↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/311

23:さらうように連れ出しておいて

翌日、スノーが部屋に飛び込んできて目が覚めた。


「オリビアさま、おはようございます! 今日は朝から森へ行くそうですよ」


「え、そうなの? てっきりいつも通り、午前中は座学かと思ったのに」


「えーと、なんでも森で、実際にゴーストをやっつける練習をされるそうですよ」


!?

いきなり、実戦!?

森にゴーストがいるの!?

退治できるのだろうか……。


「朝食はサンドイッチを用意してあるので、森で食べるそうです。ですので準備出来次第、森へ向かうそうですよ」


スノーは森へ行くのが嬉しいのだろう。

いつも以上にニコニコしている。


その顔を見ると、不安な気持ちより、楽しんでやろうという気持ちになっていた。


アズレークだって「ゴースト退治を求められても、私としては『おっと、次はそんなことを要求されたか』と、楽しんでいるよ」と言っていた。


確実にステップアップしている。

それにアズレークも一緒なのだから。大丈夫。

早速準備を始めた。


森に行くと言うことで、エバーグリーンのコタルディを着ることにする。


その上にはグリーンフォッグ色のロングケープを着て、十字架のペンダントを首からかける。髪は後ろで一本の三つ編みにしてまとめた。聖杯を腰のベルトに装備し、携帯用の聖書をポケットにしまい、手袋をつける。十字架の杖を手に持つと、スノーと一緒に部屋を出た。


スノーの案内でエントランスホールに向かうと。

そこには既にアズレークがいた。

いつもと変わらない黒シャツに黒の上衣、黒ズボン、黒の革のロングブーツ。


でも今日は厚手の黒いマントに、腰には剣を帯びている。


曇りのない黒曜石のような瞳で私を見ると、アズレークはまず朝の挨拶の言葉を口にする。私がそれに応じると、今度は「オリビア、乗馬は得意か?」と尋ねた。父の狩りにもつきあっていたので、乗馬は問題ないと告げると……。


「素晴らしい。ただ、乗馬に慣れているとはいえ、杖は邪魔になるだろう」


アズレークは十字架の杖を魔法でサイズを小さくし、それは私のポケットに収まった。


その後は厩舎へ向かい、馬具をセットし、森へ向け出発だ。

スノーは、アズレークと一緒に騎乗している。


この屋敷にきて、初めて敷地の外に出ることになる。


街中にある屋敷ではないと薄々感じていたが、屋敷の敷地を出ても、あたり一面に広がるのは草原だ。草原の中にのびる道を馬で進み、森へと向かう。


もうすぐ雪がちらつく季節だった。


枯れ葉が地面を覆い、木々は枝がむき出しで、見上げれば青空も見える。しばらく森の中を進むと、小川が流れる場所に辿り着いた。


そこで朝食をとることになる。


スノーが手早くサンドイッチやフルーツを渡してくれて、それを三人で食べた。こんな風に外で食事をするのは新鮮。


修道院には巨大な食堂があり、そこで朝昼晩と食事をすることがほとんどだったからだ。


本当はトリュフを採りに行ったあの日、休憩でサンドイッチを食べるはずだった。そこでふと、修道院の仲間たちは、どうしているのだろうかと気になってしまう。思わず食事の手を止めた私に、アズレークが声をかける。


「どうした? 口にあわなかったか?」


「いえ、そんな。スモークチキンにマスタードがよくあって、美味しいです」


慌てて私は、サンドイッチを口に運ぶ。


「……何か考え事か?」


こちらに向けられている黒い瞳が、心配そうに私を見つめている。


「サンドイッチを食べて、休憩するところだったのです」


「え……」


「アズレークさまと出会ったあの時。丁度休憩をとり、修道院のみんなとサンドイッチを食べようとしていました。だから思い出していたのです。みんな、元気かなって」


アズレークは視線を小川に向け、静かに告げた。


「大丈夫だ。皆、元気にしている。オリビアは事情があり修道院を離れたが、落ち着けば戻って来る可能性もあると、手紙で伝えてある」


「修道院へ、連絡してくださっていたのですか……」


驚きでアズレークを見ると、彼は静かに頷いた。

さらうように連れ出しておいて。

律儀に手紙を送っているなんて。

やはりアズレークは、悪い人には思えない。

だから思わず聞いてしまう。


「国王陛下と、何があったのですか……?」


善人であるアズレークを、廃太子計画へ向かわせているものは何なのか。それを知りたいと思った。


「……それは君が知る必要はないことだ」


「そうかもしれませんが、プラサナス城に乗り込んで、実際に廃太子計画を行うのは私です。どうして私がそんなことをするのか、納得するためにも、理由を教えていただくことはできないのですか?」


アズレークは首を振った。


「すまない。確かにオリビア、君が言う通りだ。実際にプラサナス城に乗り込むのは君だし、知りたい気持ちも理解できるが……。でも言えない」


視線を伏せるアズレークの黒い瞳は、長い睫毛に隠れ、そこに込められた想いは読み取れない。でも真摯なアズレークが言えないというのだから、よっぽどの事情なのだろう。


「言えないのなら、仕方ないですね。誰にだって胸の中に秘めておきたいことの一つや二つはあるでしょうから」


え……。


私を見るアズレークの瞳に、燃えるような熱い想いを感じ取り、ビックリしてしまう。一瞬、自分へ向けられた感情と勘違いしそうになるが、そんなわけがないだろうと打ち消す。


「アズレークさま、オリビアさま、お食事は終了でよろしいですか?」


スノーの言葉に、アズレークと私も我に返り、頷く。


チラリともう一度アズレークの目を見るが、さっき垣間見えた熱は、もうない。


「……オリビア、今日の分の魔力を送りたい。いいか?」


そう言ってこちらを見るアズレークは、完全にいつものアズレークだ。


「あ、はい」


私はパンくずをはらい、立ち上がった。

ブックマーク登録いただいた読者様。

応援、ありがとうございますo(⁎˃ᴗ˂⁎)o

このあともう1話公開します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。