―92― コンプレジョダンジョン
コンプレジョダンジョン。
この町で唯一のC級であり最難関でもあるダンジョンだ。クリア推奨レベルは80の冒険者が6人とやはり最難関なだけあって高い。
そして、僕にとっては、ある意味思い入れのあるダンジョンでもある。
というのも、僕がまだレベル1でギジェルモのパーティーに属して荷物持ちをしていたとき、最も潜っていたダンジョンがなんとここなのだ。
後方に徹して、極力モンスターに襲われないようにしていたとはいえ、よく生きてこられたよな、と今更ながら思う。
ここコンプレジョダンジョンはボスを倒さずとも、道中のモンスターを倒すだけで非常に旨味のあるダンジョンとして知られ、しかも道中に宝箱が見つけることができる可能性が他のダンジョンに比べ、極めて高いため、ボスを倒すことが目標でなくても潜る価値のあるダンジョンだ。
ちなみに、ここの初回クリア報酬を回収する予定は今のところない。なぜなら、ボスのいる階層まで今の僕の実力ではたどり着くのが難しいから。
だから、適当なタイミングで切り上げてダンジョンから引き上げるつもり。
目的がモンスターを倒してレベルを上げることだし、それでも大丈夫だろう。
そんな具合で、コンプレジョダンジョンの中に入る。
◇◇◇◇◇◇
〈巨大芋虫〉
討伐推奨レベル:72
紫色の巨大な芋虫。硬い皮膚で身を守り、強靭な牙で襲いかかる。
◇◇◇◇◇◇
「早速、現れたか」
道を阻むように現れた巨大芋虫を前に僕はそう呟く。
巨大芋虫は名前の通り、手足がないモンスターなため、動きは非常に単調で読みやすい。だが、弱点がどこにもないため、倒すのに非常に骨が折れるモンスターでもある。
「〈必絶ノ剣〉」
僕は躊躇なくスキルを使う。恐らく今の僕では〈必絶ノ剣〉を使わなくては、倒すのは困難だろう。
それも一度〈必絶ノ剣〉を使うだけでは倒せなかったので、3回スキルを使ってやっと倒すことに成功する。
◇◇◇◇◇◇
レベルがあがりました。
◇◇◇◇◇◇
と、倒した証拠にもなるメッセージが表示された。
それから想像以上に消費してしまったMPをMP回復薬を飲んで回復させる。
やはり、一体を倒すのに、これだけ苦労しているようじゃ、ボスのいる最下層まで行くのは厳しそう。
「別に〈アイテムボックス〉があるから解体しなくてもいいんだけど」
と、言いながら僕は短剣で巨大芋虫を斬り裂く。
確か、この辺りに胃があったような……。
「見つけた」
短剣で胃を斬り裂くと、でてきたのはいくつかの宝石だった。
巨大芋虫は地中を潜ってはみつけた鉱石を飲み込む習性がある。だからこそ、倒した場合には、胃から宝石を含め価値のある鉱石が往々にして見つかることが多い。
だからこそ、この町において最も高く売れるモンスターがこの巨大芋虫に違いなかった。
ギジェルモたちのパーティーと一緒に、このダンジョンに何度も来たことがあるが、そのさい、一番優先して狩っていたモンスターもこの巨大芋虫だった。
宝石も確認できたし、体ごと巨大芋虫を〈アイテムボックス〉に収納する。この調子で、モンスターを次々と倒していこう。
それから僕は道中のモンスターを倒しつつ、下の階層に潜っていく。
来たことがあるダンジョンなだけに、特に迷うこともなく、僕は奥に進んでいった。
道中のモンスターは巨大芋虫以外にも、火蜥蜴や火を吐く猟犬、水晶亀など多様なモンスターが道中に出現した。
ちなみに、水晶亀は僕の使っている盾
〈水晶亀の小盾〉の素材を落としてくれるモンスターだが、非常に硬いモンスターとして知られており、僕の攻撃力では倒すのが非常に厳しかったため、倒すのを諦めて逃げることにした。
なお、水晶亀は非常に鈍足なモンスターだから、逃げることは簡単だった。
「14層まで来れたのはいいけど……」
15層へと続く階段を前にして、僕は悩んでいた。
というのも、ギジェルモたちのパーティーにいた頃、実を言うと14層より下に降りたことがないのだ。
恐らく15層にはなにかがいるから、降りないようにしていたんだろうけど。具体的になにがあるかまでは聞いたことがない。
これなら事前に冒険者ギルドにでも行って、情報の書かれた掲示板を見るんだった。
怖いもの見たさで、15層に行ってみたい欲はある。
「やめとこうか」
冒険者は用心すぎるぐらいがちょうどいい。
知識不足ゆえに、実力以上のダンジョンに潜って死ぬ冒険者の数は実に多い。
だから、今日はもう引き返して、情報が手に入り次第、改めてここに来ようか。
それから、僕は引き返す道中も順調にモンスターを倒していき、結果的に、3つもレベルを上げることに成功していた。




