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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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100/311

100:最後の謎

「そ、そうですね。何かで見かけたのか。ふと頭に浮かんだというか……」


アズレークは「そうか」と呟いた後、少し頬を赤くして私を見る。


「王族が夏の避暑地に行った時、海辺で涼を楽しんだ時がある。その時にワインが足りなくなってしまった。私はレオナルドの姿だったから、美しく魔法を詠唱した。……気づいていると思うが、レオナルド姿の私は、優美であることを求められる。だからこの姿の時のように、合理的な呪文ではなく、詩のような呪文を唱えることが多い。その時も『盃に果実の滴の恵みを。遥かなるオケアノスよ。悠久の時を盃に満たせ』という呪文を唱えた」


知っています。それを真似したのですから。

でもそんなことはおくびにも出さずに、私は答える。


「そうなのですね! 魔法がとても似ているのは……私達がつがいだからでしょうか」


頬を赤くし、嬉しさと恥ずかしさをアピールしてアズレークを見ると。分かりやすくアズレークが反応している。つまり、私の言葉に喜んで、頬を高揚させている。


見つめ合う私達にスノーが「え、どうしたのですか、お二人とも!?」と声を掛け、そこで我にかえる。


一方のアズレークは「コホン」と咳払いをし、私もなんとかこの状態を打破しようと、ずっと気になっていたことを尋ねる。


「廃太子計画を遂行した時、私は完璧に手順を踏んでいました。ミスもなく、絶対に成功すると思っていたのに。もちろん成功はしたのですが……でも、王太子さまが目を覚ましたのです。私がまさに短剣スティレットを振り下ろそうとした瞬間に。どうして王太子さまには、眠りの香りが効かなかったのでしょうか?」


アズレークは思い当たることがあるようで、すぐに反応する。


「パトリシア。王太子には、青いお守りの眠りの香りを嗅がせたか?」


「はい。寝ている王太子さまには、香りがしない青いお守りを使うよう、指示をいただいていたので。香りに反応し、目覚めないようにするためですよね? 無臭でもかがせれば、眠りの成分は鼻から入っていくと」


そこでアズレークは、すまなさそうに打ち明ける。


「青いお守りは王太子用として渡していたが、そのお守りには眠りの魔法をかけていない。もちろん無臭でも眠らせることはできるが、そのお守りは正真正銘魔法がかかっていないから、無臭だった」


「え!」


思わず驚いて大声が出てしまい、慌てて手で口を押える。


「体内の残存魔力を使い切ったパトリシアは、その反動で間違いなく気を失う。一方、王太子は『呪い』が解けたところで、気を失うことはない。でも眠りの香りで寝てしまったら……? 王太子とパトリシアは、ベッドで抱き合うように意識を失っているところを、警備の騎士に発見されてしまう。そうなれば大騒ぎになる。だから王太子には、目覚めていてもらう必要があった」


「そうだったのですね……。それでも魔法をかけていないお守りをわざわざ用意したのは……」


「パトリシア、君が聡明だから。王太子に眠りの香りをかがせなくていいのかと、絶対に聞くと思ったから」


……! 思いがけずアズレークに褒められ、嬉しくなりながら。


「そ、そうだったのですね。でもあの時は本当に、驚きました」


脱力する私にアズレークは「本当に申し訳なかった」と謝罪の言葉を口にする。驚きはしたが、確かにあの時、アルベルトと私が二人で眠っていたら……。それこそ「パトリシアが王太子に夜這いをかけた!」と言われかねない。つまりアズレークのしたことは、間違っていなかった。


「驚いたといえば、変身の魔法が解けていたことにも、ビックリしました」


「それは……。王太子とパトリシアは、相思相愛と思っていたから……。『呪い』を解いたのは、パトリシアと分かるように、あの瞬間に変身の魔法が解けるようにしておいた。王太子へのサプライズの意味もあったが……。スノーは、ミニブタの姿に戻った方が、あの部屋に取り残されても怪しまれないと思い、同じように変身の魔法が解けるようにしていた。……目覚めた瞬間は、驚いただろう。心臓に悪かったな。すまなかった」


すべて納得だ。

それに今の話を聞いて、最後まで謎だったことが、すべて解明した。


だから、私は笑顔で告げる。


「事態が理解できたので、もう気にしていません」

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