第1話 レストラン店員、時々ハンター
まずはじめに、「レストランハンター」を見つけていただきありがとうございます。
亜月です。この作品は私の始めての作品です。最後まで読んでいただけると作者は飛んで喜びます。
こんな私ですが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
ゴォォォォ...
暑い...煙臭い...
パチパチと...火種の飛ぶ音がする...
早く...逃げなきゃ...助けなきゃ...
みんな...ここで死んでしまう...
ラルド...サフィア...待ってて...
いま...助けに......
*****
「マシュゥゥゥゥゥ!!!!」
大声で名前の公開処刑がされた。多分お店中に響いただろう。いや、絶対響いた。恐らく外にまで聞こえたことだろう。開店前だったからよかったものの、お店が開いていたらそれはもう一大事だった。
「なぁにをやったらこんなことになるんだい!」
「すみません!すみません!」
怒声の主は僕が務めているお店の店主、ルビー・アーミスだ。赤い眼が特徴で、よく怒るが優しいときはとても優しい、頼れるお母さんみたいな人だ。今は絶賛お怒り中だが。
そしてペコペコ頭を下げて謝っているのは、先程名前の公開処刑をされたマシュ・ファーラーだ。真珠のような白銀の髪が特徴の小さな人だ。
そんなふたりが今、いつもの日常の様子を繰り広げている。そう。この光景は、いつものことなのだ。
「揚げ物かい?パスタで揚げ物を作ろうとしたのかい?」
「ち、違います!そうじゃなくて…」
「じゃあなんでこのパスタは茹でられてるのにこんなカッチカチで、おまけにパン粉がびっしり付いてるんだい?」
「そ、それは…」
マシュはいわゆるドジというものの類なのだが、世間一般のドジの領域を超えてしまっている。どうしてそうなってしまうのか全く検討もつかないようなことを起こしては、その度にアーミスに怒られているから少しマシュが可愛そうになってくる。というか、こんな異常なほどのドジっ子を厨房に立たせても大丈夫なのか心配だ…料理の腕は確かなのだが…
「まあまあ、今日はその辺までにしておきましょ?アーミスさん。そろそろ開店の時間ですし」
「ん?あぁ、それもそうだね。すまないね、つい熱くなってしまった」
「いえ!それじゃあ僕は開店の準備に戻ります」
つい割って入ってしまったけど、すっと治まってよかった。アーミスの火に油を注ぐとただ事ではなくなる。恐らくマッチのような小さな炎でも、油を注げば一瞬で業火になるだろう。そんなどうでもよいことを思いながら、先程までしていた雑巾がけに戻ろうとすると
クイッ
「?」
袖口をつままれた
つままれた方を見ると…
「.......」
まあなんということでしょう。小さな女の子が無言でうつむいて顔を赤く染めているではありませんか。
これは…!まさか…!
と、下心丸出しな期待を胸にゴクリと喉を鳴らすと
「ありがとうございます…」
「へ?」
予想外の言葉に思わず拍子抜けた声を出してしまった。
とキョトンとしていたのも束の間
「いつも怒られてばっかで、すみません…私、失敗ばかりして、皆さんにご迷惑しかかけていなくて…」
「あぁいや!そんな!とんでもない!気にしなくて大丈夫!」
まずい!これはまずい!このままでは下心がもろ出てしまう…!
「それじゃあマシュ、今日も頑張って。僕は今から雑巾がけに戻ってバケツとか片付けて花の水換えてお客様のお出迎えをするからマシュは料理頑張ってね。じゃ!」
ビューーーーーーン
「え、あの…」
逃げた。完全に逃げてしまった。
心臓バクバクさせながら早口で汗かきながら喋って女の子一人置いて逃げてしまった。
ほんの三、四メートルだけど。
仕方ないじゃないか!あのままだと完全に僕の想いがバレてしまうとこだったんだぞ!もしバレたら僕は死ねるね!家に引こもる!引きこもったら死んでないけど!
そんなことを一人で心の中の誰かに言いながら、僕は雑巾とバケツの片付けを始めた。
そう、僕は知らぬ間にマシュのことを一人の女の子として見ていたのだ。
*****
「ありがとうございました」
日も暮れて夜になり、最後のお客様が帰られた。
お店中の椅子を上げ、雑巾がけをする。
「あぁ、誰だよコーンぼろぼろ落としたの…」
そんな独り言を言いながら最後の仕事を終わらせる。
「みなさんお疲れ様でした!」
「あぁ、お疲れ様」
着替え室に行き、黙々と着替える。ここには僕以外に何故か男性は働いていないからこの時間はなんだか寂しい。
良いし、変わりにハーレム気分を味わえるからね!
と励ましたいとこだが実のところ、僕のことを好きだと言ってくれる人は一人たりともいない。
……泣いていいかな。
このお店には、僕やアーミス、マシュの他にも色々な人が働いている。
その皆が知っている事だが、このお店には閉まった後に入ってくるお客様がいる。
いや、正確にはお客様ではない。
「今日も来るんですか?」
「うん、多分来ると思うよ。」
静かに聞いてきたマシュとそんなことを話していると
コツッコツッ
「ほら、噂をすれば」
足音に気づき入口の方を見ると、二人の影があった。
僕が制服から着替え、店に戻るとほぼ同時に来る人たち。
背の高い男性と、痩せた女性だ。
ッバァン
「ようダイヤ!」
勢いよく扉を開けたのは背の高い元気な男性、ダムル・ラルドだ。綺麗な緑色の瞳をしている割には性格の荒い人だ。
「はぁ…もっと優しく開けることは出来ないんですかあなたは…お疲れ様です。ダイヤさん」
落ち着いた口調で入ってきたのは赤い瞳の女性、ファイス・サフィアだ。冷静な落ち着いた立ち振舞から、周りからは氷の炎という矛盾の一言しかないあだ名で呼ばれているが、夢中になったりすると氷要素は微塵もなくなり、暑苦しいくらいに夢中になることもしばしばある。
「来たか、ラルド、サフィア」
そして彼らが言っているダイヤと言うのが僕の名前、ダイヤ・フローディだ。
僕は、お店の店員以外にもう一つ働いているものがある。副業、いや、こっちの方が本職かもしれない。
僕のもう一つの顔。
それは…
「それじゃあ行こうか」
「あぁ、いつでも行けるぜ!」
「準備は出来ています」
猛獣狩り。
ハンターだ。
この度は、「レストランハンター」を手に取って頂き、誠にありがとうございます。
亜月です。小説家になろう様での私初の試み、作品を作る。私なりに頑張ったとは思っているのですが、皆様の心に残る作品ができたでしょうか。私には正直分かりません!が、頑張ったので自分で自分を褒めておきます。(えらいえらい)
この「レストランハンター」は、完全オリジナルなのですが、当然キャラクターの皆にはモチーフがいます。例えば最後にでてきたダイヤの仲間のラルド。私の友人をモチーフにしています。元気が取り柄のような人なのですが優しさの塊のような人です。なので今後の展開にそんな所も出てくるかも...?
この作品は連載を予定しているのでこれからも頑張っていきます!なので応援して頂けると嬉しいです!