170:?????
「パトリシア、どうしましたか?」
「お、王太子さま……」
廊下に出た瞬間、目の前にアルベルトがいた。そして、声が出た!
「そのドレス、よく似合っているよ、パトリシア」
碧眼の瞳を細め、アルベルトが微笑んだ。
どうして、アルベルトもここにいるの?
村長の屋敷の離れに、避難したのではなかったの?
でも……。
プラサナス城まで逃げれば、多くの騎士もいる。
魔法騎士だって数名はいるはず。
安全は確保できるはずだわ。
ただ気になることはある。
「アルベルトの魔法騎士は、ニルスの村からプラサナス城まで転移できる程、魔力が強かったのかしら?」
「ニルスの村……? うーん、どうだろう。さすがにそれは、魔術師レオナルドでないと無理だろう」
「?????」
レオナルドしか無理? だったらアルベルトはどうやって……。あ、普通に馬に乗って来たのね。でもそうなると……私は意識を失ってから、かなり時間が経ったことになる。
そんなに長く意識を失っていたなんて。
「それよりもパトリシア、どこへ行くつもり?」
「どこへって……」
結婚式の最中に、ロゼノワールの獣が現れ、新婦をさらった。アルベルトは一時的な避難をした。私も避難をしようとして……。気づいたらここにいた。リオンに連れ去られたと思ったが、違うの……?
いろいろ気になることはある。
でも新婦を取り戻すことができているなら、広場に集合……かしら? 結婚式を再開……? 再開は……厳しいわね。だって広場はロゼノワールの獣に対し、魔法による攻撃もしていたから、もう滅茶苦茶なはず。ただ村人はみんな魔法を使えるから、すぐに元通りにして……。
いや、ロゼノワールの獣を倒し切れているなら、それでもいいかもしれない。もし新婦を連れ戻すことはできただけで、ロゼノワールの獣が逃走を続けているなら……。態勢を整え、討伐を続ける必要がある。
「散歩でもしたくなったの、パトリシア?」
「散歩?」
散歩なんてしている場合なの?
「王太子さま、新婦はどうなりました? 無事、取り戻すことはできたのでしょうか? それにロゼノワールの獣はどうなったか聞いていますか? レオナルド達は? みんなもこのプラサナス城まで来ているのですか?」
聞きたいことは山ほどあり、矢継ぎ早に質問してしまう。
すると……。
「どうしたんだい、パトリシア? 何か夢でも見ていたのかい?」
「夢?」
「新婦って誰のこと? それにロゼノワールの獣って? 魔術師レオナルドは王都にいるよ」
え、レオナルドは王都にいる? それはつまり……新婦を取り戻し、ロゼノワールの獣も倒し、王都へ報告するために戻ったということかしら?
いや、待って。
新婦を誰のことと聞くのはどういうこと?
ロゼノワールの獣は……あの場でアルベルトは、確かにすぐに避難してしまった。一切を見ていないかもしれないが、なぜこんなに他人事なのかしら?
「王太子さま、新婦は……ニルスの村の村長の娘さんです。私たち、結婚式に参列していましたよね? そこにロゼノワールの獣が現れて。王太子さまは、魔法騎士とミゲルと共に、避難しましたよね?」
するとアルベルトはクスクスと微笑む。
その笑顔はいつも通り美しい。
だが。
今、笑っている場合なの?という気持ちなのは確か。
なぜなら。
アルベルトがここにいるなら、安全かもしれない。
でも私はここに、リオンに連れてこられたと思うのだ。
しかもなんだか私を手に入れたいなんてことも言われて。
実はアルベルトも騙されてここまで来てしまったわけではない?と不安になった。
「王太子さま、笑っている場合ではないと思うのですが。私はここへ自分の意志で来たわけではないのです。リオンに連れてこられた可能性が」「パトリシア」
会話の途中で名前を呼ばれ、私は口をつぐむ。
お読みいただき、ありがとうございました!
【次回予告】
10月29日(日)12時半頃
『何を言っているの?』
?????
夢?
結婚式もロゼノワールの獣も全部、夢?
活動報告でも報告していますが、実は本作
第4回HJ小説大賞前期の一次選考通過していましたー!
応援くださっていた読者様。
ありがとうございます☆彡
【ご報告】
活動報告でもご紹介していますが
第11回ネット小説大賞で以下二作品が一次選考を通過しました!
『完結⚫︎もふもふ悪役令嬢の断罪が
溺愛ルートなんて設定していません!』
https://ncode.syosetu.com/n1220ih/
『完結●乙女ゲームに召喚、即エンディング!?
~悪役令嬢?ヒロイン?モブ?立ち位置が分かりません~』
https://ncode.syosetu.com/n2713id/
読者様の応援のおかげです。
本当にありがとうございます!
新作も近日中に公開しますね~☆彡



























































