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追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します  作者: 武蔵野純平
第三章 領地開発

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第46話 ドワーフの名工ホレック

 俺は奴隷商人ベルントから奴隷エルフのマリー・ギルベンダを購入し、その場で奴隷から開放した。


 その翌日。


 早速ルーナ先生とマリーは、エルフの里に帰郷する事になった。

 エルフの里は離れ島で、大陸の西にあると言う。

 エルフ以外は入島禁止で、ごく限られた者しか場所は知らないそうだ。


 俺は転移魔法でルーナ先生たちを途中まで送る事にした。

 俺の行った事のある大陸の西側は、メロビクス王大国西にある小さな町だ。

 地図で言うとアンジェロ領の左下の方だ。昔、魔物退治で訪れた。



挿絵(By みてみん)



「アンジェロ、ご苦労だった。ここからは私の転移魔法で行く」


「お帰りは、いつ頃ですか?」


「二か月後、ここに迎えに来てくれ」


「二か月後ですね。わかりました」


「では。行く」


 ルーナ先生は転移魔法でどこかにゲートを繋いで行ってしまった。

 奴隷から助け出したマリーさんは、最後にペコリと俺にお辞儀をしてルーナ先生の後をついて行った。



 *



 転移魔法と飛行魔法を駆使して、ブルムント地方東部バイセン辺境伯領にあるフライベルグの町にジョバンニを連れてやって来た。

 アンジェロ領から見て東側、地図の右側の方にある鉱山町だ。


「ここか。なんか(さび)れた町だな……」


「フライベルグの銀鉱山は、数年前に閉山されたらしいですからね……」


 俺とジョバンニの目の前には、ゴーストタウンが広がっている。

 まだ昼前だというのに、人影がないのだ。

 ただ人の気配はするので、人口がゼロという訳ではないらしい。


「本当にこんな所に鍛冶師がいるのか?」


「ベルント殿の情報によれば、いるらしいですね……」


 奴隷商人のベルントが、オマケで教えてくれた情報だ。

 何でもこのフライベルグの町に、生活に困窮しているドワーフの鍛冶師がいるらしい。

 俺たちは、このドワーフの鍛冶師をヘッドハントしに来たのだ。


「こんな人のいない町じゃなあ。鍛冶師の仕事もないだろう……」


「銀鉱山が稼働していた頃は、賑やかな町だったと思いますが……」


 俺とジョバンニは、ドワーフの鍛冶師を探してフライベルグの町の中を歩き出した。

 元宿屋、元居酒屋、元商業ギルド……、往年の町の賑わいを思わせる大きな建物が多い。


 日本でも炭鉱が閉山されて、人口が減った町のニュースを見た事がある。

 銀鉱山が廃坑になって住む人が大幅に減ったのだ。


「あっ! アンジェロ様! ここじゃないですか?」


 ジョバンニが大通り沿いの一軒の店を指さした。

 木造二階建てで、剣とツルハシの絵が描かれた看板がぶら下がっている。


 入口の扉を開くと、ギイギイと蝶番が錆び付いた音を出した。

 俺は扉から顔を突っ込んで、店の中に呼びかけた。


「ごめんくださーい。誰かいますかー?」


 返事はない。


「あのー、すいませーん! こちらに鍛冶師はいますかー?」


 返事はない。


 だが、奥の方でかすかに人の気配がする。

 俺はジョバンニを手招きして、店の中に入った。


 店の中には、鉄剣やツルハシ、スコップが陳列してある。

 どれも(ほこり)が溜まっている。

 長いこと売れていないのだろう。


「おおおい! 誰だ? 何の用だ?」


 店の奥から赤ら顔の男が出て来た。

 小柄でずんぐりむっくりした体格、太い腕、モジャモジャの髭。

 間違いないな。この人は、ドワーフだ。


「なんだ? オマエら見ない顔だな? うー、ヒック!」


 酒臭いな! 昼間から飲んでいるのかよ!

 ジョバンニも赤ら顔のドワーフの様子を見て嫌そうな顔をしている。


 どうしようかな……。

 まあ泥酔はしてないみたいだから、普通に話してみるか……。


「あの……、私はアンジェロ・フリージアと申します。私の領地で働いてくれる鍛冶師を探しています」


「鍛冶師ぃ~。おう! お前は運が良いな! 凄腕の鍛冶師が、オマエの目の前にいるぞ!」


 俺の目の前にいるのは、凄い酔っ払いな訳だが……。

 凄腕には見えないのだがな……。


 俺は酔っ払いドワーフの言う事を無視して話を進める。


「それで……、このフライベルグの町に、ドワーフの鍛冶師がいると聞いて尋ねて来たのです」


「おー! そうか! そりゃご苦労さんな! まあ、一杯飲め!」


 ドワーフは右手に持った酒の入ったコップを掲げて見せた。


「あの……、お名前を伺えますか?」


「俺か? 俺の名はカマン・ホレックだ」


「えっ!? あなたが名工ホレック?」


 思わずドワーフの顔を二度見した。

 ホレック一族と言えば、大陸北西部で有名なドワーフの鍛冶氏族だ。

 その中でもカマン・ホレックは、名工として名高い。

 ジョバンニが胡散(うさん)臭そうに赤ら顔のドワーフを見ながら、俺に聞いて来た。


「アンジェロ様、このドワーフをご存じで?」


「直接の知り合いじゃないけど……。名工ホレックと言えば、カマン・ホレックの事だよ。冒険者の間では有名だよ」


「その……、このドワーフの姿から名工というのは、ちょっと想像が出来ないのですが……」


「黒丸師匠の大剣を見た事あるでしょ? あの大剣は名工ホレックの作として有名だ。ドラゴンと五分(ごぶ)にやりあえる剣は、そうはないからね」


「へええええ……」


 ジョバンニは全然信じてないな。

 でも、本当の話だ。


 昔、黒丸師匠が、『これは名工ホレックが手ずから鍛えた逸品である!』と自慢していた。

 いや、でも、この酔っ払いドワーフ親父が名工ホレックなのか?

 単に同姓同名なだけか?


 カマン・ホレックは、床に座り込んでしまった。

 酒を飲みながら、こちらに話しかけてくる。


「ん? 黒丸? オマエさんは、あのドラゴニュートの知り合いか?」


「はい。同じパーティーに所属しています。あの大剣は確か……」


「おう! 黒丸のオリハルコンの大剣は俺が打った!」


 ああ、どうやらこの人が名工ホレックだ。

 カマン・ホレックは、酒をチビチビやりながら愚痴をこぼし始めた。


 やれ町が寂れただの、やれ仕事がないだの、酔っぱらっているから話しぶりがねちっこい。

 俺とジョバンニは辛抱強く、カマン・ホレックの話を聞いた。

 カマン・ホレックの話が一段落した所で俺が切り出した。


「ホレックさんの苦境は良くわかりました。それで……、俺の領地には鍛冶師が必要です。俺の領地に来ませんか?」


「……」


「もちろん給料は払います」


「……」


「俺の領地では、新しい空飛ぶ魔道具『飛行機』を開発します。それには、腕の良い鍛冶師が必要なのです!」


「……」


 俺は熱意を込めて一生懸命話したが、カマン・ホレックはつまらなそうな顔をしている。


「ケッ! オマエら、とっとと帰りやがれ!」


 カマン・ホレックは、突如怒り出した。

 なんだ? 何か俺は悪い事したか?


「うるせーんだよ! 魔道具だか、マン道具だか知らねえが、そんな胡散臭い話に誰が乗るかってんだ!」


「いや、本当の話ですよ! 空を飛ぶ魔道具を……」


「夢みたいな事を言っていんじゃねえ! 出て行け!」


 俺とジョバンニは店から追い出されてしまった。


「参ったな……」


「態度が悪いと言うか……、アンジェロ様が下手に出過ぎでは?」


「いや、ドワーフは総じて気難しい。反骨精神も強いしね。こちらが領主だ、王子だって笠に着たら、もっと激しく拒絶されたよ」


 冒険者として各地を飛び回っている間に、ドワーフとは何回か話した事がある。

 鍛冶師としてもパーティーの前衛としても優秀な奴らだ。


 だが、気難しい事この上ないのがマイナス点だ。

 気心を許してくれれば、情に厚くて良い奴らなのだけれど……。


「仕切り直しだな。今日は帰ろう」


 とにかくドワーフの鍛冶師の居場所はわかった。

 それも名工ホレックだ!


 後はどう口説いて、アンジェロ領に来て貰うか……、だな。


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