表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

夫も妻も

今日こそは……と毎日思うのに、夫は疲れ果てて帰宅し入浴して直ぐに寝てしまいます。

私は夫と話すことさえ出来ない今が辛くて仕方がありません。

ふと過るのが「夫が不倫をしているのではないか」ということです。

私は夫を愛しています。

離婚などしたくありません。

もし、夫に私以外の女性が居たら………そう思うだけで涙が止まらなくなります。

ネットには時々、芸能人の不倫の話題が出てきます。

それを目にするだけで、泣きそうになってしまうのです。


夫が帰宅しました。

今日も11時を過ぎています。


「あなた、ご飯は?」

「要らない。」

「お風呂?」

「うん。」


会話終了です。

たった、これだけで夫が帰宅して直ぐの夫婦の会話は終わるのです。


『はぁ………。今日も何も話して貰えないのかなぁ……。

 相当、疲れてるみたいだから……嫌なのかなぁ………。』


それとも……会話を避けているのか、夕食も摂らない日ばかりが続く夫に私は寂しく辛いのです。

お風呂上がりの夫に声を掛けます。毎日………。


「あなた! 身体は大丈夫?」

「あぁ……。」

「とても忙しそうね。」

「暫く続くよ。」

「そう、お願いだから無理しないでね。」

「うん。お前もな……。」

「ありがとう。嬉しいわ。」

「何が?」

「だって………お前もな、って言ってくれたから……。」

「当たり前だろう。」

「でも、こんなに長く話すの随分前からなかったし……。」

「そうか?」

「ええ、あなた、帰って来てお風呂に入ったら、そのまま寝るから……。」

「そうだっけ?」

「ええ。今日はこんなに話してくれて、ありがとう。」


夫が私の頭にポンと手を置きました。


「なに泣いてんだ。」

「ごめん………嬉しくて………。」

「人が減ったんだから、補充要員が入ってくるまで忙しいんだって話したぞ。」

「うん。」

「前みたいに帰られる日が来るから……。」

「うん。」

「泣くなよ。馬鹿だなぁ………。」

「うん。」

「もう、寝るぞ。お前も寝ろよ。」

「うん。………あなた!」

「うん?」

「ありがとう。」

「なに言ってんだ……。」


そう言って夫が私の頭を撫でた手を放しました。

夫が優しく口づけをしてくれて、「おやすみ。」と言って寝室に入って行きました。

私は立ち尽くして、自分の唇に手を当てて泣いてしまいました。


「今日は、とおるこーらん、要らないかなぁ~。

 でも、嬉しくて眠れないかも!  だから、見ようっと!」



そうして、YouTubeを見ました。


「まぁ、皆さん、ようこそ、お越しやす。

 とおるこーらんの 人生相談でおます。」


とおるこーらんの声に耳を澄ましました。


「実は、皆さん。

 このまえのご相談の続きがおましてな。

 読ませて頂きまひょ。」

「とおるこーらん様

 共働きなのに、夫は家事をしないどころか自分の仕事まで私に手伝わせる。

 どうすれば良いか?をご相談させていただいた36歳主婦です。

 夫に自分の気持ちを話しました。

 夫は家事をすると、私が不機嫌になると言いました。

 夫に指摘されて分かりました。

 私は夫がする家事をやり直していました。

 やり直すので、夫が家事をする度、露骨に顔に出ていたようです。

 それがあって夫はしなくなったと言いました。

 それから、自分の仕事を手伝って貰ったのは、夫の私への甘えだと言いました。

 負担になっていたことさえ分からなかったと言いました。

 もう二度としないと誓ってくれました。

 家事については、どうすれば良いかを教えることになりました。

 私は夫に細かいことまで教えるようになりましたが、今の所、夫は嫌な顔一つし

 ていません。

 夫からは、俺もありがとうって言うから、お前も言って欲しい!と言われて…

 現在、夫婦でありがとうの言い合いをしています。

 とおるこーらん様、本当にありがとうございました。」

「良かったやおまへんか!

 旦那さんも、ええお方やった。

 それにしても、褒めなあきまへんな。

 夫は妻を、妻は夫を、ほんで、親は子を!

 大切なことでおます。旦那さん、ええこと言うてくれはった。

 ほんまに、宜しおました。

 36歳主婦さん、旦那さんとあんじょうやりなはれや。これからも、だっせ。」

「ほな、皆さん、ええ話が聞けたとこで終わらせて貰いまっさ。

 さいなら…。」

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ