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義妹と元婚約者の現在②


「ディアルガン様は今どうされているのか、ローズ様はご存知かしら?」


婚約破棄後、何回か手紙が届いていたが、リアムの手によって読む前に破棄されている事をミリヤは知らない。

そのため、ミリヤの中では謝罪もする事のできないバカ王子の印象が強い。


「ディアルガン様は、王太子復帰のために王妃様と共にお茶会など必死に活動されているようですよ。まぁ、思っていたよりは難航しているみたいですけど」


オホホと笑うローズの目は怒りに染まっており、難航している原因の一つに彼女がいるのではないかとミリヤとジークは思ったが…口には出さない。


「あれだけの騒ぎを起こしておいて、よく陛下が茶会の許可を出したな」


ミリヤもリアムからディアルガンはしばらくの間は謹慎だと聞いていたため、不思議に思いローズを見つめる。


「学園入学を前に他家の子と親睦を深めたかったらしいですわよ」


「今更?」


呆れた顔でジークが問えば、ローズからも同じような顔が返される。


「えぇ。今更です。ですがあんな愚かなディアルガン様でも、彼には第一王子という価値があります。それは私たちが考える以上に大きな価値なんでしょうね。いまだにお茶会に参加する方が一定数いらっしゃるみたいですから」


一定数の貴族をほぼ把握しているのか、ローズは扇子を開くと口を隠し嘲笑う。


「オリエーヌ公爵に知られぬよう参加した家もあるみたいですが、閣下は全て把握していましたわ。それらの家はすでに取引を中止され大変困っているとか。学園にはいれば、中止された家の子息達が寄ってくる可能性があるので、後から一覧をお渡しするのでジークと共に目を通しておいてください」


すでに全ての調査が終わっている事が、さすがローズというところだ。

有能すぎて、足をむけて眠れないなとミリヤは思った。


「ディアルガン様がミリヤ様に近付いてくる可能性は?」


気になっていた事をジークが先に聞いてくれたため、ミリヤはローズの答えを待った。


「100%中200%の可能性でやってまいりますわね」


「もうそれ、確定じゃないか」


鋭いツッコミがジークから放たれた。

そこでミリヤはある事を思い出す。


「あら?でもディアルガン様ってSSクラスに入れるほど、頭は良くなかったような?」


王太子教育も捗っていなかったと聞いている。

そんな状態でSSクラスに入れるのだろうかと疑問が生まれる。


「ミリヤ様。身分を問わないと謳われる学園にも、大人の事情というものがございますの」


要は最初から王家の者はSSクラス入学が決まっているということだ。

世知辛い事だが、前世も今世も忖度というものは存在する。


「残念ね」


「えぇ。とても」


ローズと目を合わせ、お互いに大きなため息をつく。


「学園に入ったら、少しの気も抜けないという事だな」


ジークの言う通りだった。

ディアルガンだけではなく、アリアもSSクラスを狙ってくるのは目に見えている。

それに加えて、足元を掬おうとする子息や息女の対応もしなければいけない。

考えるだけで気が重くなる事実に、ミリヤはもう一度深いため息をついた。


「ミリヤ様は常に私かジーク様をお側に置いてください。何かあれば対応できるよう、対策は練っておきます」


ローズからの心強い言葉に、ミリヤの心は少しだけ浮上するが、それ以外にも問題は山積みであり学園へ入学する事が憂鬱でならない。


「ディアルガン様とリディオン様も同時にご入学されるし、今年の学園は荒れるでしょうね」


現在力を増しているのはリディオンの派閥だが、それも何かあればすぐに覆されるのが貴族社会。

ディアルガンが失速したように、リディオンも簡単に落ちていく可能性はある。


(特に学園という閉鎖された環境だと…)


いつの世も学園・学校という場所に問題は付き物だ。

冤罪を作り出す事もできるし、罪を隠す事もできる…そして冤罪を作り出すのが得意なアリアがいる。


やはり憂鬱としか言えないミリヤだった。

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