少女と幼馴染と採用試験
色々と手がけたいことがあるのでしばらくは週一更新になります。
それと、リンの設定ブレッブレだった部分修正しましたが大筋には影響ないはず…
「さて、受付嬢になりたい動機から聞いて行こうか…」
ギルドマスターのディシオはそういうと猛禽類を思わせる眼光でリンを見つめる。
その瞳からは嘘は許さないという意思がありありと感じ取れる。
「率直な動機を聞かせてくれ」
「はい…」
リンは緊張で口の中に溜まっていた唾を飲み込む。
一呼吸置き、息を整える。リンは真っ直ぐ顔を上げしっかりとディシオを見据える。
「僕が受付嬢になりたいと思ったのは僕の学んだ知識が活かせると思ったからです」
「ほう?」
続けろ、とディシオの目がリンに訴えかける。
「僕は病弱で普段から本を読むことが趣味です。その中で多くの知識を身に付けました。病弱な私でも知識を生かした素材の鑑定ができると思ったのが受付嬢になりたい動機です」
「なるほど…」
ディシオは腕を組んで顎に手を当てる。
じっくり吟味しているのだろう、顎鬚を撫でながら時々唸っている。
「リンはアリスと同じココ村出身だったな…」
「はい」
「アリス、リンは村ではどんな子だったんだ?率直でいい、答えてくれ」
ここでリンではなくアリスに質問される。ギルドマスターがアリスと一緒に来いと言っていた理由はこのことだろう。
「リンのことですか…そうですね、一言でいえば物静かで優しい子ですね」
「ほう?」
「私が知ってるリンは体が弱いこともあっていつも本を読んでいることが多かったです」
アリスが村に居た頃のことを思い出しながら話す。
その頃のことを思い出して恥ずかしいのかリンは顔を俯かせ頬を赤く染める。
「ほう…他にはあるか?」
「そうですね…リンはよくリリアさん、リンの母親の裁縫を手伝っていました。裁縫はできるほうだと思います」
「そうか…」
質問にどんな意味があったのかリンはわからないが、ディシオは頷くとリンの方に視線を向ける。
「ふむ、病弱らしいが目安はわかるか?」
「目安ですか…今は落ち着いていますが疲れが溜まっていたり運動、少し走るぐらいなら何とかといった程度です」
「…よし、いいだろう。採用しよう」
「ほ、本当ですか!」
リンは信じられないといった様子で身を乗り出しディシオに尋ねる。
猛禽類を思わせる鋭い眼光は鳴りを潜め、好々爺のような優しい目つきでリンを見つめるディシオ。リンの隣のアリスはそんなディシオを見て、ホッと一息つく。ディシオの威圧はどうやらリンのことを見定めるためにわざと出していたようだ。
「あぁ、ようこそハンターギルド『エステル支部』へ」
「おめでとうございます、リンさん」
「おめでとう!リン!!」
リンの隣のアリスが抱き着いてくる。
対面に立っていたディビアーノが拍手する。
「さて、実際に働いてもらうのはディビアの下で新人研修を終えてからだな。それまでに受付嬢が着る制服も準備しておこう、後でディビアにサイズを測ってもらって手配して貰え。それまでは今着ているような私服で問題ない」
「はい、わかりました」
「大体10日ほどで完成すると思うのでそれまでは私服ですね」
リンはディシオとディビアーノに受付嬢になる上での注意事項を教えてもらう。
「リンは体が弱いことを考慮して昼から夕方までの勤務で3日に1度…3日仕事して1日休みの周期で働いてもらおうと思っている」
「それだけでいいんですか?」
「しばらくはな。大丈夫そうなら勤務時間を伸ばそう」
「ゆっくり慣れていきましょう」
「ありがとうございます」
その後は採寸を行ったが特に何もなかったとだけ伝えておこう。
リンの胸が若干成長していたらしいが些細なことだろう。
リンとアリスはギルドから出ると昼ご飯を食べるために街で飲食店を探しに行くのだった。




