終:闇の中
闇の中に、青白い火を灯した蝋燭がある。
その明かりに照らされた黒い人影が、手元の羅針盤を愛おしそうに撫でる。
「ああ、瑠璃、もうすぐだ……」
荒い息遣いだけが響くその空間に、ふと、別の誰かの気配が降り立つ。
「……遅かったな」
「申し訳ございません、乱鴉様」
片膝を衝いて頭を垂れたその人影、顔は見えず、声もくぐもっていて男か女かわからない。
「どうだ?」
「予定通りです。全ては、乱鴉様の御心のままに」
恭しく一礼をして、その者はうっそりと微笑んだ。
「今度こそ、乱鴉様が忌々しき赤鬼を滅するための舞台を、ご用意いたしました」
「そうか。お前を手駒として迎え入れて正解だったよ」
その言葉に、その者は恍惚の表情を浮かべた。
「ああ、ありがたき幸せ。私の全ては、乱鴉様のために……」
そう述べて、それはふっと姿を消した。
「……鬼も、なかなか使えるものだな」
乱鴉の呟きだけが、静かに闇に響くのだった。
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