』という生き物は弟妹に優しいんだって。明日の“運搬”も、いままで何度も繰り返した【検証の結果の失敗】で無効になるだろう。
そして翌日。
目を閉じ、スキル【運搬】を起動した瞬間、無慈悲にも視界の中に、十六歳くらいの少年が現れた。制服でも鎧でもない、部屋着のスウェットで、状況を理解できないまま、きょろきょろと周囲を見回している。呼ばれた側の困惑が、あまりにも生々しくて、俺は反射的に深く、深くふかく頭を下げていた。
ごめん。ほんとに、ごめん。こんな世界に呼び出してしまって。
「えっ、ちょ、うわ姉さん!? 髪伸びてる……? それより、あの! な、なんで頭下げてんですか!?」
「申し訳ございませんでした」
「待って理由がわからないまま謝られるの怖すぎる……え、姉さんの友達……?」
「違います」
「よかった、まともな人っぽい」
エトさんの友達はまともではないという認識なんだ……。混乱している弟くんと、シームレスで土下座に移行した俺の隣で、隣ではエトさんが、期待を隠す気もなく目を輝かせている。
「よし! 最後に見た時と変わらない弟だ。私が研究所に入ってから五年、こいつは本来なら二十を超えているからね、こんなチンチクリンではないだろう。たぶん。明日は十年後の弟を呼んでみよう」
えっ!? 悪魔の方?
女神に攫われたと思ったら、もしかしたら俺は、気づかないうちに悪魔に魂を売ったのかもしれない。でも、でもお! これしか、なくってえ!
「あの、弟くん。最悪この世界で俺からの慰謝料を受け取りつつ生きるという可能性を考えて欲しくて……」
「俺なにされたんですか!? だれ、どこ、なに?!」
「申し訳……ない……っ」
「土下座やめてくださいって!!」
最悪……最悪の場合、転移者バトルロイヤルで稼いだもの全部弟くんに渡して俺は腹を切って死ぬから……!! すまない弟くん! すまない……!!
「説明して!!」
「お前は最終的に八名ほどに分裂する」
「姉さんは黙ってほしい。何言ってるかわからないから」
弟くんにとって俺はこの世界の女神と同等、なぜなら転移者を運搬で元の世界に“個人資産”と共に戻したとしても……。五年前の弟くんと、現在の弟くんが同じ時間軸に存在してしまう……! そしてエトさんは八人運搬させる気だ……! もう終わりだよこの世界。さすがにもうたすけてくれ。
「私は、仲間が積み上げた成果も“私の個人資産”だと見なしている。ならば試す価値がある。私が生まれる前に開発され、危険すぎて破棄された物質……それを“運搬”できないか?
それが叶うなら、これはただの回収じゃない。時間の外側から引き剥がす、完全な過去からの“運搬”だ。
もし過去が掴めるなら、理屈はひとつしかない。物質が戻るなら、情報も戻る。情報が戻るなら、記憶も戻る。記憶が戻るなら───────死者だって『生者として』呼び出せる!」
「ばけもの……」
「化け物なんですよこの人」
これ、俺たちは最終的にこのラスボスと戦う必要があるのでは? いや、そもそもこんな世界に呼び寄せてラスボスに【スキル】を与えた女神が悪いだろ。化け物に化け物をぶつけることで何とかならないか?
テンションが上がって高笑いしているエトさんを呆然と見る俺に、弟くんは、全てを諦めきったがゆえの優しい笑みで「仕方ないですよ、人間の理論は獣には通じないものです。あなたが俺になにかしたってのはわかりましたが、許します。あんなのに巻き込まれたら仕方ない」と許してくれた。弟くん……可哀想に……………。
【転移仲間紹介】
神崎雷斗さん スキル“治療”
本名は雷斗忍倶暴流徒。本名での生きづらさから、現在は名前を短縮して名乗っている。年齢は21歳。
幼少期は家庭環境が荒れており、十分な保護や安定を得られないまま成長した。未成年のうちに子どもを授かり、相手も同様に法的に結婚できない年齢であったが、将来の結婚を前提とした関係だった。
出産時、相手は身体的負担に耐えきれず死亡。生まれた子どもは一時、施設などに引き取られる可能性があったが、実家の協力を得ることで親権を維持し、手元で育てることができた。
子どもは先天的に体が弱く、3歳時に心臓疾患が判明。外科手術が必要と診断されたが、当時は高額な手術費用を準備できない状況にあった。
鉄神くん
出生前から、両親によって子どもの名前は決められていた。
男児であれば鉄神、女児であれば花斗麗亞とする予定だった。
実際に生まれた子どもは、両親それぞれの長所を強く受け継いだ容姿・性質を持ち、身体的虚弱を除けば発育・知能・適応力のいずれにも大きな問題は見られない幼児である。




