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神様チートは美少女《ヒロイン》のもの!  作者: 文月蜜夜
第一章 少女と幼馴染と共同生活
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少女と幼馴染と王都立図書館

 先輩受付嬢から鑑定士のことを聞いたリンは休日を使い王都にある図書館にやってきていた。


「大きい…」


 リンの目の前にはギルドよりもさらに高い4階建ての建物が(そびえ)え立っていた。

 

『王都立図書館』

 世界中から多くの著書が集められている。

 魔法に関するもの、生物に関するもの、鉱石に関するもの、武器に関するものなどなど…有名、無名に関わらず本が収められているここはまさに知恵の宝庫と言うべき場所だろう。


「いつまでも立っているわけにいかないし早速中に入ってみよ」


 リンは図書館の扉を開き中に入る。

 扉を開けると本特有の髪とインクの匂いが鼻孔を擽り、館内に小さく聞こえる紙を捲る音が鼓膜を刺激する。

 受付には老齢の男性と、片メガネをかけた男性がおり入館料と図書館での注意事項を聞いたリンは早速自身の探している本を探しに行くのだった。


 1階には伝記や英雄譚、御伽噺などの書物が、2階には植物、鉱物、生物、魔物等に関する雑多な書物が、3階には魔法に関する書物が収められており、4階には古代遺跡やダンジョンから発見された古の書物、権限のある人にしか見せられないような書物といったものが収められており一介の受付嬢であるリンには縁の遠い世界である。

 今回リンは鑑定士の試験を受けるために必要な知識を予め鑑定士の先輩や、ディビアーノから教えてもらっており必要そうな本を選んでいくのだった。


「えっと…まず、植物と魔物系統かな…ディビアーノさんも魔物系はよく覚えておいた方がいいって言ってたし今日はそこを重点的に勉強しよ」


 そう言い、『必見!王都付近に生える野草大全集』と『魔物解体書』『ここを捌けば大体魔物に勝てるらしい』『魔物の美味しい仕留め方』といったディビアーノにお勧めしてもらった本を手に取る。


「…本の題名もうちょっとどうにかできなかったのかな」


 リンは苦笑いしつつもそれらの本を持って日差しが差し込む窓際の席に座る。

 窓際からは王都の街並みを見ることができ、眼下では親子で買い物に行く人々、元気に駆け回る子供、仕事に並走する人々を見ることができなんだか自分の知らなかった一面を見ている気分になるリン。

 一番ネタ感に溢れる『ここを捌けば大体魔物に勝てるらしい』は後回しにして『魔物の美味しい仕留め方』から読むことにする。正直これもネタ感がすごいと思うリンだったがディビアーノがお勧めするぐらいなのだ。相当いい本なのだろうと思い本の内容を読み進めていく。


—―6時間後。


「まさか、こんなに参考になるとは…」


 リンは昼食のサンドイッチを途中に挟みつつもほぼ6時間通しで4冊の本を読み終えていた。

 最後の本、『ここを捌けば大体魔物に勝てるらしい』はお勧めされた本の中でも一番参考になった。

 魔物の素材を品質を落とさないように仕留める方法からどういった状態が品質の良い物かなど挿絵を挟みつつ分かりやすく解説されていた。

 リンも村に住んで居た頃近場の森で仕留められた魔物が村中央で解体されたりしているのを見ていたため、なんとなく見たことある魔物が書かれており懐かしい思いをしていた。


「さて、結構いい時間になっちゃったしあまり遅いとアリスも心配しそうだし今日はもう帰ろうかな」


 そういい、本を返却口に返すと一つ伸びをして背筋を伸ばす。

 筋肉が伸びる気持ちよさを味わいながら今日覚えたことを脳内で反芻する。

 リンは鑑定士の試験を丁度6か月後に受けようと考えている。

 そのため、覚えることも多く殆ど学んだことのない鉱石関係、魔物関係は覚え事が多くこれから大変そうだと内心思うのだった。


「さーて、夢に目指して頑張るぞ」


 思い返しながら気合を入れたリンは帰路に着くのだった。

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