少女と幼馴染と試験結果
鑑定士試験から2ヶ月後、リンは今日もギルドでの仕事を終え自宅に帰っていた。
「ん~、今日も疲れた~」
夕暮れに染まる街を歩いて帰りながら、デスクワークで凝り固まった筋肉を伸ばす。
「そういえば、そろそろ結果が帰ってくる頃だったけ?」
ふと、脳裏に思い出したことをつぶやきつつ家の前にたどり着くとアリスが待っていた。
「リン、おかえり!」
「ただいま、アリス。どうしたの?」
アリスが家の中ではなく外で待っていたのに疑問を持ったリンがアリスに尋ねる。
「ふふ、はい、リンこれ!」
「?なにこれ?」
アリスがリンに向かい筒状にまとめられ封蝋のされた手紙を差し出す。
それが何かわからず、リンはアリスに尋ねる。
「鑑定士協会からだって」
「!ということは!」
「そう!結果が返ってきたみたいだよ!!さぁ、早く上がって開けようよ!!」
アリスに背中を押されリンは玄関をくぐり台所へと連れられて行く。
「ちょ、ちょっとアリス!落ち着いて…」
「ご、ごめん。リンが受かってるかどうか気になっちゃって…」
リンが注意するとアリスが少し気まずそうに頬を掻きながら謝る。
今まで支えてきてくれたアリスの気持ちもわかりつつ、自分より興奮している姿を見てリンはくすりと頬を緩ませ笑う。
席に座ると対面にアリスも座り、リンの様子をうかがう。
封蝋された紐をナイフで切断し外す。
緊張で口の中に分泌された唾液を飲み込むとゆっくりと合否通知を広げていった。
しばらく無言で目を通していき一呼吸つく。
「ど、どうだった?」
アリスが声を震わせながらリンに尋ねる。
ゆっくりと合否通知から顔を上げアリスに向き直る。
「…受かってた」
リンは目じりに涙を浮かべながら、花の咲いたような笑顔をアリスに向け鑑定士試験に合格したことを伝えた。
ガタン、と椅子を倒しながら席を立ったアリスはリンに駆け寄る。
「おめでとぉ!!!リン!!!!!」
「わ、危ないよアリス…でも、ありがとう」
リンを抱きしめながらアリスは祝いの言葉を告げる。
椅子に座りながら抱きしめられたので少々危なかったがしっかりと抱きしめ返しお礼を言う。
「じゃあ、今日はごちそうだね!」
「そうしよっか」
もともと決めていた通り、リンとアリスは二人きりでリンの鑑定士試験合格祝いをするのだった。




