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初日から火花散る①


ミリヤ達が通った一本道を、2人の男女が寄り添いながら歩いてくる。

周りの声など気にもせず、自分たちの前に人がいない事も当然だと言わんばかりの堂々とした登場だ。


そして……アリアの姿がミリヤの目からも確認できるほど近付いた瞬間、やられたと思った。


「ミ、ミリヤ様。アリア様の瞳が……」


多少の事では慌てる事のないローズが慌てるほどの事。

けれどそれは仕方がない。アリアの瞳が前に会った時から変わっていたのだから。

おそらく先ほどの騒めきはディアルガンとアリアの登場に加え、瞳の色が変わっていた事にも驚いた声だったのだろう。


「紫色に変わっているわね……」


瞬時に前世のコンタクトの存在を思い出す。おそらくアリアはコンタクトをヒントに、それに似た物を作り出したと推測する。


(恐ろしい子ね……手段は選ばないという事ね)


考えたくないが、半分だけでも血の繋がりがある事が怖くなる。

いつか自分も手段を選ばない行動に出るのではないかと。

ミリヤの事が見えているのかいないのか、見せびらかすようにディアルガンにくっつき歩くアリア。

ミリヤ達との距離がだんだん縮まり、視線が合う距離まで来ると……カツンとヒールがなり足が止まった。

周りの生徒達の騒めきも収まり、誰も言葉を発しない。無音が場を支配した。

このまま無視をして立ち去っても良いかと考えるが、それよりも先にアリアが満面の笑みで近寄ってきた。


「ミリヤお姉様!!会いたかったです!何度もお手紙を書きましたし、お茶会にもお誘いしたのに……会ってもらえなくて寂しかったです……」


会って早々、しっかりミリヤの評判を落としに来るのは流石としか言えない。

可憐に見えるアリアが眉を下げ、全身で悲しいですと表現する姿に、何人かの生徒の顔がミリヤを非難するものへと変わる。

それは隣の馬鹿王子も同じだったようで……。


「ミリヤ!!お前はまだそんな嫌がらせをアリアにしているのか?恥を知れ!!」


ディアルガンの怒鳴り声に頭が痛くなる。

彼には反省という文字はないのだろうか。

ミリヤが衝撃で言い返さないのを良いことに、アリアは更に攻撃を続けてくる。


「ディアルガン様。お姉様を責めないで……私が……きっと何か気に触ることをしたのです。すべては……私の責任ですわ……」


アリアがポロリと涙を流せば、面白いくらいに慌てたディアルガンがアリアに寄り添う。

何を見せられているんだと更に頭痛が酷くなったが、このまま終わるわけにはいかないとミリヤが口を開こうとすれば、力強い声が加勢に加わってくれた。


「あはははは。面白いことを言いますね。何か気に触る事って、姉から婚約者を奪っておいてよく言えますね」


現れたのは馬鹿王子の同い年の弟リディオン。

彼はミリヤの近くまで来ると、サラリと前に立ちアリア達からミリヤを隠してくれる。

あまりのスマートさに、ディアルガンは永久にリディオンに敵わないとミリヤは悟った。

そのリディオンの行動に慌てたのはアリア。


「リ、リディオン様……何故そのような意地悪を言うのですか?それに私は……わざとお姉様からディアルガン様を奪ったわけではありません。お姉様からの意地悪をディアルガン様に相談している内に……愛し合っていたのです……」


「愛は全てが許される免罪符ではない事を覚えておいた方が良いと思うよ?」


アリアの演技はとても上手いが、リディオンには何一つ響いてない様子で、冷たくあしらわれている。

傷ついた顔で下を向いてしまったアリアに、ディアルガンが思い切りリディオンを睨んだ。


「リディオンのくせに生意気だぞ!!アリアに謝れ!」


(いやいやいや、ディアルガン様にだけは生意気なんて言われたくないわよ)


ミリヤの心の声は漏れなかったが、ローズ達も同じ事を思っていたようで、お互いの視線が重なり合いため息が漏れそうになる。

リディオンも同じ気持ちなようで、彼は遠慮せず盛大なため息をついていた。


「何故私が侯爵家令嬢如きに謝罪をしなければならないのですか?」


侯爵家如きと言われたアリアは、手をギュッと握りしめていた。

悔しくて仕方ないが、ここで暴れるわけにもいかず何もできないもどかしさがミリヤには伝わってくる。

だからかアリアに注目し過ぎて、ディアルガンの問題発言を聞き逃しそうになった。







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― 新着の感想 ―
この主人公いい加減マリアの悪意に覚悟しても良いはずなのに、すぐ衝撃を受けて何も話せなくなっちゃうな そして誰かに擁護してもらう 有能とは思えない
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