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星の唄

作者: Nako

 ホシは、夜の歴史を語る一筋の光であり、人々の願いを唄う導き者でもある。

 あの頃、星々が奏でた空に飛ぶ夢を、私はまだ信じているはず。

「夜空の下に偽りがない」と、私の羽はそう言いたかった。

 

 雲の上から落ちて、湖の表面に映るか。

 雲の中から生まれて、地の下まで届くか。

 

 やがて目を覚ませば、この夢はウソとなり、このツバサも無に戻す。

 気づいたら全てが手遅れて、この夜もまだ明けてはいなかった。

 雲越しの蒼い光に照らされながら。

 ——「わかってるよ、それくらいのこと。」

 

 

 ああ、もう始まってしまった、全てが、この何気のないウソから——。


 

 - - - - -- ---——--——-———==≡≡≡☆。


 

 星が見えない夜空の下にある、村外れのログハウスを出て、眠れない私は眠りに落ちないままで散歩をしていた。

 目的地は川越しに、すぐそこある小さな廃棄された教会で、そんなに遠くはない。

 ふと仰ぎ見ると、まるでさっき夢の中で飛んでいる私を、下から見るように、背中に存在しないツバサが軽く震えた感じがした。

 

 ——ほんと、嘘みたいだ。

 

 もし今、星が見えるなら、この夜はもっと嘘のように見えるだろう。

 いったい目が覚めていただろうか、覚めていないだろうか、そんなことはとっくに考えるのをやめた。

 ただただ「こんな夜を早く終わりたい」と、ゆっくりと足が進んでいた。

 

 

 ————☆。

 

 

 ガチャっと、教会の古い門を開く。

 中には、もちろん誰にもいません。

 何かに破れた天井から、月光がひっそりと入りました。

 そのおかげで、この人がいない場所にいても、寂しくはなかった。

 

「昔はにぎやかだったなぁ。」

「三年前の事件がなければ、今ごろ私はシスター姉さんに叱られていただろう。」

 

 ——そんなことを考えるのも、もう飽きてしまった。

 だから今は、月光さんが作ってくれたこの静かで、明るいとも言えない空間を、ただ感じればいい。


 

 ここに入ったから、まだ数分しか経っていないはずなのに、まるで夜空の歴史が何回も繰り返されたように、眠れないこの夜はやけに長く感じていた。

 時には歩き、時には座る。

 ドレスが灰に汚れても構わない。

 何も考えずに、私はただこの馴染みのある教会を観察しながら、時間を潰そうとしていた。

 

「月光さんは暇だなぁ。」

 

 ぽつりと囁いた台詞(セリフ)は、椅子に腰掛けた私から、教壇の後ろで差し込む月光さんへ。


 ☆。

 

「こんな雲だらけの夜でも山の向こうから飛び出しちゃってさぁ。」

「……」

 

 くだらないことを呟きながら、私は立ち上がる。

 そして教壇へ向かって、まるで悲劇の主人公みたいに、ゆっくりと歩き始めた。

 

「星さんならどっかに隠れていたなぁ。」

「…………」

 

「雲がなかったら、星さんの方がずっーと明るく見えるのに。」

「……ち………す…」

「…え?」

 ん?

 ☆。

「あっ!」

 んあっ。

 

 バタン。

 

「いたたたぁ……。」

 あ…。

 すいません、今階段を蹴って、すってんころり~ん☆しました。

 にしてもさっき何か明るい何かを見たような…。

「違いますっ!」

「えっ?」

「違います違います違います違います違いますっ!!!!」

「わかったわかったー。」

「なにが違うの?」

「違いますーー!」

「もう、いったいなんなの??」

「わ た しー!」

「ん????」

「ほ し は か く れ て い ま せ ん っ !」

「え…。」

「かくれてないかくれてないかくれてないかくれてないっっ!!!」

「わかったわかったっー、とにかく一回落ち着けって。」

「っんむむっ!」

 

 ほっぺを掴んだ。

 

 今、突然金髪の女の子が出てきて、私を押し倒していました。

 どうやらなにかの原因で怒っているみたいだ。

 えっど、名前は……。

 

「君、どこから出てきたの?」

「『キミ』じゃないっ!」

「『 ホ シ 』 で す っ !」

「え…?」

「星?」

 

 ☆?

 

「あ、名前ってこと?」

「『なまえ』じゃないっっ!」

「ホ シ は ホ シ で す っ!!」

「まあまあまあ落ち着いて落ち着いて〜ってば。。」

「ほらほら、飴ですよ~。」

「……」

「……はむ…。」

 

 ということで、名前はホシだそうです。

 にしてもよく見たら、なんか髪の毛がほんのり光ってるような気がします。

 今は月光の中にいますが、その蒼さとは違って、彼女からは星のような金色の微光が漂っているような……そんな感じがします。

 

「それで、どこからきたの?」

「こんな深夜でここ来るなんて、危ないでしょう?」

「しん…や?って…なに?」

「えっど、どう説明してばいいだろう…。」

「よるのド真ん中?」

「よ…よる?ってなに?」

「……ああもう、とにかく! ホシちゃんは、どこからきたの?」

「ど…どこ?」

「……まじか。」

「もういい、まずは一回うちにとまっ——」

「ホシは…ホシからきたっ!」

「……え?」

「ホシはホシからきたっ!」

「聞いてるんだけど、え……?」

 

 ホシ……ホシ…ホ…シ?

 

「あ、ホシって、町の名前のことか。」

「ま…ち…、なまえ……、えど……、たぶんっ!」

「わかった。」

「じゃあその“ホシ”って名前の場所の方向、教えてくれる?」

「家まで送るから。」

「うんっ!」

「おねえちゃんきてきてぇ!」


 ——小さな手に引っ張られながら、私はホシちゃんと教会を出ました。

 

「おねえちゃんおねえちゃんっ!」

「あそこぉ!」

 ★★★★★★★。

「ぅえ……。」

「あそこって、夜空なんですけど…。」

「まさか空から落ちてたって言いたいわけじゃなっ——。」

「そうっ!」

「え…。」

「えどぉ……。」

 

 いちようあれを聞いてみようか。

 

「じゃあ、ホシって、どんな場所?」

「ホシは……ホシ…は……ホ…シ?…ホッシィ?ホォーシ?ホ…」

 

 まぁそりゃあそうかぁ。

 

「まあいい、まずはうちにとっ——」

「まってっ!」

「まってまってまってまって!!」

「ホシはー!」

「ん?」

「バルリンコで、サリーンコハンファで、グライッソウピーンポンの、マルフェリアルミシャですっ!」

 

「……ぅん?」

 

 バル…リンコ?

 …サリーンコハンファ……?

 グライッ……なんそれ?

 

「バルリンコで、サリーンコハンファで、グライッソ……ス…ウピー…ンポンの、マルフェロォ………あ、リアルミシャですっ!」

「聞いてたよー。」


 うーん…。

 あやしい。

 あやしすぎる。

 ていうか自分でも間違ってるやん。

 

「ぇん……。」

「じゃあ、そっ——」

 

「ねぇねぇー。」

「おねえちゃんいこうー?」

 

 え?

 

「えっっ、ちょっ、待って待ってー。」

 あぁー、えっ、力でっかっ。

「手ぇ引っ張らないでってーー。」

「あー」

 んあーあぁ。

「あぁー」

 ☆ー☆。

「えっツバサァっ」

「ほーらほぉーらっ!」

 な、なに?!!

「えっ、ちょっ、まっ」

 ☆。

「はっ走らないでっー」

 ぅあー。

「あーああぁ」

「おねえちゃん! 手、離さないでねぇっ!!」

 ☆☆☆。

「えっ?」

 

 ——「とーぶーよー!」

 

 えっ。

 

 ええぇえええぇええぇえええぇええーー!!!!!

「ええぇぇえぇえぇぇえええぇえぇえぇー!!!!!!!!!」


 


 

 ☆≡≡≡==———-——--——--- -- - - - -。

 


 

 

 ——————————「うあーー」

 

 ————————「えええぇえぇー」

 

 ——————「ああああぁぁあああぁああー」

 

 ————「ああぁえーー」

 

 ———「おねーちゃん。」

 

 ——「そろそろ雲に入るよっ!」


 

 —「えっ」

 

 

 パン。


 

 ——☆——。


 

「……」

 

 ああ、たしか、そんな夢を見たなぁ。

 訳もわからず、よるのド真ん中で目覚めて、なんも考えずに家を出て、ただ散歩をして……。

 そしていつもの教会に入って、意味不明な女の子と出会って……。

 

 それで——。


 

 よく思い出してみると、その女の子、結構かわいい顔してたなぁ。

 明るい金髪に、最高級なサファイアのような蒼い瞳。

 光のない夜でも、その顔の細部までくっきり見える、不思議な存在感。

 大きくなったら、きっとモテモテな美人になるんだろう……。

 

 ——ただの夢なのに、どうしてこんなにはっきり覚えてるんだろう。

 やっぱり、「あの顔」のせいなのか。

 それとも、あのそらでなにかを見てしまったのか。

 

 日が昇ったから、日が沈むまで、そんな存在していないはずの夢を考え続けていた。

 

 手を上げれば、まるでその子に掴まれているような感じがして、

 手を下せば、まるですぐ誰かに掴まれそうな予感がした。

 

 目を閉じれば、まるでその無視できない顔が目の前にあって、

 目を開けたらっ——「うええぇえええぇぇええぇえええぇえええぇえええぇぇーー」


「ゆめじゃないのぉおおおぉーー??!!?!?!?!?!」


 ☆。


「おねーちゃんうーるーさーいーっ!!」


 

 ——ということで、夢じゃなかったみたいです。


 

 どうやらさっき雲に入った瞬間にちょっと気絶してた。

 改めて説明すると、今、すごく強い風が顔に当たってる。

 馬車の何百倍もあるのスピードで、空の果てを目指してるみたい。

 すぐ横にある雲とか、雨粒みたいな水滴、どれもこれも幻想的すぎて、夢って言ったら必ず信じる。

 でも、この体感と、やけに明晰な思考が……どうしても夢とは全然違う感じがした。

 

 ——ほんと、嘘みたいだ。


 もし今、もう一度だけ選びのチャンスをもらえるなら、私はきっとベッドで寝転ぶして、こんな嘘なんて、一生乗りたくないだろう。

 いったいどこから始まったのか、どこで終わるのか、今はそんなことを考える余裕もなかった。

 ただただ「こんな嘘を早く終わりたい」と、心の中でこっそりと文句を言いました。



    ———————そう、

  ————     「もしあの頃、

           雨の中に

           シスターの

 

           ツキちゃんが

 

           私についた


           誰でもわかる

 

                        ——————

           「約束」という


 

 

           ウソを

 

         ————


           突き破って、

 

     ———————————


           その手を

 

                        ————


           もっと強く

 

 

           ——————

 

           掴んだら、

 


      ————————

          ————————————   ——        

 

           今頃、」


 


   ——————— 

                              ——————————————

                ———————————————

 

           私はきっと———————————————————

           

     ————————————————————————————————————  ——  ——————

————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————

    ——————————     —————————— ——   ——

 

    ———————————————————「あの子と幸せそうに寝ているんだろう。」


          ———————— ———— ——       ————————————

——————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————    ——————   ————  ——


 ————————————————ぱぁっ——。


 

     *                 *

  *     ★★        *           ★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★       ★★★★★★★★★★★

★★★★★☆☆☆☆☆★★☆☆☆☆☆★★★★★★★☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★★

*    ★☆☆*☆★☆☆☆☆☆★☆☆*☆☆☆☆☆☆*☆☆☆☆☆☆★

 ★★★★☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆★★★★★★★★

★★★★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆★      *

     *    ★☆☆☆☆☆*☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★

★★★★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★★

★★★☆☆☆☆☆☆☆*☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆*☆☆☆★  *

   ★★★★☆☆☆☆☆☆★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★★

  *   ★★★★★★★       ★★★★★★★★★★★★    *

         *                  *


 ————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————


           「………………」


 ——その一瞬、視界がぱぁっと開けた。

 空が、割れた。


 ——そこにあったのは、

——————————————満開をしている、一面の星空。

 


 ——雲の海を突き抜けて、

嘘みたいに静かな、星空が広がっていた。

 音も、風も、すべてが消えた。

 その代わり、全身が光に包まれていく。

 光といっても、冷たい夜の蒼。

 でも、なぜか胸の中にとてもあたたかい感じが、迷いもなく広がってしまった。



 —☆———。



「……っ!?」

 

 ☆。

 

「おねーちゃん。」

「ほぉーら。」

「ホシは隠れていないでしょうぅー?」

「……」


 ——。

 たしかに、星は隠れていません。

 しかも隠れていないどころか、こんなにも満開をしているとは。

 まるでおわりを迎えた世界のあと、遅れた救世主さんのように現れた、一面の花畑。

 そんな誰でもみれるわけではない景色が、いま、私だけのためにその隠した姿を表している。

 

 そうだな...。

 もしあの夜、

星は雨の後ろに隠さず、

こういう風に出てきたのなら——。

 

————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————

 

 

 そんなことを考えつつ、私は初めてこう思いました——。

 

    ——「頼むから、噓でもいいから、

           その『約束』を、

                 もう一度私に聞かせてよ。」

 

                         って。

 


————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————



「……い」

「……」

「おーい」

「……」

「おねぇちゃんどうした?」

「……?」

「なみだ、出てるよ?」

「……!」


 気づいたら目の中はもうなみだがあふれ出して、

 目の前の綺麗なはずの星空がもうドロドロになっちゃった。

 ダメだな。

 そんなムダなことを。

 せっかく星がこんなにも咲いてるのに。


「いえ。」

「ちょっと、昔のこと」

「思い出しちゃって。」

 

「うーん。」

「わかるよー。」

「ほし、綺麗だもんっ!」

「……」


 ああ、たしかに。

 果てが見えないくらい、美しい。


「そうだな。」

「世界一綺麗だ。」

「うんっ!」


 そんな世界一番の綺麗な星空を、今、私たちが目指していた。

 下にはもう雲が見えなくて、上にも無限に遠いような星空しかない。

 周りにも家に見えるようなところが見つからない。

 それだけ半端な状態。


 

————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————

 


「ねえ、ホシちゃん。」

「これ、まだどれくらっー」

「おねえちゃんごめんなさいっ!」

「手が限界ですっ!」

「……」


 ……え?


 ☆。


「えええええええええええええええええええええええ?!?!?!??」


「ウソだろうぅぅうううぅう?!?!?」



 

 -- -———=≡≡★。



 

「……」

 

 思い出してみたら、あの頃、一緒にシスター姉さんのところからいっぱいの飴を盗んだとき、二人で必死に教会の反対側へ向かったってことがあったなぁ。

 ただなんも考えずに走って、うっかりと結構大きいな穴に落ちてしまった。

 そう、いまみたいに。

 「あ、私、死ぬんだ。」って、思った。

 目を覚ましたらツキちゃんが一生懸命私を起こしてる光景を最初に見てた。

 それから、いろいろ状況を整えて、ツキちゃんが「ここを秘密基地にしてみない?」って提案して、私も「えっ、天才か?」って返事をした。

私が「じゃあ、暗号を考えなきゃだねぇー」って言った後に、ツキちゃんも「うーん、ちょっと難しいなぁ……。 思いついたら教えるよぉ!」って。


 「二人だけの秘密基地だよぉっ!」って。

 

 ……たしか、その言葉は——

 ——「バルリンコ(輝く世界の)ディシャフェンス(導き者)。」


 

————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————


 

 ☆————。


 

 ☆。


「おねえちゃんっ!」

「……」

「おねえちゃんっ!おねえちゃんっ!」

「……ん……。」

「やっと目覚ましたっ!」

「おねえちゃん、ごめんなさいよぉー⋯⋯。」

「……」


 目をさましたらしたらホシちゃんが一生懸命私を起こしてる光景を最初に見てた。

 気を取り直してたら、背中に暖かい感じがしてた。

 それはホシちゃんの手と、

       いつの間にか生えた、

              黒い黒い

                 ツバサ。


 ☆★。


「おねえちゃんっ!」

「続き、いこう?」

「……」

「……はい!。」


 ☆★————。


 そうだなぁ——。

 あれは、夢じゃないかもなぁ——。

 夜の歴史を語るホシと、

夜空に舞う、星々が奏でた願いという唄が。



 いったいどこから始まったのか、どこで終わるのか、今はそんなことどうでもいい。

 ただひたすらうえのその先へ、

向かっていた。


 



 ☆≡≡≡==———-——--——--- -- - - - -。

 ★≡≡≡==———-——--——--- -- - - - -。





「おねえちゃん。」

 

「私の家、もうすぐそこだから。」

 

「ここまででいいよー!」

 

「ーうん。」

 

「楽しい夜だったっー!」


「うん。」

 

「今日一日」——


 

 ——「ありがとう。」


 

     ——「うん。」


 

 

 

         ——「さようなら。」

 

 

 


 ——その言葉と共に、私は自然と目を閉じて、体が雨のように、地面の方へ向かっていた。





 - - - - -- ---——--——-———==≡≡≡★。





————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————



 ★。


 もう一度目をゆっくりと開いたら、私は教会の古い門の横に座ってた。

 まるですべてがただの夢のように。


「……!」

 

 視界の中に入ってたのは、「明るい何か」。

 ほんとにそこにいるんだろうか、それとも目覚めてばかりの幻覚か。

 それも考えずに、私は手を伸ばした——。


「……」


 彼女も私を気づいたように、私の方を振り向いて、小さく微笑んだ。


「……」

 

——「これで約束、果たしたよね。」

 

「……」


——「『サリーンコハンファ・レ・シャダメケッサ・ガオパ。』って約束。」


「……?」


——「『もう一度会う』って意味だよ。」


「……」


——「じゃあ、私は家に戻るから。」


——「また機会があったらね。」


「……」


「……あっ」


 その言葉の通りに、彼女はもう一度、その星の美しさに負けない羽を張って、私に向かって、手を振りながら、いま満開をしている星空に飛んでいた。

 そんな時の私は、一言すら言えずに、ただ見送るだけをしていた。


☆。


 ふと仰ぎ見ると、まるで夜の歴史を、まるごと空に映るように、星々が唄っていた。

 さっき必死に乗り越えた雲も、いまは欠片すら残っていないように見える。


 ——ほんと、嘘みたいだ。


 でも、もし今、もう一度だけ選びのチャンスをもらえるなら、私はきっと迷わずこの旅を乗るでしょう。

 例えウソだとしても。


「……」


 星空をじっと見たら、星の屑のような小さな「明るい何か」が舞い散った。

 手紙だろうか?願いだろうか?

 私は両手を伸ばして、その星屑を掴めようとしていた。

 しかし、

私がもう一度頭を上げたら——

      ——————

 星空はもう消えた。

   ——————      ——————————————    ——————

 また全部雲の後ろに隠れてた。

      ——————————————         ————

 掌の中にあるはずの星の光も、偽りの雨滴となっていた。

    ——————    ——————

 そう、雨が降ってきた。

                   ——————————————

 まるでこの夜の歴史とか、初めから存在していないみたいに、だましあがって。

         ——————————

 ああ、わかってるよ、それくらいのこと——。

    ————————     ————————————  ——

 「サリーンコハンファ——幸せ。

 レ——なる。

 シャダメケッサ——も。

 ガオパ——あなた」。

 —————— ——    ——————————

 組み合わせて——

    ——————————————    ————————————

     ——————       ————————   ——

       「あなたも幸せになってね。」

————————      ——————————   —————

      ——————————     ————————

「あー、もーう、どっからの約束(ウソ)だよ。」

 ——————————     ————  ——

「あの日の約束は——『一緒に幸せになろう』の方が正しいでしょう。」

   ——————        ————————————   ——

「バーカ。」

   ————————————    ————      

      ————————————————     ————   ——

 ——やがて目を覚ませば、この夢はウソとなり、あの「約束」も、私の手からすり抜けて、泥の中に沈んだ。


 星は雲の後ろに隠れていて、

 星の光も雲を通って、雨になった。


 気づいたらすべてが手遅れて、夜空の下にも偽りしかない。

 雲越しに、偽りの雨となった、白い星の光に濡らされながら——。

    ————————             ——————

————「最後くらい、

一回でもほんとの言葉を言えよ。」

————  ————        ————————————

    ——————————        ————————

「ツキちゃんの」————————————

————      ————————————          —————————

 ——————————————    ——————

    ——————   —————————————————

  ———————        ——————————

            ————————     ————  ————

      ——————    —————— 

               ————————「ウソツキ。」

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