113:どんな性格か知りたい!
ジェラートを食べ終え、紅茶を飲み干したタイミングで、三人の魔術師補佐官が順番に声をあげた。
「あああ、レオナルド様、本当に、こんな素敵な昼食のご招待、ありがとうございます。おかげで午後の仕事は頑張れそうです!」
「レオナルド様、ご馳走様でした。このまさにバカンスな雰囲気、美味しい料理。ボクにあと足りないのは愛する女性……。なんだか恋人が欲しくなりました」
「ルカ、ここには任務で来ているのです。浮ついたことを言わないでください。午後からも引き続き尋問と捜索ですから。……レオナルド様、今日は本当に突然の訪問になりましたが、ご対応いただき、ましてや素敵な昼食にご招待いただき、ありがとうございました。『ワイズ』の件はきちんと我々で対応しますので、どうかパトリシア様との新婚旅行休暇をお楽しみください」
グロリア、ルカ、セシリオの三人はレオナルドに御礼の言葉を述べ、その後は私にバカンスを楽しみ、レオナルドとお幸せにとエールを送ってくる。私は三人に御礼を伝え、そしてレオナルドは……。
「みんな、遠いところでの任務、慣れないことも多く大変だと思うけど、頑張って欲しい。僕も休暇中ではあるけれど、魔法を使える人間の一人として、『ワイズ』のことは気にかかる。だから皆の動きは気にするようにしておくよ。あと数日もしたら僕とパトリシアはギニオンへ移動するけど、何かあれば遠慮なく連絡してほしい」
この言葉に三人は「分かりました!」と大きく頷く。そして私達はシーラに、レオナルドの魔法で戻った。
◇
グロリア、ルカ、セシリオがシーラで滞在しているホテルは、遺跡博物館の近くだった。そこにはシーラに駐在する王都から派遣されている騎士達の宿舎があり、そのそばのホテルに三人は部屋をとっていた。
だから遺跡博物館の近くに、五人でレオナルドの魔法で移動し、そこで三人とは別れることになった。
「パトリシア。この辺りは以前、来たことがあるけど、何か見たいものはあるかな? ただ、今日は月曜日。この辺りは美術館が多いが、どこも休館日だね」
それはレオナルド……アズレークの言う通りだった。
そうなるとウィンドウショッピングをして、カフェで休憩……となる。ここは美術館とカフェが多く、後はギャラリー、画廊、画材屋が多いのだが……。美術館が休みとなると、観光客も来ない。ゆえにカフェは閉まっているところがほとんど。そうなるとギャラリーなどもクローズしている。
つまり今日、このエリアは、人も少なく、店も開いておらず、閑散としていた。
「ここは美術館が休みだから、お店もみんな休みですよね。そしてお腹もいっぱいで、食後に美味しいデザートもいただけました。それにこの時間では、マルシェも閉まってしまう。今日はもう、部屋に戻ってもいいかもしれないわ。夕方、軽く散歩をして、そのままレストランで夕食でどうですか?」
アズレークは私の案に同意し、魔法で貸別荘へ戻った。
部屋の応接室に到着した瞬間。
私はアズレークに声をかけた。
「ねえ、アズレーク。バトラーが来るまでは、その姿でいてほしいのですが……」
「……? どうしてかな?」
「その姿はレオナルドとアズレークの中間みたいな姿でしょう。見慣れないから珍しく感じて……」
今、アズレークに伝えた言葉……それは半分本当で、半分嘘。
勿論、その外見に対する興味はあるが、私がもっと気になるのは……性格だ。
アズレークは意志が強くワイルド。
レオナルドは優美だけど実はS的な側面があった。
ではこの中間の容姿の時。
アズレークがどんな性格になるのか……興味があったのだ。
外見としてはアズレークに近い。アズレークの髪が長い感じ。でも雰囲気や服装はレオナルド。話し方は……魔術師補佐官の3名がいたから完全にレオナルド。では性格は……?
「私はこのままで構わないが……。この姿でパトリシアを抱くが、それでいいのか?」
!?
私と二人きりになったから、口調がアズレークになっている。
それよりも今、「この姿で抱くが」と言われた気が……。いや、間違いない。そう言った。
「そ、それは……」
答えている間にもアズレークの手は私の逆鱗に触れている。同時に反応を抑える魔法は解除され、瞬時に気持ちがそちらへと向かってしまう。
今の季節の本能から生まれる衝動反応には、本当に困る。
既にアズレークに腰を抱き寄せられ、キスをされていることに喜び、自分から彼の首に腕を絡めていた。もはやアズレークとレオナルドのハーフという姿については、関係ない状態になっていた。
ところが……。
抱き上げられ、ベッドに降ろされた時。
私を見下ろすアズレークの姿を見て、これまで以上に心臓が大騒ぎしはじめた。
今、彼は白の軍服を着ている。
軍服は前世でのスーツみたいなもの。
着ていると数割増しで素敵に見える。
いつもとは違う青緑色の瞳を妖艶に輝かせ、詰襟に指をかける姿は……。逆鱗のドクドクとする反応を加速させ、心臓の鼓動も激しくさせている。
「ア、アズレーク、お願い。軍服は、そのままで……」
前世の乙女ゲーム大好きだった頃の本性が出てしまった。アズレークは「??????????」だったが、いつも以上に私が興奮していることに気づき、応じてくれた。でも今は夏であるし、服は邪魔であり、長髪でいることも限界だったようだ。
気づくといつものアズレーク姿で肌を重ねていた。



























































