告発
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますm(_ _)m
今回は会話のみにての進行です。
虐待を通り越して暴行に及んでおります。死亡案件も出てきます(-_-;)
苦手な方はご注意ください( ノ;_ _)ノ
「この事……その、君の狭間人としての記憶の話は通してあるのか?」
「形式上の父親に、との意味でしてら、まさか! と申し上げさせていただきます。あの男とババアに漏れたら最後、殺されるなら御の字、最悪は廃人に仕立て上げられ死ぬまで搾取されます。私が、兄と、現在保護してくださっている伯父が“救出”くだされた時は、あ奴等、私が狭間人である事実を把握していなかったので手放したようなものです。勿論兄や伯父との駆け引きか何かの結果でしょうけれど」
「保護、と言うのかい? ムハラ伯爵は君を誘拐し軟禁、教育も施しておらず君の知識を搾取しているとの訴えであったのだが」
「その訴えは、現エイビス当主からのものなのでは?」
「……そうだ、と答えたら、君はエイビス候に不利な証言を並べそうだね」
「まあ誰でもいいです。取り敢えず、伯父様一家は私に教育を施してくれようとはなさりましたよ。私が拒否しただけで。殺されかけたところを保護されたので、伯父一家は私の身柄を引き取り心身を慮り休ませてくださいまして、私の我が儘を聞いてくださっている内に有耶無耶に。で、勉強したくない理由ですが、母が生きていてくだされた時は好きでしたよ。けれど母の死後に勉強しようとしたら、怒られたのです。あ奴等に。いつか売り払う家畜に教育はいらないと虐待理論を展開されて。朝から次の日の朝まで花摘も許されず立たされ続け、幼い私は膀胱が破裂しかけました。それでも間違って生まれてきた私にお金はかけないと宣言して医者は喚ばれず、兄の教師以外は全員クビにされました。その一件も軽くトラウマでして、ま、後は独学です」
「…………………………何処から突っ込めばよいのか?」
「話を続けます。先程の“救出された”という発言の内容は、製造元とその姉たる伯母に殺されかけていたのを助けられたというものです。あ奴等は私の姉を嫁に出した後、その祝いや何やらで兄が長期間屋敷を留守にするのを利用して、私への暴行に到りました。ああ、一応は父親として姉の結婚式には出席したようですが伯母という肩書きのババアは年齢を言い訳に欠席。その癖エイビス家の留守を預かる名目で屋敷に乗り込んで来て、幼い私を暇に飽かせて甚振って遊んでおりました。勿論人払いをして。声が漏れぬように地下室で。で、私が反撃できぬようにと執拗に腰回りを蹴られましたね。一番初めは脚を折られてからですが。動けぬ私の髪の毛を鷲掴みにして振り回したり。あれは首が抜けるかと思いましたよ」
「いや、それくらいで首は抜けぬ──」
「抜けますよ。大人と違って子供の首なんてヤワですこら。胴体と泣き別れしなくとも、骨は脱臼します。それだけでも死亡案件ですが、その上振り回してたら確実に苦しみ抜いて死ぬでしょう。私を甚振りたいあのクズが、気付いて自重したくらいですから」
「………………」
「因みに負った怪我は治療するも完治には至らず、現在も片足の鼠径部が不自由なままです。それでも自力で立ったり座ったり歩行まで可能にしてくだされた伯父やお医者様には感謝と恩義の気持ちが溢れます。あ、私が救出されたのはお手洗いです。怪我でボロボロの状態のままご不浄の個室に監禁され食事どころか水も与えられずにたぶん何日も。窓も無いトイレなので何日かは判然としませんが。前世のように水洗トイレであったら、お手洗いの水と承知の上で飲んでしまったかもしれません。おそらくスライムも居ないポットントイレであったので、本当に干乾しになりましたけど。最後の数日は意識が朦朧としていましたが、助けてくださった兄と伯父と使用人達の事は忘れません。あ、いま一つ情報を追加しますと、厳冬でのやらかしです」
「………………おい」
「よって伯父は私を拉致して手元に置いているのではなく、保護、です」
「……君や君の周囲の人間達の証言だけで判断はできない。特に彼は、ムハラ伯爵は本来ならエイビス家の跡取りであったのに外された問題のある人物だからね」
「ああ、その件でしたら、私はこう言いましたよね。“乗っ取り”と。こちら側の人間が信用できないとの事でしたら、古いお役人や陛下にあ訪ねになられては? きっと記憶に残されている方もおりましょう。だって祖父である先代エイビス侯爵は伯父を跡継ぎとして指名しておられたそうですから。けれど、これも伯父が国の仕事で長期の出張に出ている隙に、祖父が急死しております。いつの間にか伯父嗣子の書類が取り下げられて。私から見た伯母が伝を伝ってごり押ししたとか。随分とキナ臭い話ですこと。ああキナ臭いと言えば、私の母も突然死でしたの。前日まで元気でしたのに。あの男は、もう死んでいるのだから医者は必要無いと、葬儀もそこそこに埋葬を急ぎました」
「おい。大層良く回る口だが、いくら何でも言って良い事と悪い事がある」
「だ・か・ら、今まで引き込もって口を閉じていたのです。誰がエイビスを嗣ぐにせよ、次世代に迷惑をかけますから。それを欲に目が眩んで引っ張り出したのはどちら様なのでしょうね?
ふふ、私の知識の権利と知識による財産は、兄と伯父の物でしてよ。教会とギルド、そして国も認めている正式な手続きによる決定事項です。私が今ここで処罰されたとしても、あのジジイが侯爵を退くまで一時差し止めの指定付き。あ奴等に旨味は渡さない。祖父の時と同じ手は通用しない」
ニンマリ笑う私は、悪役のチンピラにしか見えなかっただろう。
タイトル回収はまだ先です。
他の作品も連載しておりますが、取り敢えずこちらを優先して仕上げてしまう予定です。
宜しくお願いします。m(_ _)m