エピローグ
いったん完結。
リンが鑑定士試験に合格してから数週間。
リンはアリスと二人で祝った次の日、職場仲間であるディビアーノ達に祝われ仲間内でちょっとしたお祭り騒ぎにもなった。
更にその次の日、今度はアリスのパーティであるフローレンス、フェルマータ、ロゼッタにも祝われフローレンスのポケットマネーでお高いお店にも連れて行かれた。
「えっと、この爪は欠けてて…こっちの牙は状態がいい。毛皮も奇麗なものと使えないもので分けて…」
そんなリンは今、ギルドの裏方で納品されたアイテムの鑑定をしていた。
ハンター達が依頼で狩ってきたシャドーウルフの討伐部位を手早く鑑定しており、状態の良いもの、品質の良いものを分けつつ、別の魔物の素材や物が混ざってないか丁寧に見極めていく。
それから30分ほどして、20匹以上のシャドーウルフの素材を鑑定し終えると別の職員に鑑定した素材を受け渡しハンターの対応に行ってもらう。
「ふぅー」
手を洗い手拭いで汗を拭うと休憩室で一息つく。
「お疲れ様、リン」
「あ、ディビアさん、お疲れ様です」
「はい、これ」
ディビアーノは両手に持ったカップのうち片方を差し出す。
「ありがとうございます」
リンは両手でカップを受け取るとディビアーノにお礼を告げる。
冷えたカップはリンの両手に宿った熱をじんわりと奪っていく。
「リンもすっかり受付嬢と鑑定士が板についてきたね」
「流石に半年以上務めていたら慣れてきますよ」
「そうだとしてもリンが鑑定士として仕事ができるようになってこっちは大助かりだよ」
事実、リンが務めているギルドには鑑定士がリンを含めて3人しかおらず、リンが受かるまでは2人で日々ハンター達から納品される素材を鑑定するという激務を回していたのだ。先輩鑑定士である人達からもかなり感謝されたのをリンは今でも覚えている。
「さっきの鑑定で今日の仕事は最後だったし、リンは今日はもう上がる?」
「そうですね…夕飯の買い出しもあるので上がらせてもらいます」
「わかった、お疲れ様リン。明日もよろしくね」
「はい、ディビアさんお疲れさまでした。お先に失礼します」
ひらひら、と手を振るディビアーノに一礼するとリンは身支度を整えギルドから出る。
いつも見る夕焼けが一日の終わりをつげ、夜の帳を誘ってきているように感じなんだか明日も楽しみな気分になったリンは高揚した足取りで今夜の献立を考えながら雑踏の中に踏み出していった。
2章以降はちょっと考え中。




