少女と幼馴染と別れの話
後1話で序章終了です!
意外と長かったけど頑張ります。
アリスから突然の別れの言葉を言われたリンは驚きのあまり固まる。
心中では、なんで、どうしてといった気持ちが渦巻く。そんな、渦巻いている思いを口に出すより早くアリスの言葉が続く。
「私のスキルと加護のことなんだけどね」
「うん」
真剣な声色のアリスに対し、リンは姿勢を正して聞く。
ここまで真剣なアリスはあまり見たことがない。
「スキルは武器系や体術系に関わるスキルは身に付いていたよ。それと合わせて魔法系のスキルも幾つか…加護は剣神アストゥール様、魔神ディティア様、力神ゴスオエル様の3柱から頂いていたよ…」
「そう…なんだ…」
才能という言葉が生ぬるいほどの圧倒的な才能。
通常、スキルはこの年なら天才や神童でも3つ。加護にいたっては1つでも授かっていたらすごいものなのだ。それが3つも。正直に言って異常な数だ。
「だからじゃないんだけど、今まで何となく身に付けてきてたスキルを学校でもっとしっかり使えるようになりたいと思ったんだ」
真剣な表情の中、瞳の中には燃えるような意思が宿っている。
(あぁ、これは何を言っても王都に行くんだろうな…)
リンは知っている。アリスは自分で一度言ってことを絶対曲げないことを、そして何が何でもやり遂げることを。だから、ここでいくら引き留めようと無駄なことを知っている。
「僕が引き留めたところで無駄なんでしょ?」
「うん、ごめんね」
「いいよ、アリスはアリスのやりたいことをやるべきだと思う」
「リン…ありがとう…」
アリスが泣きそうな、それでいて嬉しそうな声でリンにお礼を言う。
「本音言えば行ってほしくないよ?僕、アリス以外に友達いないから…」
「それは、うん、リンはもっと友達作る努力した方がいいと思うの」
「それは言わないで…」
クスクスとアリスが微笑む。
夕日に照らされたアリスの微笑みは見る者を魅了した。それはリンとて例外ではなくあまりの美しさにしばしの間惚ける。
アリスの話によると王都の学院は3年制で優秀な成績者には補助金等も出るみたいだ。
「そっか、学院に行けるとなったら少なくとも3年間は向こうで過ごすんだね…」
「うん、王都からは片道馬車で7日かかるみたいだし帰ってくるのは3年後になると思う」
「でもそうなるとアリスのお父さんとお母さん説得しないとね」
「あ…そうだった」
「もー、行ってもいいって許可すの僕じゃないんだよ?」
「リンお父さんたち説得するの手伝って!」
「しょうがないなぁ…」
「ありがとー!大好きだよ!リン!!」
そう言うと、アリスは思いっきりリンを抱きしめる。アリスはリンより背が高いので、リンの頭はアリスの胸元に抱き寄せられる。
12歳同士とはいえ、外で活発に運動しているアリスと家や草原で1日本を読んで過ごしているリンとでは成長に差が出て当然だろう。アリスの成長途中だが確かにある胸の感触にリンは赤面する。
「アリス!?あた、当たってるから!!?」
「リン、とってもいい匂い…スーハースーハー」
「匂いを嗅ぐなぁあああああ!!!!!」
リンの絶叫が町中に響いた。
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