少女と幼馴染と鑑定士
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お話を進める回
数日が経過し、リンは受付嬢としての研修期間を終え一人で受付の仕事を任されるようになっていた。
「お気を付けて行ってらっしゃいませ」
本日6組目になるハンターのパーティを見送ると、リンの列に並んでいた人々は居なくなっていた。他の受付もお昼付近ということもあり比較的人は少なく、リンが補助に入らなくても大丈夫そうだった。
お昼にしようと思ったリンは、他の受付嬢に席を離れることを伝えると裏方の食堂に向かう。
いつものように定食を頼んだリンは空いてる席に腰掛け昼食を取る。
「このお魚よく味が染み込んでて美味しい...」
魚の身をほぐしながら素直な感想を口にするリン。
リンは食堂で出される魚の煮付けを特に好んでおり、2日に1回は煮付けを食べている。
食堂で出される煮付けは全て同じものでは無く、日によって魚の種類が違ったり、煮汁の味を変えたりと食べる者のことを考えた工夫がされておりリンも料理を作る側の人間として見習うべき所があると常々感じていた。
「あれ、リンちゃんもお昼?」
リンが美味しそうに食事をしていると女の人が声をかけてきた。
「お疲れ様です、丁度一段落したところでしたのでお先にいただいてます」
「真面目ねー、そんなに畏まらなくてもいいのよ?」
「僕の性分なのでこればかりは」
「まぁ、日も浅いしこれから仲良くしていきましょ」
「はい、よろしくお願いします」
数日で職場の人と打ち解けたリンは、時たまこうして食堂で出会った人と雑談しながらお昼を食べていた。
誰に対しても丁寧な態度で接するリンはハンター達だけでなく、ギルド全体で好意的に受け止められ特に同じ受付嬢からは可愛い可愛いと評判だった。
「そういえばリンちゃんは何で受付嬢になったの?」
他愛のない話を続けていると、先輩がふと疑問に思ったのかリンが受付嬢になった理由を尋ねてきた。
「僕が受付嬢になった理由ですか?」
「そうそう、ちなみに私はお金目的!受付嬢って意外とお給金が良いからね~」
「あはは、そうなんですね」
「そうそう、お金はいくらあっても足りないからね!」
奇麗なお姉さんタイプの先輩が金銭欲に塗れた発言に愛想笑いを浮かべつつもその通りだな、と内心リンも同意していた。特に、今はアリスが家賃を払ってくれているためお金の話には敏感なリンだった。
「それで、リンちゃんはどうして受付嬢になったの?」
「僕は自分の得意なことを考えた結果と自分のやりたいことが一致したからですね」
「ほうほう」
顎に手を当て、目を光らせる。
美人がやると様になるなー、と思いながらリンは話を続ける。
「僕は鑑定士になりたくて受付嬢になったんですよ」
「へぇー、鑑定士になりたくて受付嬢に…珍しいけどそれが自分のやりたいことと得意なことに合致するんだね」
「そうですね、僕は知識に貪欲で色々な本をたくさん読んで知恵を身に着けていたんです。なのでそれを活かした仕事がしたいと思いまして」
「そうなんだ、それにしても鑑定士かー。大変な道だけどリンちゃんならいけそうだね」
「大変なんですか?」
「そうだよー、鑑定士って間違えた鑑定をしてしまうとハンターにもギルドにも大きな損失を伴うし、責任が伴われてくるからね。当然、ギルドが然るべき試験を実施してそれに合格したら鑑定士の資格を得られるからねぇ~。同僚が鑑定士になるまでには3年ぐらい試験に挑戦してようやくだったみたいだよ」
「かなり大変ですね…」
「そうそう、薬草から魔物の素材、鉱石の知識。本当に多くの知識が必要だからね…リンちゃんも鑑定士目指すなら頑張って!」
「はい、頑張ります!!」
そこから先は鑑定士試験が年に2回行われることや試験の概要、筆記試験と実技試験があることを聞いたりとリンが実際に鑑定士になるために何をするべきなのか相談したりととても有意義な昼休憩になったのだった。
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