第218話 思ったよりも馬賊の数が多いぞ!
俺たちは、馬賊のアジトを上空から偵察することにした。
俺、ルーナ先生、黒丸師匠は、空を飛び。
じいはグースの後部座席に乗る。
サイターマとミスル王国の国境に近づくと、高い高度を周回しているグースを見つけた。
見張り役のグースだ。
俺たちも高度を上げる。
ミスル王国との国境は、かなり南だが二月末の空は寒い。
体を温める魔道具や魔法を開発したいな。
ホレックのおっちゃんの工房に引きこもって、トンカントンカン開発をするのも楽しそうだ。
現実逃避かもしれないが……。
外交だ!
内政だ!
馬賊だ!
――と、仕事で忙しくしていると、前世のように引きこもってみたくなる。
そんなことを考えながら高度を上げて、見張り役のグースと合流した。
グースのパイロットが地上を指さす。
「アンジェロ陛下。あれです!」
「なるほど……。渓谷がアジトか……」
馬賊たちのアジトは、岩場の中にある渓谷だった。
小さめのグランドキャニオンのような場所に池があり、池の周辺に沢山の天幕がある。
池の水は、湧き水なのか、雨水が溜まったのか不明だが、沢山の馬が集まり池の水を飲んでいる。
「ううむ……。思ったより数が多いのである」
黒丸師匠が、馬賊の数の多さに警戒し、唸り声をあげる。
俺はざっと数を数えたが、天幕だけで百を超えた。
「少なくとも、百人はいますね……」
「そうであるな。アンジェロ少年が、大きな魔法を撃ち込めば一発で終わるのであるが……」
「それだと……」
それだと、馬賊の情報が得られない。
これだけの規模の馬賊なのだ。
別働隊がいるかもしれないし、組織だって動いているかもしれない。
馬賊を討伐することを目標にしていたが、情報収集も行動目標に入れたいな。
俺は、そんなことを考えていたが、黒丸師匠は、まったく違った。
「それだと、つまらないのである」
俺は空中でずっこけ、危うく馬賊の上に落ちる所だった。
価値基準が、面白いか、つまらないか。
いや、まあ、良いけど。
もう、ちょっと緊張感を持ってもらいたい。
「黒丸のいう通り。今回、アンジェロは魔法禁止」
「ちょっと! ルーナ先生!」
ルーナ先生が、黒丸師匠の後追いをする。
だが、今回はじいを連れて来ているのだ。
二人の暴走は許さないぞ。
「じい。どう思う?」
「ふーむ。単なる馬賊にしては、数が多すぎますじゃ。捕虜をとって尋問したいですな」
「そうだね。攻め込む前に捕虜をとろう!」
さすが、じい!
まともな意見が出た。
「じゃあ、夜を待って、そっと忍び込みましょう。それで捕虜を取れば――」
「それがしがやるのである!」
「わたしもやる!」
黒丸師匠とルーナ先生が、やる気を出しているが……。
「あの……捕虜を取るだけですよ?」
「大丈夫である。わかっているのである」
「捕まえる。そして、情報を吐かせる」
本当に大丈夫だろうか?
山盛りの不安を感じる。
そして、俺たちは夜を待った。




