王都到着
「意外と集まってるな……」
気が付いたらバッドホッパーの上に魔石が増えていた。
ゴブリンの群れの殲滅でもしたのか、6つの魔石が増えている。
増えた6つを俺の魔石として回収しレベルは維持したまままた使える。
これで俺が使える魔石は11。ブレイドドラゴン達に使っている魔石は4つ、合計15個になった。
この調子なら自力で魔石を作りながらでも十分いざという時にカードを使う事が出来るだろう。
ただフィールドやアームのカードはまだ使えていないので実験するためにまだデッキは変えてないでおこう。
それはそれとしてデッキ製作だけは続けている。
俺の大好きなネタデッキから友達が使っていたガチデッキまで、いろいろ揃えておこう。
とりあえず……デッキは9種類作っておけばいいか。
単色デッキを6つ、混色デッキを1つ、俺好みのネタデッキを2つ作っておくか。
あとは実際に回してみて使用感を確認してだな。
ただこのカードゲーム、基本的に横に並べるのが定石だ。
他のカードゲームでもそうかもしれないがコンボを決められるカードをとにかく横に並べて相手を一気に殲滅するのが強い勝ち方と言われている。
デッキの組み方次第では相手のライフだけを狙ったり、カウンター狙いもあるがその分プレイングが難しい。
俺は難しいプレイングを行えるだけの頭はないので基本的に横に並べている。
色んな効果のカードを横に並べてお互いをサポートし合い、完全勝利を目指す。
ただ簡単にカードの使い心地といったが……対戦相手がいない事に変わりはない。
前世の時と同様に1人寂しく1人で回して確認するしかない。
これにゲームの機能があればな……一応家庭用ゲームでも出ていたのでその時に自分のデッキを組み、実際に1人で回してみたりしたが……それくらいだな。
「若様。ご出発の時間です」
「あ、はーい!ブレイド行くぞ」
俺の言葉にブレイドドラゴンは返事をし、俺の隣を歩く。
ちょうど今日が社交界に行く日であり、これから長い旅が始まる。
近くに居るのはブレイドドラゴンとモンクーだが、バッドホッパーも離れた位置から護衛してもらっている。
対処できる魔物に関してはホッパーに任せよう。
「お兄様!」
リリアがモンクーを抱っこした状態で現れる。
もう既に1人と1体は仲良くしており結構いい関係だ。
デッキを変更する際にリセットされるのだが、その時の言い訳とか考えておくか。
「準備できたか?」
「出来てるよ!お父様とお母様が待ってる!!」
王都に行ける事が本当に楽しみで仕方ないという感じでワクワクしているご様子。
俺も見た目通りの反応が出来たらな~。
子供の純真さを失って久しい転生者よ。よよよ~
こうして俺達は馬車に乗り込み王都に向かった。
――
1週間後、俺達は王都に着いた。
道中特に問題なく休み休み移動していたが普通に間に合った。
余裕をもって到着しても王族も参加する社交界に出席するのだからむしろこれからが本番らしい。
王族と会うにふさわしい服装とマナーを使えるようにしなければならない。
あと俺とリリアの場合婚約者探しの意味もあると事前に言われていた。
俺は神様からカードをもらったが召喚士という立場は非常に弱い。積極的に行かないと婚約者を確保する事は出来ないと父親に言われてしまった。
リリアに関しては軽いお目見えみたいな感じあくまでもリリアを紹介して少しでも唾を付ける事が出来れば、という感じらしい。
立場も状況も違うが社交界に本気出せっというのは本当らしく、両親も気合マシマシだ。
俺個人としては前世の経験もあってかそんなに急がなくてもいいんじゃないの?と思うが郷に入ってはという奴だ。この世界の流儀に則り婚約者探しをしなければならない。
こういうのを感じると適当な見合い結婚でもいいような気がしてきた。
俺にだって性欲はあるがまだ10歳だぞ。
さっさと結婚しろと言われても早過ぎない?っという気持ちは消えないが。
それからおまけで言うと王都の屋敷もそれなりに広い。
流石に実家に比べると小さいが、今回みたいにメイドや騎士を連れて移動するから彼らのための部屋も用意しなければならない。
だから必然的に屋敷も大きいのだ。
「それにしても……王都の屋敷もこんなに大きいなんて、維持費いくらくらいになるんだろうな?ブレイド」
屋敷を探検しながら足元に居るブレイドドラゴンに声をかける。
ブレイドドラゴンは首をかしげながらよく分からなそうにする。
まぁその辺は当然か。人間の都合なんて分からないだろう。
そう思いながら裏庭に到着。
ここなら馬車の中で固まっていた体をほぐす事が出来るだろう。
いやだって移動中ずっと馬車の中で尻は痛いしゴロゴロできないし、リリアは酔うし色々大変だった。
体操しながら体をほぐしていると、ブレイドが何かに気が付いた。
「ブレイド?」
何に気が付いたのか茂美に近寄ってみると、白い子猫が居た。
怖がっているのか小さく震えて動きたくても動けないっという感じ。
そんな子猫にブレイドは匂いを嗅いで何かを確かめようとする。
「ブレイド、その子怖がってるみたいだぞ。ちっこくたってドラゴンなんだから」
少し距離を取るように言うとブレイドは数歩下がる。
子猫は飼い猫なのか俺がそっと手を出しても逃げる様子はない。俺の臭いを嗅いだ後恐る恐る近付いてくる。
よく見てみると首輪がしてある。
しかも小さな青い水晶付き。明らかに飼い猫だ。
「誰かに捨てられた……訳ないか。毛並みもいいし痩せすぎている様子もない。散歩しに来たら大勢の人間が居て驚いて隠れてただけか?」
何て呟きながらそっと撫でると子猫はあっさりと気を許したのかゴロゴロ言いながら撫でられる。
野良だったら絶対にこういうことにはならないだろうなと思いながら飼い猫である事が判明した。
さて、飼い猫である事は別にいいのだが、この子どこの子だ?
ただ散歩しに来て帰り道が分かるのなら問題ないが、もし迷子だった場合保護する必要がある。
そっと抱き上げると子猫は大人しく腕の中で丸くなる。
どうしたもんかと思いながら屋敷に連れ帰った。
「お母様、迷い猫です。どこの子か分かりますか?」
「え、猫?」
こっちに来て忙しそうにしているがこういう話は母親の方が早いと思った。
淑女ネットワークみたいな感じで猫を飼っている家とか知らないだろうか。
「あら珍しい。猫を飼っている貴族は少ないからすぐに見つかると思うけど……」
「お母様は知りませんか?」
「知らないわね。元々猫はあちこちイタズラをするイメージから飼うなら犬の方が躾しやすいという事から犬の方が人気があるの。実際狩りをする貴族は猟犬を飼う事もあるから」
「なるほど。首輪に青い水晶が付いているのでかなり可愛がられていると思いますが」
「そうね……ん?」
首輪の青い水晶を見て母が首をかしげる。
「お母様?」
「何でもないわ。でもその子の飼い主を探す必要はないかもしれないわね」
「自力で帰れるって事ですか?」
「ええ。その水晶はその子が家に帰るための道しるべを示すための物みたいだから、帰りたくなったら帰ると思うわ」
「そうですか。それじゃ裏庭に戻してきますね」
「ええ。それで大丈夫なはずよ」
何故そんな事をはっきりと言えるのかは分からないが、この水晶に何か仕掛けがあるらしい。
GPSの様な物、あるいはカーナビみたいな物でもついているのか?
ペットにそういう物を付けるだけでも高価なのは分かるし、きっと王都に住む貴族の飼い猫だろう。
裏庭に下ろし、少し遊んであげると子猫は勝手に帰っていった。
可愛いもの好きの妹が居なくてよかったと思いながら見送った。




