スケルトン襲来 1
「海を渡った所とか言ってたよなぁ......船の存在、その船がどれくらいの技術のものなのか聞いてから殺しといた方がよかったかなぁ......」
船のことを配下に聞けば分かるのかもしれないが、何となくそれはやめておいた。
「まぁ、今すぐその情報が欲しい訳じゃないしいいか」
今雪の前にはあの女のスケルトンがいる。
(あの時あの女を使ってスケルトンを作ったが、もし頭をくっつけなかったらどうなっていたんだろうか......)
そう考えながらもラルフが言ってた事が気になる。
Bランクの冒険者パーティをただのスケルトン1体で本当に倒せるのだろうか。
そう思っていたら試してみたくなってしまった。
「よし、街に行って」
そこまで言いかけたが流石に危険か? という疑問が湧き上がる。
(仮に魔力を見る装置みたいなのがあれば魔王の仕業ってバレバレだよな......いや、バレてもいいのか?)
ヨミが魔王の存在を察知したから勇者がみたいなことを言ってたような気がする。
やってみたいという好奇心と自分の手の内を明かす恐れが今雪の心の中では戦っていた。
「いや、やっぱりなんでもない」
スケルトンにそう言う。
そんな装置はあるか分からないが好奇心のために手の内を明かす必要は無い。
「あ、いや、配下に聞けばいいじゃん、そんな装置があるのかどうか、いや、もっと言えばこのスケルトンを街に向かわせた際の危険性を聞けばいい」
そう思い早速ヨミに聞きに行くことにした。
「よ、ヨミ、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
ヨミは何故か部屋を出てすぐの所にいた。
「はい、もちろんでございます」
ヨミは笑顔だった、なんというか可愛らしい笑顔だった......その笑顔を見た時鳥肌がたったのは気の所為なのだろう......きっとそうだ。
「このスケルトンがどれだけの戦力になるか、そしてこの世界の人間はどれぐらいの強さをもっているのかを試すために、このスケルトンを街に向かわせようと思ったんだが、この世界特有の何かがあるかもしれないからな、このスケルトンを街に向かわせた際の危険性を教えてくれ」
(よし、なんとなくそれっぽいことを言ったような気がするぞ)
「スケルトンで、ですか?」
少し困惑したような顔だったが無理もない、この世界のスケルトンとは少しの衝撃でヒビが入り粉々になってしまうのだから。
「あぁ、このスケルトンは俺の魔力で作り出したんだ」
そう言った瞬間スケルトンに体を押し付け始めたのは恐らく気のせいだ。そしてだらしない顔をしているのも気のせいだろう。
「ユキ様の魔力を私の体で......」
気のせい......だろう。
「そ、それでどうなんだ?」
「恐らくユキ様がやったとは誰も思わないでしょう、魔物は稀にですが強い個体で生まれることがあります、なのでその類だと思われて終わりでしょう。ユキ様の世界にあったかは分かりませんがネクロマンサーと言う職業で作り出されるスケルトンとは普通のスケルトンより少し強いぐらいでその差は大人と子供ぐらいの差です、なので何度もやるなら話は別ですが、1度だけならたまたまだと思われるでしょう」
「ありがとう、助かった」
「ありがたきお言葉」
「何かこいつに持たせる武器はないか? 使い捨ての様なもので構わん」
「少々お待ちを」
そう言って部屋を出ていくヨミ。
「ん〜、スケルトンってそんな弱いのか......そう思うと人間の反応が楽しみになってくるあたり人間やめてるな〜、分かりきってたけど」
そう言いながら頭では他の人間で試したら強さが変わるのかとかを試したいと思っていたらヨミが帰ってきた。
「冒険者が持っていたロングソードをお持ちしました」
「ご苦労」
頭を下げながらその武器を雪に渡す。
「よし、じゃあ行ってこい」
そう言いスケルトンが壊された時に分かるように少し魔力を注ぎ込みロングソードを渡す。
(私もユキ様の魔力を......)
ヨミは何故かだらしない顔をしていた。
☆ ☆ ☆
それはある街の門番たちだった。
「隊長もう休憩入っていいですか?」
そう言いながら門の少し内側にいる隊長に話しかける。
「もう少し待て、もう少しで交代だ」
「え〜、でももうこの時間帯は暇ですよ」
そんな時だった1つの人影が見えたのは。
「隊長なんすか? あれ」
「何って誰か来たんだろ?」
ゆっくりと、近づいてくる人影。
「隊長、あれスケルトンっすよ」
「あぁ、そうだな、スケルトンがこんな所にいるなんてどうなってるんだ?」
「よくわかんないっすけど、あれ倒したら一旦休憩しましょう」
「まぁ、いいだろう、そろそろ交代の時間だ」
「じゃあ、隊長はここにいていいっすよ」
そう言いながら武器を構え歩いていく男。
構えると言ってもただのスケルトンに本気になる訳もなく片手に適当に持って振り下ろそうとした瞬間、男の首が飛んだ。
「......は?」




