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バッドホッパー、モンクーを召喚!

 手札は十分あるが肝心な魔石がまだ8つしかない。

 そのうち1つはブレイドドラゴンの召喚維持のために消費できないので実質使える魔石は7つ。

 もうこれ魔石ガンガン増やしていくしかないな。あまりにも動きがとれなさすぎる。

 とりあえず今回の王都行きが終わったら魔石ブースト特化型の緑デッキ作るか。

 いや、デッキその物はいくらでも作れるんだから旅の途中暇だからデッキ作りに力を注ごう。


 夜中にひっそり召喚するのを決めていたのは手札にいたこいつ。


『名前    バッドホッパー

 カテゴリー スピリット

 コスト   3

 軽減    緑1

 種族    怪物虫かいぶつちゅう

 シンボル  緑1

 レベル1  魔石1 BP3000

 レベル2  魔石2 BP4000


 効果   【レベル1~2】バトル時、魔石を1つこのスピリットに置く』


 早速魔石3つを消費、召喚維持のため魔石を1つ置いてバッドホッパーを召喚した。

 大きさは……俺と変わらないくらい、つまり子供くらいの大きさのバッタだ。

 虫として見るとかなり大きいがこの世界では魔物としてはどうなのだろう?

 結局俺は箱入り息子だから知識はあっても実物を見た事がある訳ではない。

 そしてバッドホッパーがどれくらい強いのか、同時に調べてみるしよう。


「バッドホッパー、お前はこの町の外で魔物と戦い、魔石を増やしてほしい。もちろんお前が勝てそうな連中だけでいい。無理はするな。あくまでも魔石を少しでも増やすのが目的だ。それから人間とは戦わない事、戦う必要がある時は俺が指示する。それ以外は魔物だけにしてくれ」


 俺はそう言うとバッドホッパーは頷いた。

 窓を全開にしてここが出るよう指示すると翅を震わせて飛んで行った。

 ほぼ単独行動のような事を許した訳だが、バッドホッパーが何をしているのか確認する事は出来るのだろうか?


 なんて思っているとバッドホッパーが見ている景色が見えた。

 流石に驚いたがバッドホッパーは特に何か気にしている様子は一切ない。まるでバッドホッパーが感じている五感を共有しているような感じだ。

 これ索敵とかにも使えるな。

 そう考えるとコストの低いスピリットを横に並べて情報収集をするみたいな使い方も出来るな。


 意外な発見に喜びながら感覚を共有していると何かを見つけたのか急降下する。

 何だろうと思っているとゴブリンっぽい魔物を見つけたらしい。

 棍棒を持った緑の肌、ゲームでよく見るゴブリンだな。

 この世界でもこいつはゴブリンなのかと考えている間にバッドホッパーがゴブリンを襲った。


 頭から噛みつき、血潮が飛ぶが俺は意外と何も感じない。

 本当にグロイゲームをしているような、画面越しの出来事にしか見えないのが理由だと思う。

 それにバッドホッパーはゴブリンを食べているようだが味覚は共有されていないみたいだし、何かが口に入ってくる感触もない。

 共有できるのは視覚と聴覚くらいか?

 そのせいで余計に画面の向こう側の出来事だと感じるのかもしれない。


 そしてバッドホッパーのカードの上を見ると魔石が1つ増えていた。

 これなら今後安定して魔石を増やす事が出来るのではないかと期待してしまう。

 魔石が増えたことを確認した後俺は寝た。


 ――


 そして昼過ぎに予想通り家族全員と騎士達に見られながら召喚を行う事になった。


「いやなんでこんなに大袈裟なの?」

「前にも説明したように何が出てくるのか分からないからです。それにアレックスが以前どのように召喚したのか詳しく知りませんでしたから、それを知るいい機会だと思ったのです」


 それを言われたら否定し辛い。

 いづれバレる事だろうから仕方ないと割り切り俺は0コスのバニラカードを召喚する。


「召喚、モンクー」


 手札のカードを本に置きながらそう言うと小さな子ザルが召喚された。


『名前    モンクー

 カテゴリー スピリット

 コスト   0

 種族    想像獣そうぞうじゅう

 シンボル  黄1

 レベル1  魔石1 BP1000

 レベル2  魔石3 BP3000』


 子ザルは子供から見てみ非常に小さく、肩の上に乗る事が出来るくらい小さい。

 姿は西遊記の孫悟空をデフォルメした姿、とでも言えば分かりやすいだろうか。木の棒を背負い、頭には輪っかが付いている。

 その姿に騎士達は困惑の雰囲気が出ている。


「これは……」

「また随分と……」

「可愛い!!」


 おそらく騎士達は何かとんでもない魔物が出てきてもいいように呼ばれていたのだろう。

 それが出てきたのが子ザル1匹となれば気が抜けるのも仕方がないのかもしれない。


「だって見た目怖くない奴選びましたもん。それとも見た目怖い奴でもよかったでした?」

「いや、その配慮は必要だが……戦えるのか?」

「戦えるとは思いますがどれくらい強いのか、と聞かれると分かりません。ブレイドドラゴンも戦わせたことはありませんのでどれくらい強いのかと聞かれると……」

「なるほど。妻はどう思う。……アーシェ?」

「今までとあまりにも違い過ぎる召喚方法。いえ違うというよりは契約済みの召喚方法を使っていると言った方が正しい。それにさっきのカードは何?今までの契約方法と比べてあまりにもスムーズ過ぎる。契約済みであっても全く同じ魔法陣を用意しなければならないはずなのにその様子は一切ない。あの絵と文字が魔方陣の代わり?確かに精巧な絵だったけどそれが魔方陣の代わりになると聞いた事がない。となるやはり今までとは全く違う召喚方法と考えた方が良い。そもそもあの小さなカードに細かい魔方陣を描くだけでも大変なのに全く新しい魔法形態の構築なんて――」

「アーシェ。アーシェ!」

「は、はい!!」


 何か母親から意外な一面を見てしまった。

 もしかしたうちの母親魔術バカみたいな感じ??


「妻よ、アレックスが召喚したこの子ザルは強いのか?」

「それに関しては実際に戦わせてみなければ何とも。その子ザルから感じる魔力は特別多いという感じはしませんが、それだけで判断するのは時期尚早じきしょうそうかと」

「なら確かめてみるしかないな。鎧を用意せよ!」


 こうして騎士達が持ってきたの鎧を着た案山子かかし

 それを2体用意してモンクーとブレイドドラゴンの前に置いた。


「アレックスよ。この召喚した者達を使役できるというのであればあの鎧に攻撃させて見せよ」

「分かりました。ブレイド、モンクー。あの鎧にアタック!」


 俺の指示を聞いたモンクーとブレイドドラゴンは鎧に向かって攻撃した。

 モンクーは背にした棒を回しながら兜が凹むほどの攻撃、ブレイドドラゴンに関しては少し離れた所から火を噴いて周囲を驚かせた。

 モンクーが攻撃した兜は転がりながら地面に落ち、ブレイドドラゴンの炎に関しては黒く焦げるだけでなく端の方が少し融けている。

 2体はやったぞと得意げな表情で俺に駆け寄って来たので撫でて褒める。


「お父様。これで強いと認めてもらえるでしょうか?」

「う、うむ。戦えるようで何よりだ。これなら護衛として役に立つ事が出来るだろう」


 認めてもらったという事は今回は問題なさそうだ。

 だが今回相手にしたのはあくまでも動かない案山子による模擬試合。生きている人間や動物を相手にした場合どこまで戦えるのか、やはり確認しておきたい。

 でもどう聞いたもんかな……


「ところでお父様。ブレイドたちは生きている人間に対してどれくらい強いのでしょうか?」

「生きている人間に対してか?う~ん」


 父親は少し考えながら言う。


「被害を考えなければ騎士なら1対1でも問題ないだろう。ただし被害を考え無傷で勝つとなると……4人は欲しいか」

「ではゴブリンと戦う時はどんな感じですか?」

「無傷で勝つなら3人以上だな」


 つまりゴブリンと変わらない感じか?

 でもバッドホッパーはゴブリンをあっさりと倒していたし、やっぱり実際に戦わせてどれくらい強いのか確認した方が早そうだ。

 あとモンクーを助けないといけない。

 可愛いもの好きの妹がモンクーをぬいぐるみみたいに抱きしめているのをあきらめた感じで手足をだらんとしている。

 リリアの護衛にしてあげるからずっとギュっとするのは止めてあげなさい。

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