魔術師補佐官~セシリオ(3)~
子供の姿の国王陛下のそばに、これまた一人、子供がいる。
金髪碧眼の美しい少年だ。
さらに離れた場所に、三人の男子がかたまって砂浜でのびていた。
「国王陛下の隣の少年。剣の騎士ですね。……国王陛下は自分以外の人間も、子供の姿に変えられるようです……。これは初めて知りました」
槍の騎士は驚いた顔で私に告げるが……。
子供二人で街中を、半日近く彷徨っていたと思うと、眩暈がする。
一国の王がそんな危険な行動をするなんて!と頭を抱えたくなった。
「フェルナンド様、こんなところで何をされているのですか!」
見知らぬ子供三人がいるので、一応国王陛下とは呼ばす、名前で呼ぶことになる。
「あ、セシリオか。よく分かったな、ここにいることが」
国王陛下の顔には砂がつき、手には引っ搔き傷があり、よく見ると服も砂で汚れ、ボロボロになっている。
「国……フェルナンド様、お怪我をされているのでは!?」
「大袈裟な。こんなのただの引っ搔き傷だ」
「いいえ、ご自身の立場をよくお考えください」
私が魔法を使い、国王陛下の傷を治癒し、服の汚れを落とし、ボロボロになった衣装を修繕している間、剣の騎士が何が起きたのかを教えてくれる。
剣の騎士と国王陛下は、子供の姿で街を散策していた。
海鮮市場で珍しい魚を見て、深海魚と言われる魚の料理を食べ、真珠のアクセサリーを見ていると……。
国王陛下は、黒真珠と言うとても珍しい真珠のブローチを見つける。それを王妃のお土産にしようと、購入することにしたのだが、その際、沢山の金貨を持っていることがバレてしまう。
バレてしまった相手は、海鮮市場の辺りをウロウロしている子供三人、つまりは今、砂浜でのびている三人の男子だ。
黒真珠を手に入れ、昼食を食べた国王陛下と剣の騎士は、海を見て、それから宮殿へ戻るつもりでいた。
通りを歩いていると、小太りの少年と国王陛下がぶつかった。その際、少年の持っていた壺の中の液体が国王陛下にかかり、剣の騎士は布でその液体を拭うことになる。小太りの少年は何度も謝罪し、国王陛下の注意がそちらへ向かっているまさにその時。
後ろから通りすがりのフリをした別のひょろっとした少年が近づき、国王陛下の金貨の入った巾着を盗んだ。
途中、そばかすの少年からの妨害に遭いながらも、国王陛下と剣の騎士は、ひょろっとした少年を追いかけることになる。
最終的に浜辺まで追い込み、そこで「金貨を返せ!」となったところに、あの液体をかけた小太りの少年と、そばかすの少年が加勢がした。
団乱闘の末、激戦を制したのは国王陛下と剣の騎士。そこに自分と槍の騎士が駆け付け、他の警備の騎士もこちらへ向かっているのが今の状態だと判明した。
「金貨を盗んだ理由を知りたい。セシリオ、リーダー格はそばかすの少年だ。起こしてくれ」
そばかすの少年を起こし、問い詰めた結果……。
三人の少年は、小太りとそばかすの少年が兄弟、ひょろっとした少年は幼馴染みだった。三人とも貧民街に住んでおり、兄弟の母親は病にかかっていた。ただ病院へ行くお金がなく、病気をだましだまししながら過ごしていたという。
でもついに母親は限界となり、寝込んでしまった。父親は遠洋漁業に出ており、一カ月は帰って来ない。病院に母親を連れて行くため、お金が欲しかったと打ち明けたのだ。
これを聞いた国王陛下は……。
「母親を病院に連れて行きたい。だから金を盗む? そんなことを許されるはずがない。金と言うのは対価で得るものだ。何もせず赤の他人から盗むなんて言語道断だ」
そう、怒鳴りつけた。
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