消火作業の打ち合わせ
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますo(*⌒―⌒*)o
今回も遅くなりましたが、読んでくれてありがとう( ≧∀≦)ノ
サラサ達一行は城の広い廊下を歩いていた。
そう、御一行様である。
殿下なる青年の侍従兼護衛らしき年長者男を先頭に、サラサを挟んで前後に騎士達が配されている。まるで厳重な護衛のようだ。だがサラサからすれば「絶対に逃がさねーぞ」的な心持ちの現れにしか見えない。難儀な事だと呆れながらも、梟型との会話は進む。
『狭間の、水は使えぬぞ』
「油の場合、反発して火を広めかねませんからね」
『付け火の犯人共はそれをやらかして一気に火を広めおったがの』
「子供でも分かりそうな事を……救うようの無い馬鹿ですね」
『地中にまで火と油が染みてしもうておる』
「豊かな腐葉土が層になっておりますからね。取り敢えず空気を遮断して掘り返し、火を纏うた層を全て撤去しないと……」
『沈下はならぬか』
「沈下どころか、森が壊滅します」
周囲の騎士達が息を飲む。
『……もはやこの森を捨てるしかないか』
「お待ちを、梟の。この国の人間壊滅はともかく、他の生物に迷惑はかけたくありません」
「貴様! 謀叛の意志ありと見なすぞ!」
先頭をきっていた侍従兼護衛が振り返った。
しかしサラサほ意に介さない。
「煩っせーなジジイ。歩みを止めるな。歩きながらでも話せるだろうが。今は森の消火が先だ」
『火を点けたのは狭間のではないのだぞ』
「こいつらは野焼きを付け火と混同してるような奴等なんですよ、梟の」
『……阿呆か。野焼きは共存の為の知恵であろうに』
「区別がつかぬのでしょう。今回の付け火も、魔女狩りよろしく、誰かに責任を負わせたいのでしょうね」
『神々の保護下にあるこの狭間のを、今度こそ殺すか』
ブワリと梟型の羽が逆立ち、姿が膨らんだ。
梟型の怒りを買った事実、そして梟型の言葉に男達は言葉を失う。
神々の保護下。
そのように宣ったのは、精霊の化身。嘘ではない。
マズイ! ヤバイ!! 国が滅びる!?
「動揺してる暇があるなら動け。時間が惜しい」
再び動き出す御一行。
「梟の、油の被害範囲は絞れますか?」
『分かる』
「なれば、油の関わりない範囲は水が効く。梟の、協力は仰げますか?」
『水に関しては難しい。蛇が逃げ遅れてしもうたし、魚達は些か遠い』
サラサの眉間にくっきり皺が刻まれる。
「梟の、地中に関しては空気を遮断したい。特に、油が染みた箇所を重点的に。それは可能か?」
『我以外にも風を司る者達は粗方逃げた。何とかなるだろう』
「ありがとう存じます。……地中の命や草木が、大分犠牲になりますね」
『地を司る者達は避難済みだ。草木はあれでしぶとい』
「広葉樹は火伏せの力がございますからね……。──先頭のジジイ! 油の染みた腐葉土を掘り起こして森から移動するよう指令を出せ!」
「そんな──」『狭間の、人間にはかなり難しいだろう。あの炎では』
「仕方がない。わっしがやる」
『その前に狭間の。先程も触れたが、逃げ遅れた同胞の救出を先に頼む』
「分かりました。確認はお頼みします」
『あい分かった』
前回から梟さんの台詞は『 』に変更しました。m(_ _)m
サブタイトルの打ち合わせは、精霊さんとでした_(^^;)ゞ
次のお話は大分前から頭にあるのですが、作者的には精神的な負荷を感じる回でもあります。
起こすのに少し時間がかかりそうです。
少々お待ち願いたく存じますm(_ _)m