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神様チートは美少女《ヒロイン》のもの!  作者: 文月蜜夜
第一章 少女と幼馴染と共同生活
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少女と幼馴染と『ふどーさんや』

書きたい話を書いてるとどんどん長くなる。

「ここが『ふどーさんや』よ!」


 リンがアリスに案内されてきたのは東側の通りを進んだところにある、一見何の変哲のない普通の一軒家だった。辛うじてドアの上に吊り下げられている家のマークをした看板が無ければ店だとは気が付かないだろう。

 アリスがドアを開けると鈴の音が鳴り従業員に来店を知らせる。

 すぐに奥から足音が聞こえ、奥から従業員と思われる大柄の男が出てくる。

 この辺りでは珍しい黒髪をオールバックにしており、ぴっちりしたシャツは男の筋肉を見せつけている。


「ようこそー…って、アリスちゃんか!王都に帰ってきてたのか!」

「マサヒトさん、お久しぶりです。丁度今日帰ってきたところです」

「ということは前言ってた家の件だな?」

「そうです!」

「で、そっちの嬢ちゃんがアリスちゃんの言ってたリンちゃんだな?」

「初めまして、リンです」

「おう、聞いてたと思うがここで『不動産屋』を営んでいる正人って者だ。よろしくな!」


 腕に力を籠め二頭筋を誇示してきながら自己紹介をしてくるマサヒト。なるほど、どうやら彼は見せつけたいタイプの人種らしい。

 珍しいものを見るかのような目でリンが、筋肉に対して輝かんばかりの目でアリスが見つめる。


「相変わらずすごい筋肉ですね!」

「はッはッはァ!褒めてもポージングぐらいしか出んぞ!」


 そういうと、マサヒトは体を横に向け、左手を握りへその辺りに構え右手で手首を抑える。左足を軽く曲げ胸に力を入れる。


「はいッ!サイドチェスト!!」


 マサヒトの筋肉が膨張しピチピチだったシャツが更に引き伸ばされる。今にも破れそうになっておりいつマサヒトの裸体がさらされてもおかしくない。

 10秒ほどそのポーズで制止すると構えを解く。


「やっぱりマサヒトさんの筋肉はすごいや!」

「だろう?さて、不動産の話だったね」


 まるで何事もなかったかのように話を進め出すマサヒト。

 マサヒトは机の引き出しから書類を取り出す。


「あ、そのまま進めるんですね…マサヒトさんがどんな人かわかった気がします…」


 リンがぼそりと呟く。

 その間に資料を用意し終えたマサヒトはリン達を商談用の机に案内し椅子に座らせる。


「さて、事前にアリスちゃんからある程度要望は聞いていたからな。手頃そうな物件を幾つか見繕っておいた。とりあえずは見てくれ」


 机の上に5枚の家の間取りが書いてある書類が並べられる。リンとアリスはそれぞれその中から適当に書類を選び抜き取る。


「ふむ、台所完備で部屋は3部屋。トイレも魔術式で魔法が使えるならお風呂もあると…これで一ヶ月金貨2枚と大銀貨3枚か…」

「その家屋は、元々高名な冒険者が住んでいた家でそれなりに設備は整っている。ちと家賃は高くなるがもうすぐBランクに上がるアリスちゃんなら払えないことはないだろう。だから俺の一番のおすすめはその家だ」


 貨幣は一番価値の低い鉄貨、大小2種類ある銅貨、銀貨、金貨の順で価値が高くなる。10枚ごとに1つ上の貨幣になりパン1つが大銅貨1枚と銅貨5枚なので、単純にアリスの見ている家の家賃はパン1530個分の値段になる。

 リンが目を通している書類には風呂は無く、トイレも堀穴式で中にたまったものを魔法で片付けるといったものだ。これで家賃が金貨1枚と大銀貨5枚なら少し高いがアリスの見ている家がいいだろう。


「マサヒトさんのおススメなら間違いないですね。ここにします」

「アリス、そんなに高くても大丈夫なの…?私、お金全然持ってないよ…」


 申し訳なさそうにリンがアリスに問いかける。少なからず村にいたときはリリアの仕事を手伝っていたので少しばかりはお金だってあるが、それでも一月分の家賃がやっとといったぐらいだ。となると、家賃を払うのは殆どアリスになるあろう。しかも、この後の生活用品などもアリス持ちなのだ。非常に肩身の狭い思いになりリンは縮こまる。

 そんなリンの頭をアリスは優しげに撫でる。


「大丈夫だよ、リン。王都に連れてきたのは私のわがままなんだしお金なら出すし面倒ぐらい見るよ」

「でも…何でもかんでも頼り切るのは申し訳ないし…」

「なら、リンが王都でお仕事見つけたら家賃を少し出してもらおうかな、それまでは私が払うからさ」

「うぅ…ありがとアリス」

「どういたしまして」

「ということは、アリスちゃんの見ている家に決めたってことだな?」

「はい、手続きをお願いします」

「よっしゃ、必要事項を記入する書類を持ってくるから少し待っててくれ」


 そういいマサヒトは奥の部屋に書類を取りに行く。

 彼の背中を見送ったアリスはリンを抱き寄せ頭を撫でまくる。リンはされるがままに心地よさそうに目を瞑る。


「あー…アリスちゃんとリンちゃんはそういった仲なのか?」


 そこにマサヒトから声がかかる。

 ビクリッとリンの肩が跳ねると慌ててリンはアリスの抱擁から逃れる。


「あの、えっと、これは…」

「私とリンはとっても仲良しだよ!」


 リンが赤面してあたふたしている内に無邪気にアリスが答える。

 リンはアリスの方を見るがアリスはニコニコと笑顔を浮かべており真意は読めない。


「いや、まぁ俺としては全然いいと思うし何ならごちそうさまでしたと言いたい」

「うん???何も奢ってないですよ?」

「いやこっちの話だ、気にしないでくれ」

「???」


 恥ずかしさでリンが動揺している内にアリスとマサヒトの会話が進んでいく。


「いいもん見せてもらったし契約に進んでいくか!初めに契約前の注意事項から行くぞ?後で資料も渡すからとりあえず大事な部分だけ説明していくからな」

「お願いします」

「お、お願いします」


 動揺から立ち直ったリンはまだ若干顔は赤いもののマサヒトの話に集中する。


「まず家賃の話だが基本的に冒険者は命がいつ失われるか分からない職業だ。家賃はこの場で1月分の金貨2枚と大銀貨3枚納めてもらう」

「当たり前だね。死んだら払える人がいないからね」


 その後も解約の際の手続きの仕方や、備品や家具の破損した時、災害に見舞われた時のことなどの説明があった。


「と、最後に大事なことだがうちは入居して7日間なら全額返金で入居を取りやめれるようにしている。まぁ、これは俺の故郷にあった制度なんだが資料で見たものと実物に差異があった場合に商品…この場合は家屋の契約だな、それをお金を全額返金して商品を返品できる制度だ。もし、気に入らない場合があれば7日以内なら解約できると覚えておいてくれ」

「わかりました」

「よし、じゃあ内容に同意できたら契約書に署名と一月分の契約料を出してくれ」


 アリスはマサヒトから契約書類を受け取ると自身の名前を記入し、針で親指を軽く差すと滲んできた血で血判を押す。しっかりと判が付いたのを確認すると小さく回復魔法を唱えると傷を治す。そして、床に置いていた荷物からお金を取り出すとマサヒトに渡す。


「アリス、回復魔法まで…」

「うん、軽度の怪我なら治療ができて便利だし何よりリンが怪我しても治せるからね!」

「…アリスってなんでそんなに真っ直ぐ好意を伝えてくるの」

「もちろん、リンが好きだからだよ?」

「あ、あぁ…にゃあ///」

「かーわい!」


 偽らざる真っ直ぐな好意にリンは顔が真っ赤になり湯気が出そうなほど熱くなる。あまりの恥ずかしさに思考が溶け言葉が意味を持たない音となって絞り出される。そんなリンを見てアリスは微笑む。


「あー、とりあえず契約書類はこれで終了だ。あまったるいことは新住居に行ってやってくれ、ブラックでコーヒーが欲しいぜ…」

「ありがとうございます」


 お金と書類を確認し終えたマサヒトが苦笑いしながら言葉を挟む。

 そんなマサヒトにアリスはお礼を言う。


「住居の場所は一応地図があるがわかるか?」

「えっと…正面門から真っ直ぐ行って…ハンターギルド通りを東に…はい、ここならわかります」

「よし、どうしてもわからなかったらここに来るか巡回兵に聞けばわかるだろう。これは鍵だ、予備含め3つある。もしなくしたら早めにうちに来てくれ、新しい鍵に変えなきゃならんからな」

「わかりました」


 アリスが返事すると今だ思考停止していたリンを再起動させると荷物を背負い『ふどーさんや』から出る。


「マサヒトさん、ありがとうございました!」

「あ、ありがとうございました」

「いいってことよ、これが仕事だしな!」


 マサヒトに見送られながらリンとアリスはお礼を言い新居に向けて歩き出した。


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


「リン、あれがハンターギルドだよ」


 アリスが指差した先をリンが見るとそこには、木造三階建ての貴族の屋敷と言われても信じられるくらい大きな建物が建っていた。


「一階が酒場兼受付があって、回復魔法が使える術師が常駐しているから簡易的な治療施設もあるんだ。魔物の素材はギルドの一階で買取してくれるんだよ。二階は商談室や住み込みで働いている従業員の家になっていて、三階にはギルドリーダー…えっと、ギルドで一番偉い人の執務室や緊急時の会議室なんかもあるんだよ」

「へー、そう言われると大きいのも納得だね」

「後でご飯食べに行くし詳しいことはその時話すね」

「うん」


 そういい、ハンターギルド通りの十字路を右に曲がり東に進んでいく。

 道中には武具屋や八百屋、衣服屋などの店のほかに露店で装飾品などを売っている店もある。この辺りの通りは住人の生活に直結しており、昼前の時間ということもあり人通りも多い。

 暫く街並みを眺めながら歩くと店の数が減り代わりに住居の数が増えてきた。


「んーと…あ、あったあったここだよ!」


 アリスが駆け出しリン達の新居の前で立ち止まる。

 そこには立派な二階建ての家が建っていた。

じっくりじっくり行きたい。

筋肉さんの出番はまだまだあるよ。モストマスキュラーとか書きたいw

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