129:食べるのとしゃべるので大忙し!
馬車の中でロレナから、これから行くお店ではシーフード料理を楽しめると聞いたスノーは大喜びだ。
今日行くお店は、オペラをよく上演している劇場近くの貴族がよく通うレストラン。ここには偶然出会ったロレソン、ロレナ、私の三人で一度行ったことがある。その時、私は初めて利用したのだが、ロレナは何度か来たことがあるようだ。
人気料理も知っていたので、その際の料理の注文も、ロレナにしてもらっていた。肉料理をメインに、魚料理は食べなかったが、そうか。シーフード料理、しかもロブスター料理を出しているのね。
今回、このお店を指定したのはノエだったが、間違いない。ロレンソに紹介されたのだろう。ノエはゴメル地区での暮らしが長く、貴族が利用するようなレストランに詳しいわけではなかったと思う。そこでロレンソに相談し、彼は絶対に失敗しないお店として、このレストランをノエに紹介したのだろう。
ロレンソ自身、利用して、そのサービス、料理に満足していた。貴族が利用するお店であり、何より今回招待するロレナが気に入っていると分かっているのだから。間違いがなく、安心して利用できる。ロレンソがノエにこのお店を紹介したのは正解だ。
しかし。
ロレンソもノエに同行すると思ったが、それはないという。そこは多分、ノエにおごってもらうのは申し訳ないという気持ちが働いたのかもしれない。でも彼の代わりなのか、最近、ロレンソのボランティア活動にも協力しているアオイという女性が、同行すると聞いている。
なんでも異国から流れ着いたらしく、見た目も私達とは違うとか。路地で倒れているところをノエが発見し、ロレンソが保護し、世話をしているのだという。
ロレンソは変らずそうやって人助けをしているから、忙しい日々を送っている。私達とのんびり食事をしている時間がない……というのも、今回顔を見せない理由の一つかもしれない。
「さあ、スノーちゃん、着いたわよ」
今の時間、この辺りは貴族、街の人で大賑わいだ。
時刻は18時前。
家路へ急ぐ人もいるが、ここら辺には劇場やホールが多いので、これから観劇する人も多い。その一方で、飲食店の夜の営業も始まるので、夕食をとるためにここへ来ている人も沢山いた。
「迷子にならないように。手をつなぎましょうね」
馬車を降りたロレナとスノーが先陣を切って歩き出す。
さすがこの辺りに慣れているロレナだけある。
颯爽とレストランが入っている建物を目指す。
エリヒオがその後に続き、レオナルドは私の手をとり、エスコートしながら歩き出した。
お店に到着すると、既にノエとアオイは個室へ案内されていた。
私達が部屋に入って行くと、二人は席から立ち、それぞれ自己紹介となる。ノエはいつものシャツにズボンという姿ではなく、黒みの強いボルドー色のスーツ姿で、ビシッと決めていた。美しい容貌と相まって、まるで貴族のご子息のように見える。
アオイという女性は、その姿を見てビックリしてしまう。クリーム色の素敵なドレスはよく似合っているが、艶のある長い黒髪、しかもストレート。それはもう平安時代の姫君のよう。顔立ちもどう見ても日本人にしか見えない。
まさかここで日本人にしか見えない人物に出会えるとは思わず、私が感動していると、アオイという女性もまた、何やら私を見て感動してくれていた。
挨拶の後、両手で私の手を掴み「応援しています。幸せになってください」と何度も言われ、なんてイイ子なのだろうと感動してしまった。
ちなみに多くの女性がレオナルドを見て、意識を失いそうになるのに、アオイはそんなことはなかった。「パトリシア様を溺愛してください!」と力強くレオナルドと握手していて、これには驚いてしまう。
ともかく自己紹介は終わり、皆、席につき、料理を注文することにした。
今回スノーの希望で、魚料理を中心に頼みたいと尋ねると、ノエとアオイも「ぜひそれで」と同意してくれる。するとロレナが「ならば」と料理を選んでくれた。
その間にも、このお店の自家製レモネードとアミューズが届き、スノーは大喜びだ。
前菜は白身魚のカルパッチョ、スープは魚介のトマトスープ、そしてロレナが言っていたロブスター料理が登場した。
「うわあ、大きいです!」
「本当だね、大きいね」
初めてロブスターを見たスノーとノエが、二人で声を揃え、驚いている。
蒸したロブスターとオーブンで焼いたロブスターが登場し、それぞれを特製ソースをつけていただくという。
スノーは初めて見るこの大きなロブスターに目を丸くしながら、どんな味がするのかと興味津々だ。それはノエも同じようで、ロブスターに目が釘付けになっている。そんな二人が注目する中、スタッフが食べやすいようにロブスターの殻を外していく。
「すごーい! 爪のところまでたっぷり身がはいっているわ!」
「本当だ。肉厚でプルプルして美味しそうだね、スノー!」
スノーとノエが感動していると、焼き立てパンとロブスタービスクを使ったペンネも登場した。
「パトリシアさま、ロブスター、美味しいです~」
「良かったわ、スノー!」
「ノエくん、このレモン汁をつけ、岩塩をつけて食べる方法。シンプルですが、美味しいですよ」
「そうなのですね、アオイさま。試してみます!」
もうみんな、食べるのとしゃべるのとで大忙しだ。
お酒も進み、ロレナもエリヒオもご機嫌。スノーはほっぺにソースをつけながら、ロブスターにかぶりついている。
その後、口直しのシャーベットを食べ、通常のハーフサイズの肉料理、そしてデザートが運ばれてきた。マスカルポーネのアイスは濃厚だがくせになる味わい。かなり満腹だが完食。そして最後に紅茶とクッキーが運ばれ、この日の夕食会は終わった。
お読みいただき、ありがとうございました!
暑さと一週間の疲れがそろそろ出ていませんか?
ちょっとしたリフレッシュで化粧水とクリームを冷蔵庫にいれています。
それをお風呂上りに使うとさっぱりして小さいな癒し。
ヒンヤリは引き締め効果もあるらしいので夜のちょっとしたお楽しみ。
皆さんも自分なりのリフレッシュ方法で
日頃の疲れを癒してくださいね~!
それでは続きは明日夜に公開します。
引き続きよろしくお願いいたします!



























































