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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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8/311

8:瞬時に後ろから抱きしめられ……

私を殺すように王命を受けた刺客……!?

脳が一瞬思考停止し、でもすぐに反応を示した。

目の前にいるのは、魔王ではない。

だが私にしたら、魔王みたいなものだ。

恐ろしい存在。見つけたら、逃げなければならない存在。

そうしないと……。

殺される!


自分としては、素早く動いたつもりだった。

椅子から立ち上がり、一目散でドアに向かう。

だが。

瞬時に後ろから抱きしめられる形で、動きを封じられた。

アズレークによって。


「誰か、助けて! 離して!」

「落ち着いて、パトリシア」

「いや、はなして! 殺される!」

「殺すつもりなら、あの場で殺していた」


その言葉で、私は暴れることを止めていた。


「パトリシア、取引をしよう。君は死にたくはないだろう?」

「と、取引……?」


心臓がバクバクし、おへその下辺りが熱い。

ゆっくりとアズレークの顔を見上げる。

すぐにあの黒い瞳と目があう。

その目は落ち着き払っていて、私が逃げ出そうとしたことなど、これっぽっちも気にしていないようだ。


きっと、逃げられないのだろう……。


この部屋を飛び出し、廊下へ出られても、屋敷の外には出られない……。魔力持ちで魔法を使えると言っていた。今だって魔法を使い、私の動きを止めることもできたはずだ。


「君は頭の回転が速いようだ。私は君の体から手を離す。でも君はもう逃げようとは思わない。だろう?」


その指摘に対する答えは……。頷くしかない。

そして……不本意ながら椅子に腰をおろした。


「さて。取引だが。私は……訳あって君の暗殺を請け負った。だが、私は君に恨みがあるわけではない。君と過ごした時間はわずかだが、君はとても聡明だし、頭の回転も速い。何よりこの状況に適応し、肝も据わっている。できれば……君を手に掛けたくない」


アズレークは再び紅茶を口に運ぶ。

その仕草は優雅であり、とても暗殺を請け負った刺客とは思えない。


「告白しよう。私は国王に恨みがある。いつか報復してやりたいと思っていた。そしてこれはいいチャンスだ。君の命と王太子の命。私からすれば、重いのは君の命だ。だが、国王は違う。君の命が失われても、国王はただ、王太子を暗殺しようとした愚かな娘が無駄死にした、としか思わないだろう。だが王太子に何かあれば、国王は希望を失い、絶望するだろう。私は国王に絶望を与えたい」


アズレークは国王陛下に、絶望を与えたいと思っている。

それは分かる。

そして少なからず、私の命を尊いと思ってくれている。

これも分かった。

だがそれ以上は分からない。

アズレークは何を言いたいのかと思ったまさにその時。


「君の命を助ける。代わりに君が王太子を暗殺してほしい」

お読みいただき、ありがとうございます!

次回は明日8時に「君に拒否権は残念ながらない」を公開します♪


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