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最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】  作者: 北川ニキタ
第二部

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63/112

―63― ベネノダンジョンの初回クリア報酬!

「さて、お楽しみの報酬タイムだー!」


 宝箱を前にして僕ははしゃいでいた。

 まぁ、初回クリア報酬がなんなのか冒険者ギルドで確認したから、中身は知ってはいるんだけど。

 そんなわけで、宝箱を開けて中身を取り出す。


「これがなんなのか実はよくわかってないんだよね」


 手にしたのは、正八面体の小さな石。透明でキレイだけど、これがなにに使えるのかはよくわからない。


 ◇◇◇◇◇◇


〈結晶のかけら〉 

 集めたらいいことが起きる(譲渡不可)。


 ◇◇◇◇◇◇


 説明もこんなもんだ。

 このベネノダンジョンの初回クリア報酬ということで、この〈結晶のかけら〉という存在自体は知られている。

 しかし、このダンジョンの初回クリア報酬以外の入手方法が知られていないため、実際に集めて、メッセージに書かれている『いいこと』を確かめたものはいない。

 いない、と断言するのはいいすぎたかも。

 流石に、世界中を探せば、『いいこと』がなんなのか確かめた者は何人もいるんだろうけど、ここガラボゾの町にいる冒険者に限っては、僕の知る限りいない。

 そんなわけで、この〈結晶のかけら〉を集めれば、なにが起こるのか、そもそも何個集めればいいのか、なにもわからないわけだが、これからこのダンジョンを何回も周回することで確かめてみようじゃないか。

 なんせ僕には壁抜けがある。



 次の日から、ベネノダンジョンの周回を始めた。

 今までは周回する際、道中のモンスターを全部スルーしてきたが、それをすると、レベルも上げられないし素材も換金することができないので、できるかぎり道中に出現する鶏蜥蜴(コカドリーユ)を倒すように心がける。

 だから、一日に一回、周回するのが限界だった。

 それでもモンスターをたくさん倒したおかげだろう、周回を始めて5日目にしてレベルが21にまで達していた。

 これは中々にして、レベル上げの速度が順調ではないだろうか。

 格上のモンスターを倒しているから、通常より多くの経験値が入っているんだろうね。


「〈回避〉!」


 ボスエリアの壁を壁向けして報酬エリアにたどり着く。

 そして5つ目になる〈結晶のかけら〉を手に入れた瞬間だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 5つ目の〈結晶のかけら〉の入手を確認しました。

 5つの〈結晶のかけら〉は合成され、〈大きな結晶〉になりました。


 ◇◇◇◇◇◇


 袋に入れておいた4つの〈結晶のかけら〉が袋を飛び出し、手に持っていた〈結晶のかけら〉と重なり合う。

 そして、眩い光を放ったと思ったら、目の前に大きな透明な石があった。

 これが〈大きな結晶〉なんだろう。

 手にとって、〈大きな結晶〉の情報を確かめてみる。


 ◇◇◇◇◇◇


〈大きな結晶〉

 使用すると、いいことが起きる。

 集めるともっといいことが起きる(譲渡不可)。


 ◇◇◇◇◇◇


「え、えっと……」


 メッセージに書かれた内容を見て、戸惑う。

 とりあえず、使用することはできるようになったらしいが、なにが起きるかまでは書かれていない。

 まぁ、『いいこと』って書いてあるからいいことではあるんだろうけど。

 そして二行目の『集めるともっといいことが起きる』か。

 気になる。


「こうなったら、もっと集めるしかないでしょ!」


 と、僕はさらに周回することを決めた。



「ただいま」


 宿屋に戻って、そう口にする。

 帰るたびに、僕は名称未定がなにか良からぬことをしていないか不安になる。


「…………」


 帰ってきた僕に目もくれず、彼女はベッドの上で本を読んでいた。

 どうやら、最初に本を与えた日から彼女は読書にハマったらしく、すでに何冊も彼女に本を買い与えている。


「えっと、新しい本を買ってきたけど」


 そう言った途端、彼女はガバッと顔をあげて、僕にいる場所まで小走りでやってくる。


「買ってくれるのが遅いんですよ! おかげで、名称未定ちゃんすでに読み終えた本を何度も読み返すはめになったじゃないですか」


 彼女は不満を述べては僕から奪うように本を手に取る。そして、本を開いて読み始めた。

 大人しくしてくれるなら、なんでもいいんだけどね……。

 本一冊買い与えるぐらい安いもんだし。


 それから僕は夕飯の準備を始める。

 以前、家で暮らしていた頃はごはんを食べるのが僕一人だったこともあり、パン一つだけなど、あまり食事に気を使っていなかった。

 だけど、今は名称未定の分の料理も用意する必要がある。

 彼女に健康を維持してもらうためにも、食事に気を使うようになった。

 なにせ、彼女の体はエレレートのものでもあるんだから。


 そんなわけで、毎日ダンジョンから帰っては食材を用意して料理づくりに励んでいる。

 だけど、料理なんてほとんどしたことなかったので、あまりうまくいかない。

 おかげで、ご飯のたびに「今日も相変わらずまずいですね」と名称未定に文句を言われるのが日常となっていた。

 彼女が料理を用意してくれたら、助かるんだけどなー、と名称未定に対し思うのはわがままなんだろうか。

 ダンジョン帰りってこともあり、クタクタな状態で料理を準備するのは正直しんどい。

 後ろにはベッドで読書に没頭している名称未定の姿が。

 もし、料理の本とか渡したら、料理にハマってくれないかなー、と思うのは流石に都合が良すぎるか……。



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― 新着の感想 ―
[一言] この歪な関係いいね。 本安いのは意外だった
[一言] こういう世界だとだいたい識字率が低かったり印刷技術がなかったりで本は高価なイメージだけど、この世界では安いんですね
[良い点] サクサク読める
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