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終:闇に潜む何か
暗闇が広がっている。
その一角に、青白い炎を灯した蝋燭があり、黒い人影のような何かを照らしている。
それは、膝をついて項垂れているように見える。
静かな空間に、荒い息遣いだけが響く。
「ああ、瑠璃……瑠璃……! もう少しで、お前を手に入れられる……!」
震える声で呟き、それはどさりとその場に倒れ込んだ。
「……チッ、この身体はもうダメか。忌々しき赤鬼の炎のせいで……!」
恨みがましげに吐き捨て、それは何かを唱えた。
すると、そのくらい何かは、塵となってはらはらと消えてしまった。
そして数秒後、その後ろにゆらりと別の何かが現れる。
「次の身体は軽いな。気に入った」
うっそりと嗤うそれは、蝋燭の青い炎を見つめた。
「ああ、瑠璃。待っていてくれ。もう少しでお前の魂をこの手中に収めることができる……!」
期待に満ちた声を響かせて、その何かはやがて闇に溶けて消えていった。




