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断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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10:さあ、答えてもらおう、取引は成立か?

「そんな、アズレークさま、パトリシアさまを殺したりしないでください!」


ずっと事の次第を見守っていたスノーが、椅子から立ち上がるなり、私のところへ来た。そしてその小さな体で私を庇うよう、アズレークの前に立ちふさがった。するとアズレークは組んでいた脚をほどき、前かがみになると、スノーの頭を優しく撫でた。


「私だってそんなことをしたくない。だからパトリシアだって、この取引を飲むはずだ。パトリシアがこの取引に応じ、無事、役目を果たしたら、君たち二人の安全も保障する。そもそも王太子は、命を落とすわけではない。だから君たちがこの取引を成し終えたところで、追われることもない」


アズレークのこの言い方……。

取引は、私とするつもりだ。

だがそこには、スノーも含まれている。

つまり私が取引に応じなければ、暗殺されるのは、私だけではない。今、ここですべてを聞いてしまったスノーもまた、消されてしまう……。


暗殺という言い方だが、王太子を殺害するわけではない。

魔力を失い、国王にはなれないが、凡人としてなら生きていける……。


ただ、廃太子に追い込むだけ。


でも私には、パトリシアの記憶がある。

彼が王太子として、幼い頃から頑張る姿を見てきている。

それを思えばこんな取引、飲むわけにはいかないのだが……。


「パトリシア、一つ教えておく。君がこの取引を飲まなくても、私に困ることは何もない。まずは王命に従い、君を……。その後は別の誰かを見つけ、その者に君が拒否した取引を持ち掛けるまでだ」


どうしてもアズレークは、王太子を国王にしたくない……。

というか、国王陛下に絶望を与えたい。

恨みを抱いている……。

一体、何があったのだろう?

このアズレークと国王陛下の間に。

でも考えて分かることではない。

それよりも今は、その取引に応じるか否かだ。


「魔法とある道具を使い、王太子が国王に立てないようにする……魔力を奪うと言っていましたが、それは一体どういう方法なのですか?」


「それは機密情報だ。取引に応じてからでないと答えられない」


「考える時間をいただくことは?」


アズレークはため息を漏らし、髪をかきあげた。

恐ろしい取引を持ち掛けている相手だと分かっても、その仕草、顔立ちに見惚れてしまう。


「王太子は10日後、王都を離れ、領地視察でプラサナス城に滞在することになっている。滞在は2週間だ。君はここ、プラサナスの地に偶然やってきた聖女として、王太子に会いに行く。プラサナス城ではゴースト騒動が起きている。このゴーストを退治する名目で、城に乗り込む。そしてすべてのゴーストを退治し、聖女としての信頼を得て、王太子に近づく。最終的に王太子の寝込みを狙う。この計画を遂行するために、準備を進める必要がある。迷っている時間などない」


プラサナス!?

修道院があった場所から、100キロ以上離れている。

そんなに移動していたなんて……。

魔法が使えると言っていた。

本当に、魔法を使える……。

しかも相当だ。

それにしても聖女? 私が?

私はただの修道女なのに。

ゴーストを退治するなんて……無理だ。

するとまるで私の考えを見通したかのように、アズレークが口を開いた。


「パトリシア、君は修道女だが、聖女ではない。でも君には聖女を演じてもらう必要がある。そのためには、聖なる力が使えないとならない。だが聖なる力なんて、手に入れるのは無理だ。だから代用として、君に魔法を使えるようになってもらう。そのために私の魔力を、君の中に送り込む必要がある。これから10日間かけ、魔力を送り、その体に蓄積させる。ゴースト退治と王太子に魔法を使う時のために」


「魔力を私の中に蓄積!? そんなことできるのですか!? それに聖女を演じるなんて……。私はただ、王太子の懐に潜り込む、すなわち近くへ行けばいいのではないのですか? あとはあなたの魔法と道具で、勝手に廃太子計画が進むのではないのですか!?」


王太子の寝室に、アズレークが用意したある道具を忍ばせれば、あとはその道具がアズレークの魔法に反応し、魔力を奪うような動きをするのかと思っていた。まさか私に魔力を与え、魔法を行使させるなんて、想像もしていない。


「ただ王太子のそばに行けばいいのなら、スノーにだってできる。パトリシア、君は王太子にギリギリの距離まで迫る必要がある。そしてその場で私があらかじめ渡しておいた道具を取り出す。それを取り出せば、君の中の魔力が道具に反応し、魔法も発動できる状態になる。そうなれば後は勝手に道具と魔法が作用し、君の意志とは関係なく、計画を遂行してくれる」


そう言うと、アズレークの黒い瞳が、射抜くように私を見た。

これまでにない鋭い視線に、心臓がドクンと大きく反応してしまう。


「さあ、答えてもらおう、取引は成立か?」

お読みいただき、ありがとうございます!

次回は本日12時に「いきなり自身の左胸に」を公開します♪

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