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神様チートは美少女《ヒロイン》のもの!  作者: 文月蜜夜
第一章 少女と幼馴染と共同生活
33/35

少女と幼馴染と鑑定士試験②

これ含めて後2話+エピローグでした。

—―昼休憩。


 リンは会場内にある椅子に座り、持ってきたお弁当を開く。

 このお弁当はディビアーノが用意してくれた。中身はパンに野菜やチーズ、肉を挟んだものが入れてあった。

 それと一緒に手紙も入っていた。

 その手紙にはディビアーノやギルドの先輩職員、アリスとそのパーティメンバーからそれぞれ応援する言葉が書かれていた。


「ディビアさん、アリス、皆…」


 嬉しさに顔を綻ばせる。

 それと同時に午後の実技に向けてよりいっその気合を入れるリン。


「絶対合格するからね」


 頬張ったパンから皆の思いを感じた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「よし、全員戻ってきているな?」


 昼の休憩が終わり、試験部屋に戻りしばらく待機していると試験官が戻ってきた。


「実技試験は別の部屋で行われる。5名ずつ案内を行う、名前を呼ぶから呼ばれたものは荷物を手にして部屋の外にいる試験官を先頭に並ぶように。また、実技試験は終わったものから順次帰るように。それから…」


 その後、試験官が説明を終えると前の席から5名の名前が呼ばれ実技試験を行う会場に連れていかれた。

 実技試験を行う会場は多いみたいで、以外にも早くリンの名前が呼ばれた。


「では、これより実技試験の会場に向かう。私語は慎み、私の後をついてくるように」


 そういい、男性の試験監督官はリン達を連れ会場に向かう。

 石畳の廊下を歩いて行くと他にも試験を受けていると思われる受験生たちとすれ違う。

 中にはエルフや獣人、王国付近にはあまり住んでいない竜人などの受験生もいた。


 しばらく歩いていると廊下に椅子が置かれている部屋にたどり着いた。


「実技試験は一人ずつ部屋の中に入り行ってもらう。名前を呼ばれたら順次入室するように。それまでの間はそこの椅子に座って待機しておくように。では、先頭のリューレンから」

「はい」


 先頭だった男性が部屋の中に入室していく。

 リンは3番目だったので少し時間がかかりそうだなと思い、椅子に座り待機する。


 15分程時間が経ったぐらいだろう。

 2番目に座っていた女性が部屋への入室を促された。

 これはすぐに呼ばれると思ったリンは何度か深呼吸を行い息を整える。

 程なくして、会場である部屋の扉を開けて出てきた試験官がリンの名前を呼ぶ。


「受験番号52、リン。入室してください」

「はい」


 返事をすると試験官に促され入室する。

 会場は移動式の壁で5つの小部屋に分かれていた。

 試験官に案内されるがままに続くと部屋の中には3種類、3束の草が机の上に置かれていた。


「ではこれより問題用紙を配布する。制限時間は10分、それぞれの正式名称、取引価格、鑑定の際に見るべき特徴、取り扱う上で気を付けることを記入するように。机の上に置いてあるものは手に取って観察しても構わない。質問はないか?」

「はい、取引価格は一般にギルドで買い取る価格でよろしいですか?」

「それで構わない。では問題用紙を配布する、受け取ったら受験番号と氏名を記入するように」


 リンの手元に問題用紙が配布される。自身の名前と受験番号を記載する。


「よし、記載したな?では、はじめ!」


 机の上に置かれた白い手袋を付けると目の前に置かれた草の束から一つを手に取る。

 葉の裏や葉脈の走り方、葉っぱの特徴や茎などを観察していく。

 どうやらこれは『リシア草』のようだ。ギルドでもよく取引されており、流通は多いため値段も安く一束銅貨15枚で取引される。

 ディビアーノと共に学んだ際の特徴と注意点を記載していく。


(よし、次は…全体的に白っぽくて裏面にピンクの斑点がある…。茎は白い筋が入った緑色、『アルフラー草』か…)


 『アルフラー草』は毒草の一種で素手で触っても問題はないが採取する際には手袋を着用することがすすめられている。葉の裏にピンクの斑点があるのが特徴で、葉を磨り潰した時に出てくる液体に麻痺毒の成分が含まれており、矢じりや武器の先端に付け使用する。小さな生物には有効だが体が大きな生物には効果が薄く、人間の子供ぐらいだと殆ど効力が無くなるため主に小さな害獣の捕獲に使われる。1束銅貨45枚とそこそこの値段がする。


 回答を書き終わり最後の1束に手を伸ばす。

 最後はディビアーノとの対策会でも出題された『水面草』でこれもさらさらと記載を終える。


 何度か回答を見直し、補足の記入を済ませると丁度時間が経ち試験官が手を止めるように合図を出した。


「そこまで!問題用紙と解答用紙を回収する、手を止めるように」


 リンの問題用紙と解答用紙が試験官に回収される。


「よし、名前に受験番号は記載されているな。案内の試験官に従い次の部屋に行くように」

「ではついて来てください」

「はい」


 荷物を背負い試験官に続く。

 その後の部屋で、鉱山やダンジョンなどでとれる鉱石関係、倒した魔物の素材関係、魔物から取れる魔石関係、ダンジョン等から見つかる遺失物関係の実技試験をすべて終えるとリンは退出を促され試験官によって会場の外まで案内された。


「では、本日の試験は全て終了となります。結果は後日リン様宛に手紙を送らさせていただきます」

「はい、ありがとうございました」

「貴方が受かっていることを心より願っております。ではお気をつけて」

「はい」


 リンは頭を下げ礼を取ると自宅に向けて歩みを進める。


(そこそこ…かな?ディビアさんやアリスと行った対策は結構生きたし、自分で勉強した範囲はかなりできた自信がある。難問か不安な部分もあったけど概ね自信アリ、かな?)


 リンは今日の出来について頭の中で振り返りながら歩いていると、いつの間にか自宅前まで帰ってきていた。

 玄関を開け家に入るとドタドタ、と廊下を走る音が聞こえた。


「リン!おかえり!」

「うん、アリスただいま」

「試験お疲れ様、今日は食事も私が準備するからゆっくり休んでね!」

「ありがと、アリス」


 アリスの笑顔に釣られリンは、自然と微笑むと疲労が一気に来たのかよろめいた。

 すかさず手を出したアリスはリンの体を抱き寄せ支える。


「大丈夫?」

「うん、ちょっと疲れが溜まってたみたい。ありがと」

「そっか、じゃあちょっとベットで休もうか」


 そういい、アリスはリンをお姫様抱っこする。


「ちょ、ちょっとアリスぅ!!?」

「リンは軽いね、ちゃんと食べてる?」

「お、おろ、降して!!!」


 顔を真っ赤にしアリスの腕の中でリンは弱弱しく抵抗する。


「ほら、疲れてるんでしょ?私が運んであげるから大人しくしようね」

「うぅ~///」

「かぁ~わ~い~い~」

「もう///恥ずかしいから早く運んでぇ…///」


 弱音を吐きながらリンはアリスにベットまで運ばれた。

 恥ずかしさのあまりよく覚えていないがリンは一通りベットで悶えた後、疲労からいつのまにか寝てしまった。

とりあえず頑張るぞ。

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