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神様チートは美少女《ヒロイン》のもの!  作者: 文月蜜夜
第一章 少女と幼馴染と共同生活
20/35

少女と幼馴染と一方その頃

ちょっと、リンから離れた話が今回と次回続きます。

「では、次の場合の対処として正しい方法を答えてください」


 ディビアーノにマニュアルを渡され、1時間と少しの時間熟読したリンは持ち前の記憶力の良さを活かしてディビアーノの問答に対して的確な答えを返していた。

 時折、ディビアーノから指導が入るが本当に些細なことぐらいでほとんど完璧といって良いほど様になっていた。後はこれが実際に受付嬢として働きだした時に対応できるかどうかだろう。


「ハンターから緊急性の高い魔物や災害の情報が寄せられたときは?」

「はい、その場合はギルドマスターに連絡を取り次ぎすぐに全冒険者に通達及び、王都中への情報共有。ハンターだけで対処できない大規模なものが予測されるのでギルドマスターから王城に情報伝達、必要に応じて騎士団を派遣してもらう、ですか?」

「いいでしょう、情報共有は何よりも大事ですからね。些細なことの場合でもメモを取り情報を貯めておくことが重要です。もしかしたら思わぬ所で繋がりがあるかもしれませんからね」

「はい!」


 そんな感じで、リンの受付嬢としての研修は進んでいくのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 そんな頃、アリスはというと…ギルドの訓練場に居た。


「フッ!…ハァッ!!」


 アリスは手に握った剣を袈裟に、水平に、垂直に振るう。縦横無尽に、時折突きを交えて体を動かす。決して雑にならないようにけれども素早く。

 アリスの剣に型はない。基本的な切るための動作は学園で学んだが、冒険者を続けていくうちに自分の体に合わせ、周囲の環境に合わせ我流の進化を遂げていっていた。


 いわゆる騎士団などが使う『奇麗な剣技』ではなく、なんとしてでも『生き残るための剣技』に…


「ハァアッ!!!」


 裂帛の気合の元、垂直に一刀両断せんと剣が振り下ろされる。

 地面とギリギリで止められたため風圧のみが地面を叩きつける。風圧により砂埃が舞う。


「ふぅ…とりあえず体は動くね。今日は簡単な依頼にして明日から本格的に依頼をこなしていこうかな」


 アリスは準備していたタオルで汗を拭うと剣をしまう。リンとともにギルドに来てから2時間近く一人で剣を振るっていた。荒くなっていた息を整えると訓練場から出て、ギルドの受付に向かう。

 受付嬢の一人がアリスに気が付き手を振る。


「アリスさん、訓練は終わりですか?」

「はい、ありがとうございました」


 そう言いながら、訓練場を借りていた証明である木札を返す。

 受付嬢は木札を受け取ると棚にしまう。


「それで、今日はどうされますか?」

「リンは研修中だろうし…近くの森で何か依頼はありますか?」

「そうですね…少々お待ちください」


 受付嬢は後ろの棚から本を取り出すと、ペラペラと捲る。

 しばらく見ているといい依頼が見つかったのかアリスに向けて本を差し出す。


「久しぶりの依頼見たいですので森の魔物、ウルフの討伐はいかがでしょうか?」


 依頼書を見てみると、どうやら最近魔物の活動が活発になり個体数が増えているのだという。脅威を減らすために、ウルフだけでなく森にいる魔物のの狩猟が騎士団からの依頼が多く来ているのだ。

 騎士団では足りない人手不足を補うためにハンターに依頼が出されることがある。今回の依頼はそういった事情のある依頼だろう。


「あ、そういえばそろそろ『ハンターフェス』ですね…そっか、それで魔物が多いのか」

「そうですね、今年もアリスさんたちパーティの活躍期待してますね。私、アリスさんのファンなので」

「あはは、ありがとうございます。じゃあ、この依頼受けます」

「はい、では魔力認証をお願いします」


 受付嬢がそういうと金属に文字が書かれた板を差し出す。

 その上にアリス手を置くと文字が光る。

 これは、その依頼を受けた人を識別するためのもので不正を防止するために作られたシステムだ。詳しい原理は省くが倒した魔物の魔力をハンターが持っている腕輪が吸収し照合するのだ。これにより他人に手伝ってもらうとその人数分に魔物の魔力が分散するので不正がばれるというわけだ。


「はい、確認しました。アリスさんなら大丈夫だとは思いますがくれぐれもお気をつけて」

「はい、わかりました」

「では、いってらっしゃいませ」


 受付嬢の人が一礼しアリスのことを送り出してくれる。

 アリスも礼で返すとギルドの外に向けて歩き出した。

次回はアリスのお話。

戦闘描写書くぞ。

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