中学生初心者ボクシング大会の男女混合の部に出たら、可愛くて大人しそうな莉央ちゃんと対戦することになっちゃって・・・
遂に、この時が来た。僕のボクサーとしての最初の大会が。その名も、中学生初心者ボクシング大会。ボクシング歴半年以内の選手しか出場できない、とても限られた試合である。そのため、中学生ではまだ力の差があまりないだろうということで、男女混合のトーナメントが用意されている。僕は流石に女の子に負けないだろうと思った。
緊張の中、会場に到着する。配られたパンフレットには、出場者が十数名ほど書かれてあった。殆どが男の子で、女の子は一人だけであった。北出莉央ちゃんというらしい。しかも、僕の隣に名前が書いてある・・・。まさか、初戦の僕の相手が莉央ちゃんということなのでは・・・・・・。一回戦は突破できたも同然だろう。いや、試合に出てくる女の子に限ってガタイがよく、めちゃくちゃ強いものだ。僕は気を引き締めた。
試合は進み、僕の試合の順番がやってきた。僕はグローブをはめた。リングの向こう側でも、女の子がグローブをはめている。あれが、僕と対戦する莉央ちゃんだろうか。その女の子はとても可愛らしく、大人しそうであった。また、シャツの袖口からのぞいている二の腕はとても細い。えっ・・・・・・。嘘っ・・・・・・。こんなに可愛い女の子とボクシングできるの!?しかも、か弱そうである。僕が負けるはずがない。僕は頬が緩むのを抑えきれなかった。
僕はリングにあがった。その女の子がやはり莉央ちゃんだった。胸がドキドキした。試合は3分3ラウンド、ノックダウン3回でKO、KOまたは判定で決着。ルールがレフェリーから読み上げられる中、僕は莉央ちゃんと向かい合っていた。可愛い・・・。莉央ちゃんに圧勝して、かっこいいところを見せたいな!
ゴングが鳴る。緊張で手が震える。初めての試合とは、こんなにも緊張するものなのか・・・。僕は構えて、莉央ちゃんとの距離を詰めていった。僕は莉央ちゃんの胸をパンチしようとした。が、よけられ、僕は逆に莉央ちゃんに胸をパンチされていた。嘘っ・・・。女の子に殴られるなんて、考えてもみなかった。僕はもう一度間合いを詰めようとした。その瞬間、僕は莉央ちゃんに顔面ストレートを決められていた。ううっ・・・。痛いっ・・・・・・。嘘だろ?僕が莉央ちゃんに殴られるなんて・・・。悔しいっ!!僕は渾身の力を込めて莉央ちゃんに顔面ストレートを繰り出した。が、ガードされる。僕はバランスを崩した。そこを莉央ちゃんにボディブローを決められた。ぐっ・・・。僕はよろける。その瞬間、僕は莉央ちゃんに顔面ストレートを決められていた。ぐふっ・・・。痛いっ・・・・・・。僕はその場で倒れ込んでしまった。鼻血が出ていた。頬がカッと熱くなった。僕は莉央ちゃんにダウンをされてしまったのだ。こんなに可愛い莉央ちゃんに・・・。しかも、この試合は生放送でabemaTVに流されているらしい。このまま莉央ちゃんに負けたら恥ずかしすぎる。
試合が再開した。僕は莉央ちゃんとの距離を詰めると、莉央ちゃんに顔面ストレートを繰り出した。が、よけられ、僕は逆に莉央ちゃんに胸をパンチされていた。痛いっ・・・・・・。僕はよろけ、後ろに下がって立て直そうとした。が、その瞬間、僕はまたもや莉央ちゃんに胸をパンチされていた。はうっ・・・。僕はリングコーナーにもたれかかった。嫌だ。莉央ちゃんに負けたくない、しかもこんなにか弱そうな莉央ちゃんに。だが、また莉央ちゃんに胸を殴られる。莉央ちゃん、痛すぎるよ・・・・・・。僕はその場で座り込んでしまった。シャツに血が滲みているのが分かった。
試合が再開した。僕はすべての力を振り絞り、莉央ちゃんに顔面ストレートを繰り出した。が、よけられ、僕は逆に莉央ちゃんに顔面ストレートを決められていた。ぐふっ・・・。マズい、このままではもう限界だ。そうだ、クリンチだぁっ!!僕は莉央ちゃんに抱き着いた。だが、莉央ちゃんにガードの隙間から胸を殴られる。ううっ・・・。僕は顔を莉央ちゃんの胸に埋めた。
ーーーーーーーー柔らかかった。気持ち良かった。莉央ちゃんに胸を殴られる。痛い。でも、莉央ちゃんにずっと抱き着いていたい。また胸を殴られる。痛い。でも、ずっとこうしていたい。胸を殴られる。でも、ずっと莉央ちゃんと闘っていたい、なぜならリングで出会った瞬間から恋に落ちていたから。殴られる。痛い。けど、気持ち良くなってくる。股間が少しずつ盛り上がっていく。また殴られる。痛すぎる。莉央ちゃん、大好きだよ・・・。その瞬間、僕は今までに感じたことの無いほどの快感の中、射精した。僕はその場でへなへなと倒れ込んだ。もう動く力は残っていなかった。ゴングが鳴った。
レフェリーが試合終了を宣言した。開始わずか1分半ほどだったらしい。僕はリングの端で倒れたまま、莉央ちゃんが笑顔でKOボーナスをもらっているのをぼんやりと見ていた。莉央ちゃんの友達らしき女の子たち3人がリングのそばによってきて、莉央ちゃんは笑顔でハイタッチをした。
「莉央〜、すごいじゃん!男の子に勝っちゃったんだよ!?」「えへへっ!ありがとう♡」「相手の子、強かった?」「う〜ん、あんまり強くなかったかな♪男の子って、もっと強いんだと思ってたから♡」思わず言い返してしまう。
「うるさいな〜!」「ふふっ♡私、女の子の中でも非力で運動音痴な方なんだから♡私なんかに負けてるようじゃ駄目じゃん♡ざ〜こ♡」
恋愛に疎い僕でも、失恋したということは分かった。しかも、片思いしている女の子にボクシングで負けるという、最悪の展開で。