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注文の多い異世界転移者 2

「なるほどね。

 童貞こじらせた上に他にも理由があるが、とにかく『厄』が溜まってる。

 災厄級にヤバい事になるなこれは、『消滅』でも良いんだが‥‥

 抵抗されるとコストかかって厄介だし、『復活』かなー?」



「は? 『復活』?

 生き返れるのですか?」



「いやいや、言葉通りではなく業界用語での『復活』な。

 早い話が蘇生はするけれど異世界に追放。

 あちらさんですぐ死なれると向こうの神さんに迷惑だから、すぐに死なない『措置』とかした上でな」



「この世界で蘇生はできないのですか?」



「無理無理。

 ただ駅の階段で寝ぼけて足踏み外しただけなのに、スキャンダラスに『過労死か?』って新聞にでかでか載っちゃってるから。

 結構仕事で関わった相手も多いから、記憶と情報改ざんするのにどれだけコストがかかるかわからんのよ。


 時間巻きもどしてタイムリープ的に助けるってのはもっとコストかかる。

 助けた事で変わる未来予想を地球全体でしなくちゃならん」



「『バタフライエフェクト』ですか?」

日本風に言えば『風が吹けば桶屋が儲かる』。

早い話がピタ○ラ○イッチな連鎖で大きい影響が起きてしまうことだ。



「それな。

 神様が予知とかやっても起きるから、普通に情報集めて演算とかして『予想』するしかない。

 結果として代わりに他の人が死ぬとか言うのもマズい。


 あんたも気分悪いだろ?

 『○○が起きたのは俺が生き返ったせいだ』みたいな幻想に囚われるのは」


金髪9ピーはさらに続けた。

「あとこっちで普通に蘇生した日にゃ。

 良くて新興宗教の教祖に担ぎ上げられ、最悪どこぞの国に拉致られて死ぬまでモルモット‥‥いや死んでからも切り刻まれてサンプルとして標本瓶の中で浮く事になる」



「さすがにそれは‥‥勘弁してください」



「それとだ。

 それだと『厄』もあまり減らないから、根本的な解決にならない。

 『また』死なれれたらここに来てもらって同じ処理する事になる。


 今『次は女神に会えるかも?』とか思ったろ。

 地球での担当は俺に決まっちまったし、同じ処理すんのにコストもかかるからさぁー」



心が読めるのか?

「そういう事ですか‥‥。

 ちなみに、もう一つの選択肢らしい『消滅』ってのも業界用語ですか?」



「『消滅』?

 そっちは文字通りの意味だぜ。

 魂を輪廻転生の輪から外して『消滅』させんのよ。


 『思い出した』とか言って、前世の記憶を取り戻されても面倒だからな。

 コストもかかるだけでなくリソースも減る、書類手続きも面倒なんで俺としては避けたい」



リソースが減る?

コンピュータ上ではあるまいし‥‥エネルギーや質量が減るみたいなものか?


面倒面倒ってナ○ンボールかよ。

「‥‥と、なると『異世界に追放』しかないと」



「本人が望まない事をやっても『厄』は減らないからな。

 たまに『もうどうでもいい』と『消滅』を選ぶ奴がいるんだな、これが。



「それじゃ『すぐに死なない措置』について教えて貰えますか?」」



「『措置』ってのは、まず『自殺防止の呪い』だな。

 喧嘩吹っかけて、殺してもらうとかいうのも基本的になし」



「それって『無敵』じゃないですか?」



「いやいや化物とか盗賊とかに襲われたら普通に死ぬぞ。

 『わざとそんな状況を作る』とか『わざと手抜いて死ぬ事ができない』呪いなだけ。


 それと『異世界言語』と『有限倉庫』と『鑑定|(雑)』の能力付与だな。

 念のために保存食と水も2週間分『有限倉庫』に入れといてやる」



「『異世界言語』は向こうでも言葉が通じる奴ですか?」



「ああ。

 現地人と意思疎通ができなきゃ、すぐ殺されてしまうだろ。

 こいつだけは機能制限は付いてなくて、読み書きにも対応してる。

 『危険立ち入り禁止』の看板とか読めなくても危ないからな。


 それから『有限倉庫』ってのは、20枠に制限のある収納能力だ。

 ゲームの『もちもの』と同じようなものと思ってもらえばいい。

 99個までスタックできるのも同じだ」



スタックというのは、車で地面にハマって動けなるほうでなくゲームのほうの意味だ。

重ね置き、つまり『きずぐすり×99』という風に同じものなら一度に持てる。


「それで問題の『鑑定|(雑)』なのですが‥‥」

どうみてもこれだけおかしい。



「文字通り『鑑定すると雑に説明が出る』能力だな」



「駄目じゃないですか‥‥」



「だが捨てたものではないぞ。


 例えば『木の実』とか『キノコ』を見つけたとする。

 それに『鑑定|(雑)』を使うと雑な説明に加えて、名前と毒の有無。

 つまり食っても大丈夫か解る」


「ちなみに人や動物に使った場合はどうなります?」


「人の場合は、雑な説明に加えて名前・職業・健康状態しかわからない。

 動物の場合は職業の代わりに肉食か草食か雑食かだな」



「『しか』?

 『健康状態』がわかればすごいのでは?

 診断だけでも医者になれるじゃないですか」



「|(雑)の付いていない『鑑定』や『詳細鑑定』なら、年齢とか出身地とか強さとか3サイズも解る。

 情報量がダンチなんだよ。


 それに健康状態がわかっても治療は『投薬』とか『神聖術』とか大抵は治療困難だぞ。

 軽い怪我くらいならなら、お前にも治せるかもしれないが」



「治せる?

 医学の心得はほとんど全くありませんが?」



「「聞いた事ないか?

 『30歳まで童貞だと魔法使いになる』って都市伝説」



「はぁ!?」



「あれ、本当なんだわ。


 もっとも今の地球には魔力・マナ・MPとか呼ばれる、魔法を発動させるための燃料がねーから発動しない。

 それで精霊とか魔王とかも居ないから、呼びかけても手を貸してくれない。

 おまけ大抵の神様はシステムの維持に忙殺されてるから、いちいち人に介入してる余裕が無い」



「目の前に暇そうで介入しようとしてる神様が居るんですが‥‥」



「『ヤク』が揃って跳ねたり3倍満って感じで、あんたが暴走するとヤバいからな。

 なるべくコストかけないよう、こうやって交渉するのが今の俺の『仕事』なんだよ」



神様も麻雀やるんだ。

「じゃあ『40まで童貞なら』ってのもあるのですか?」



「『大魔法使い』だな。

 『魔法使い』より広い範囲、大きい効果で魔法関連に補正がかかる」



「『魔法関連』とは?」



「何って言ったら良いのかなー‥‥。

 お前がやってたコンピュータゲームで言えば、ゲームが違えば魔法も異なるように送った異世界ごとに魔法のルールが違うわけだ」


「はぁ」



「例えば、同じ『ファイヤーボール』って名前の魔法があったとして、最初から使えるが魔法で最低の攻撃力しかなかったり、射線上の敵をなぎ払う貫通付いてたり、着弾した場所で爆発して範囲攻撃になったりとゲームによって効果が違う。

 そもそも『ファイヤーボール』って名前の魔法がないゲームもあるわけだ」



「それなら解ります」



「つまりそれが飛ばされた先によって『ルールが違う』だ。

 だから現地の異世界に行って見るまでどうなってるか解らんのよ。


 それと『40童貞で賢者』という人も居るが、あれは自家発電したらいつでもなれるからな」



賢者ってそういう下ネタなのかよ。

「しかし飛び先が不明だと、すぐに死にませんか?」

自慢じゃないがアウトドア派や野山を駆け回った元野生児ではない。



「そこで『裏技』がある。

 転移者や転生者は『魔王を倒す』とかの艱難辛苦な使命が伴うから相応の力が得られる。

 逆にささやかな力を付けたり便宜を図るなら‥‥何が起こるか解らないものの、効果相応の使命や制限が付くわけだ。


 希望する力はあるか?

 もちろん駄目なものはあるし、こちらから制限を付ける場合もある」

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