眞田幸子が死んだら!乙女ゲームのアルバムに追加されました!
「私が悪役令嬢をやるんですか!!!」
思わず声を荒らげてしまった、この声にナタリー様は一瞬キョトンとして不思議そうな顔をしながら。
「悪役令嬢?…悪女ではなく?……悪役…令嬢………ふふ…ふふふ!良い響きですわ!!!!」
口元を隠しているが目だけでも満面な笑顔になった事が窺える、扇子をパン!と手の平で閉じて私を指すと。
(あー!あの癖は!ろくでも無い事を言い出す時に出る癖だ!)
「気に入りましたわ!悪役令嬢!!!!キャサリンさん!悪役令嬢となり、私の代わりにフローラさんを苛めなさい!!」
「え―――!!!!!」
(ヒロインを苛めたら!この世界でできた新たな家族共々断頭台行きだよ!!)
誰でも良いから!!SAVE ー!MEー!!
私こと、眞田幸子はどこにでもいる35歳のOLだった、ただ違う所があるとしたら乙女ゲーム好きで、今攻略中のゲーム、『悪役令嬢は主人公を攻略できるかな?』だったが、これがいわゆるクソゲーだ。
(え!結婚?してない!してない!!まだ処女だし!!それに、もし結婚してたら夫の前で乙女ゲーなんて出来ないよ!!)
ゲームの内容は、ローズ高等学園(貴族はもちろん、優秀なら平民も通うことが許されている学校)に通う3年間、悪役令嬢を操ってヒロインを蹴落として自分がハッピーエンドになるゲームだった。
攻略対象は2人、王国のベルーナ・フォン・クリュ―ブ王子と帝国の留学生、ブリュウ・バーナード公子のどちらかと悪役令嬢ことナタリー・ブリュー侯爵令嬢が結ばれる事を目的としたゲームであったが、一回の選択肢で最低5個の選択が有り、間違えても最後まで結果が分からず、選択肢自体も数えてはいないが60以上あり、そしてスキップを使っても一回のクリア時間に5時間以上かかり、攻略失敗すると悪役令嬢は断罪され、取り巻も巻き込まれる。
途中でセーブ?勿論セーブボタンは有るよ、だけどさ〜押すとね。『今セーブできません、セーブできる場面でしてください、セーブは今旅行中です、現在セーブは家出中です、セーブのプログラムをアンインストールしました』と、どれかのテロップが出てきて途中で一切セーブが出来ない、
(断罪の種類はピカイチだったな~、勘当、教会行き、身分はく奪、国外追放、強制自殺、死刑、そして最悪な結果なのは取り巻き共々断頭台による公開死刑のうえにさらし首&お家の取り潰し&家族揃って死刑。結果が何であれクリア後に出てくるアルバムの文句が《製作スタッフからの挑戦状!君は全ての断罪を集めれるかな?(隠し断罪もあるよ♡)》だ!集めたくないよ!!攻略させる気ね~~~~~だろ!!)
5ヶ月……睡眠時間を削りに削って三千五百回以上やり直して、やっと一人目のベルーナ王子を攻略した…ベルーナ王子とウエディングドレスを身に纏った悪役令嬢が教会の中でキスをしたシーンが映し出されている。
(製作スタッフ…ざまぁ…み……ろ………)
エンドロールが流れるゲーム画面を見ながら私は疲労で倒れてそのまま……チ―――――ン。
エンドロールが流れ終わった後、『眞田幸子の死が悪役令嬢は主人公を攻略できるかな?のアルバムに追加されました。』とゲーム画面にテロップが流れた。
(追加するんじゃ――――――!ね――――――よ!!!!)