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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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87/311

87:見せるのは……無理だ。

「いや、本当に、パトリシアさまは変わったな。王都にいたところは、何かをプレゼントされても、当然のように受け取っていたから」


それは……悪役令嬢パトリシアはそういう設定だから……。

とはいえ、失礼極まりなかったと思う。


「その時のことを思うと……顔から火が出るほど恥ずかしいです。本当に、その節はすみませんでした」


「いや、そんなに気にしなくても。俺だって庶民の出で、がさつだからな。人のことは言えない」


マルクスはそんな風に言うが、TPOを考え、ちゃんと行動している。フランクになるのは、気の置けない仲間といる時だけだ。


本を受け取り、私が対面のソファに腰をおろすと、マルクスは話を続けた。


「それでつがいの確認だが、相手がどの聖獣を先祖に持つかで変わる。例えば不死鳥フェニックスを祖先に持つ場合、その番には、背中に翼を思わせる痣があるといわれている」


「そうなのですね。……魔術師さまの祖先は……?」


『戦う公爵令嬢』では、つがいについて触れられておらず、アズレークの……レオナルドの祖先となる聖獣がなんであるかなんて、まったく想像がつかない。


一方のマルクスは背もたれから身をおこし、前のめりになり答える。


「魔術師さまはスゴイぞ。最強の霊獣と言われる、ブラックドラゴンだ」


ブラックドラゴン……!

なんだか強そうだが、よくわからない。

だがマルクスが説明してくれた。


「聖獣の中でも最強と言われるのがドラゴンだが、このドラゴンには、その持つ力と色から五つのドラゴンがいると言われている。レッドドラゴンは炎を操るドラゴン。ブルードラゴンは水を操るドラゴン。グリーンドラゴンは植物を操るドラゴン。イエロードラゴンは雷を操るドラゴン。そしてブラックドラゴンは、他の四つのドラゴンが操る力をすべて操ることができる上に、風を操ることができると言われている」


スゴイ。

そんな聖獣を祖先に持つから、レオナルドは魔力が強く、王宮付きの魔術師なのだろう。


「それでそのドラゴンのつがいの場合、おへその下に痣がある。いわゆる逆鱗って奴だな。ドラゴンの喉辺りにある鱗。あれの名残りが、おへその下に痣となって現れるらしい」


「……!」


「その顔は。思い当たるのか?」


コクリと頷く。


「魔法を使う時には集中する必要があったのですが、私は邪念が多く、なかなか集中することができませんでした。それで魔術師さまが集中できるようにと、起点という、魔力を集中させるための紋章を刻印してくれたのです。すべての魔力を使い切る前は、おへその下にその起点の紋章があったのですが、終わると消えてしまい……。でも紋章があった痕跡のようなものが残っていて……。もしかするとそれが痣なのでしょうか……?」


マルクスは腕組みをして考える。

見てみないと痣なのか、紋章の消え残りなのか、分からないのだろう。


だがそこは場所が場所なので、見せるのは……無理だ。


「まあ、多分、それがそうなのだと思う。魔術師さまの魔力は強力だし、使う魔法も完璧だ。紋章の消え残りなんて、ないだろうから、それがつがいを示す痣と考えていいのではないか」


これが番の証拠!と断言できないのがもどかしい。

だがレオナルドなら、これが番を示す痣と分かるのだろうか……?


「そう、心配なさるな、パトリシアさま。明日には王都につく。近日中に魔術師さまには会える」


「そうですよね。……その、マルクスさま、本当にありがとうございます。いろいろ親切にしていただいて」


深々と御礼をして顔をあげると、マルクスの頬がほんのり赤かった。

思わず「えっ」と声が出そうになり、それを飲み込む。


「いや、俺は聖女オリビアさまが好きだった。彼女はもう存在しなくて、ここにいるのはパトリシアさまだ。でも聖女さまとパトリシアさまイコール。だからこれは当然だ」


!?

それって、それって……。

動揺する私に「落ち着いて」と言うように、マルクスは手で制する。


「安心しろ。俺はパトリシアさまの恋路を邪魔するつもりはない。何しろつがいなどという最強の切り札には、太刀打ちできない。だから何も心配しなくていい。うん、俺とパトリシアさまは最高の友情で結ばれている。これで問題なしだ」


マルクス……!

なんて男気があってイイ人なのだろう。


「ありがとうございます、マルクスさま!」


マルクスはニッと笑い、ソファから立ち上がった。

そしてドアの方へ歩いて行き、「では部屋に戻るよ」と言い、廊下に出る。


「おやすみなさいませ、マルクスさま」

「ああ、おやすみ、パトリシアさま」


静かにドアを閉めた。

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