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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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49/311

49:見かけによらず、ワイルドだな

見えた。

いきなり。また、モンスターゴースト。

しかも、醜悪なタイプ……。


巨大なナメクジみたいなそれは、動く度にドロドロとした何か粘着質なものを、周囲にまき散らしている。一瞬体が固まったが、すぐスノーに十字架を冠した杖を預け、聖杯を顕現させる。


「聖杯に聖なる水を。遥かなるオケアノスよ、その水を杯に満たせ」


聖杯に聖水……塩水を満たした。


ここまで迅速に動いたが、アズレークの言う通り、モンスターゴーストの動きは緩慢だ。ドロドロとした粘着物をあちこちにつけながら、ゆっくりと噴水の方へと向かっている。


これならば聖杯を投げつけるのではなく、少し近寄り、塩水をまけばいいだろう。


そう判断し、巨大なナメクジ型のモンスターゴーストに、数歩近づいた。聖杯には、アズレークがブリザード魔法をかけてくれている。聖杯から塩水をふりまくと、吹雪のように塩水がモンスターゴーストに向かう。


だからまさに聖杯から塩水を、醜悪なナメクジ型のモンスターゴーストに、吹きかけようとしたが……。


足元にイヤな気配を感じる。


「オ、オリビアさま、あ、足元に小型のナメクジのモンスターゴーストが……!」


スノーの言葉を聞いただけで。

足元を見るより先に、悲鳴を上げていた。


すると。


シュッという音とズサッという音がして、足元の不穏な気配が消えた。


驚いて足元を見ると、石畳に槍が突き刺さっている。


「聖女さま、大丈夫か?」

「は、は……」


はい、と返事をしようとして固まる。


巨大ナメクジ型のモンスターゴーストのひだひだの足元からは……。小型のナメクジのモンスターゴーストが、次々に沸いてきている。


こ、こんなにいるの!?


「マルクスさま、近寄らないでください!」


マルクスを制し、塩水をふりまく。

すると吹雪のように塩水が広がり、一瞬で小型のナメクジの姿が消えていく。


ホッとするのも束の間、私のこの行為に、巨大ナメクジ型のモンスターゴーストが、激怒したようだ。口と思われる場所から、何かを噴出した。


慌てて聖槍を持ち、マルクスやスノーがいるところまで後退した。


「どうした、聖女さま!?」


聖槍を私から受け取ったマルクスが、心配そうに尋ねる。


「巨大ナメクジ型のモンスターゴーストが、口から何かを噴出し始めました」


「それは厄介だな。場所を指定してくれれば、さっきのように槍を投げることもできるが」


それはいいプランだと思ったが。

返事をする前に、再び、口からの噴出が始まる。


「後退してください!」


そう言いながら、慌てて三人で移動する。


動きは緩慢だが、口からの噴出物は飛距離がある。しかも口からの噴出物は、悪臭を放つ黄色の液体。こんなもの、絶対に浴びたくない。


距離をとると、今度は巨大ナメクジ型のモンスターゴーストの足元から、再びわらわらと小型ナメクジのモンスターゴーストが現れる。


最悪だ。


「オリビアさま、再び、小型のナメクジも多数でてきましたよ」


「分かっているわ。スノー」


そう答えてから付け加える。


「多分、親玉を潰せば、小型のナメクジは出てこないハズよ」


そこで私は思いっきり、塩水が入った聖杯を、巨大ナメクジ型のモンスターゴーストに向け、投げたのだが。


「え……」


巨大ナメクジ型のモンスターゴーストは、口から噴出した黄色の液体で、聖杯を吹き飛ばした。


な、なんの、このナメクジ!?

無駄に知能が高くない?


そうしているうちにも、小型のナメクジのモンスターゴーストは増え、さらに口からの噴出も続き、こちらは後退を強いられるばかりだ。


「聖女さま、どうする? 一時撤退するか?」


マルクスに問われ、撤退も考えたその時。

噴水が目に入った。

この噴水に、塩水を満たすのは、どうだろう?


「撤退はしません! 私が合図を出しましたら、この噴水を破壊すること、できますか?」


回廊を走りながら尋ねると、マルクスはニヤリと笑う。


「無論、それはできるが。聖女さまは見かけによらず、ワイルドだな」


ワイルド? そうだろうか。

ワイルドと言えば、マルクスだと思うのだが。


ともかく私はその場で立ち止まると、噴水に手を向け魔法を詠唱した。


「噴水に聖なる水を。遥かなるオケアノスよ、その水を噴水に満たせ」


噴水の淵ぎりぎりまで水かさは増したが、溢れ出ることはない。


「マルクスさま、お願いします」


「おう、任せてくれ」


そう言ったマルクスが、噴水目掛け、槍を投げつけると。

さすが聖槍。

ただの槍であれば、穂が砕け、それでお終いになりそうだが……。


まるで岩と岩が当たったかのような大きな音がした直後。


聖槍は噴水の大理石を破壊し、一気に塩水を含んだ水が、中庭全体に流れ出す。大小のナメクジ型のモンスターゴーストは、大理石の床を流れる塩水から、逃げることができない。塩水に触れ、そのまま姿が消えた。


「オリビアさま、大小のナメクジ型のモンスターゴースト、すべて消えましたね!」


スノーの声に、マルクスも反応する。


「なるほど。聖水をナメクジ軍勢にぶっ放して撃退と。いいねぇ~、聖女さま。大胆不敵で」


「な、何が起きたのですか!?」


領主ヘラルドが、部屋からは出ずに、扉を少し開け、叫んでいる。


「どうされましたか!?」


そのヘラルドを押しのけ、アルベルトと二人の三騎士が、回廊に出てきた。


「聞いてくれ、みんな」


マルクスが笑顔で皆に声をかけた。

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