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嫁という名の奴隷

朝も、夜も夫と会えることが少なくなってしまい、気が付くと、それが当たり前の生活になったのでした。

妻の私は家事と仕事……、夫は仕事のみ……不公平だと思うのに、夫と話し合うことなく日が過ぎてしまって寂しいという気持ちさえ夫に伝えられていないことに改めて気づかされたのが、YouTubeの〖とおるこーらん〗でした。

気付かなかった訳ではなく、無かったことにしてしまっていた事実を知らされたのです。

何も無いのだから、夫婦の危機ではないと思いたかったのだと………。

今日は仕事を終えて帰宅してから、一気に家事を終えて、PCを起動しYouTubeの〖とおるこーらん〗を見ました。


「まぁ、皆さん、ようこそ、お越しやす。

 とおるこーらんの 人生相談でおます。」


とおるこーらんの声に耳を澄ましました。


「さぁ、今日のご相談のメッセージを読ませて貰いまひょ。

 初めまして。…… はい、初めまして。

 私は60歳の専業主婦です。………いやぁ~、珍し。今時、少のうなった専業主婦

 さん。否、貶してまへんよって。

 私は夫の両親と同居しております。………あんさん、同居の嫁。大変やなぁ。

 夫には姉が3人もいますが、介護の手にはなってくれません。

 何もしないのに、口だけは出してきます。

 夫は妻の私に丸投げです。何もしてくれません。

 もう、疲れました。離婚したくても仕事に就いていませんから出来ません。

 介護サービスを受けたくても受けさせてくれません。

 どこに相談に行っても、最終的に夫が断ります。

 私には死ぬしか選択は無いのかと絶望します。

 子ども達は巣立ち、夫と夫の両親だけの家です。

 舅は車いすの生活です。姑は病弱です。

 二人共に認知症の気配がしているように思います。

 それを、夫に話しても信じて貰えません。」

「こりゃあ………別れなはれ! それしかあらしまへん。

 仕事、掃除の仕事はあきまへんか? 何でも60歳で働けるとこ探しなはれ。

 先ずは職安へ行きなはれ。…あ…今はハロワか……。すんまへん。年寄りやさか

 い。古うて………。

 兎に角、仕事と家を探しなはれ。大急ぎで!

 それから、お子達に話しなはれ。妻の言うこと聞かん頭の悪い、否、古い男や

 けど、お子達から何言うてんのや!と言うて貰うのは必要だっせ。

 お子達には、あんさんの味方になって貰わな。離婚の時に条件良うして貰うた

 めにも……。味方は多い方が宜しおます。

 一つ、お子達に話して味方になって貰う。

 一つ、仕事と家を探す。

 一つ、NPO法人とかサポートして貰える団体を探す。

 お子達には迷惑を掛けへんって言うたってな。

 けどな、入院とかでサインが必要な時は頼る!それは大事なことやから………

 必ず、将来、入院、それに介護保険サービスを受ける時の契約書へのサイン。

 それは、して欲しい!と言うとくこと。

 葬儀は荼毘に伏すだけでええとか、そんなこともお子達に話しなはれ。

 兎に角、なるべく早う、な。家を出な、あんさんが壊れてしまいます。

 死んだら負けや。変な奴に負けんといて欲しいですわ。頼みますさかいに。

 生きて舌出してベェ―――っ!って言うたりなはれ。そんな奴らに……。

 それには、出なあきまへん。家を出なあきまへん。

 生きて家を出て、そんな奴らにアッカンベーしたりなはれ。

 NPO法人とか離婚に向けて助けてくれるとこ、お子達に頼って探して貰えたら

 ええのやけど………。

 それも、お子達に話してくださいな。

 ああ―――っ! 何も出来へん。ほんまに、すんまへん。堪忍しとくなはれ。

 ここに相談してくれはったこと、必ず無駄にしとうない。

 そう思うてましてけど、ほんま、堪忍え。

 これは、あんさんが勇気をもって相談してくれはった。その勇気をお子達にも

 出してください。

 外へ出ることにも出してください。

 お願いいたします。

 すんまへん。もう、うちには難しおます。」


とおるこーらんは、顔を伏せて泣いているようでした。

途中で何度も涙声になっていましたし、言葉も詰まらせていました。


私は、今でも年齢が高くなるほど、家のことは女と決めつけているのだと思いました。

聞いていて辛くて…………。

介護は実子が行うと言う風にならないものかと思いました。

ビールが進まずに、とても苦く感じられました。

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