魔術師補佐官~セシリオ(2)~
国王陛下が寝室から失踪した!
しかもよく見ると、ベッド脇のサイドテーブルに「セシリオ、少しだけ、街を散策してくる」と書置きが残されている。
これにはもう、青ざめ、そして頭を抱えるしかない。
国王陛下にはアルベルト王太子同様、三騎士がついている。
だが「もうよい。わしは寝る!」となった時、三騎士には待機が命じられていた。昨晩寝ずの番についた弓の騎士は、さっき目覚めたばかり。槍の騎士は廊下で警備についてた。剣の騎士はこの寝室に面する庭園で警備についてたはずだが……。
その剣の騎士の姿がない。
ということは、国王陛下は共に剣の騎士を一人連れ、この宮殿から抜け出したことになる。
青い髪に黒い瞳の槍の騎士に、この事態について相談すると……。
「……国王陛下は王太子時代に、似たようなことをしたことがあります。その際は、魔法で自身の姿を子供に変えていました。国王陛下は複数の魔法を使えるわけではなく、限定された魔法をいくつか使われるのですが、その一つが変身魔法です。ご自身の子供の頃に、姿を変えることができるのです」
「ということは、子供の姿で剣の騎士と共に街へ行かれたと?」
「恐らくそうだと思います」
これにはもう、頭を抱えることになる。剣の騎士もなぜ国王陛下を止めなかったのだろう?と思うが……。過去にも似たようなことを、国王陛下がしているということは。剣の騎士が協力していたのでは……。
ともかく警備の騎士をいくつものグループにわけ、街中を探させることにする。
弓の騎士には、入れ違いで国王陛下が宮殿に戻ることを踏まえ、留守番を頼み、槍の騎士と共に私自身も街へと向かう。
「国王陛下は街へ出て、何をしたいのでしょうか?」と私が尋ねると、槍の騎士は「人々の暮らしや生活ぶりをみたいのだと思います。ホエール王国は海沿いの国ですが、ガレシア王国の王都とは、文化がかなり異なるので」と答える。
この答えに、私は増々頭を抱えることになった。
「海を見たいと思っている」ならば海沿いを捜索すればいい。でも漠然と街を見たいと言われると……。本当に街中すべてが捜索対象となってしまう。
仕方ないので魔力を使い、何羽もの鳥を作り、国王陛下の行方を追わせる。
そうしながら海鮮市場や海の街らしい雰囲気の場所に国王陛下がいないかと、槍の騎士と共に足を運ぶ。
捜索から二時間ぐらい経った時、魔力で生み出した鳥が戻って来た。
どうやら国王陛下の居場所を見つけたようだ。
槍の騎士と共に再び国王陛下の元へと飛んでいく鳥の後を追う。
そして辿り着いた場所は――砂浜だった。
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